マイナーチェンジは既定路線なのか
工藤 今までの話を聞いて非常に難しいなというか、複雑な気持ちになったのですが、審議会の議論を見ていますと、例えば資金調達面の検討に関しては中長期的な検討課題とし、NPO法の基本的な課題に関しては論点を整理するだけ、あとは休眠NPOや違法行為などのいろんな問題に関してはしっかり対応しましょうということだけが言われている。となると、つまり今審議会で行われている議論はまさに今のNPOの課題に対して本当に答えを出そうと考えているのかという問題があります。そうではなくて微修正なり、現状維持で済ましたいという認識なら、審議会がパブリックコメントを出す際にはそれを説明すべきではないでしょうか。それとも今の課題に向かい合う、そのための議論を私たちに求めているのでしょうか。
堀田 この審議会ではさまざまな委員の方にご出席いただいて、まさにどういう課題があるのかも含めていろんな意見を出してもらって審議しているわけです。もちろん皆さんの目から見て欠けている点も当然あるかもしれませんが、今の審議会の議論の方向は、皆さんからごらんになって、ベクトルの方向が違うのではないかということであれば、もう既にパブリックコメントは1度やりましたが、ご意見として寄せられているということを期待してやっているわけで、政府として少なくとも強引に何か一定の方向をまとめようということで決定しているわけではなくて、あくまでも開かれた議論の場で、今後、NPOというのはどういった方向が望ましいのか、ベクトルの方向も含めて一定の方向を示させていただければというふうに思っているわけで、繰り返しですけれども、コンセンサスがあるようなところについては、できるだけ方向性を示したい。
ただ、やっぱりそもそもコンセンサスがないと、多様な意見があり得るわけですから、そこでコンセンサスがないといったものにまで審議会としてどこまで調整すべきなのか、そういったところはまだまだこれから最終報告に向けて、委員の皆さんに議論していただきたいというふうに思っております。
工藤 それでは会場から意見をいただきたいと思います。
会場 明治学院大学の雨宮です。今度のNPO法人制度検討会の委員長をしております。かなりいろいろな批判があるのを伺っておりまして、幾つか私の方からも批判させていただきます。
ガバナンスが必要なのは確かですが、形が整えばすべて結果がいいか。これは会社法を何回変えてもいろんな不祥事が起こったというのもありますね。もう1つはNPO法に関して言えば、どこかが監督するというのではなく、市民が参画し、市民の監視のもとでよりいい活動をしていくというのがこの法、つまり特定非営利活動促進法の特徴です。そういう意味からすれば、規制をするということは重要な点ではありますが、私的自治の原則に合致させるほうがもっと重要です。ガバナンスが悪いのは、それぞれの団体の責任です。法律で規制をしてやるものではない。しかも、それは大規模のもの、小規模なものによって程度も違うわけです。それについてはアメリカのNPO法人についても、不祥事がでてきました。寄附金の使い道でも不正なことに使われてしまったり、かなり信頼を損なってきたというので、各州で、例えばカリフォルニア州などは、200万ドル以上の収入がある大規模法人を対象とするカリフォルニアNPO誠実法(California Nonprofit Integrity Act 2004)ができ、監査委員会を作らせるなどの規制をしています。叉ニューヨーク州では、営利法人に適用されるサーベンスオックスレー法の一部をNPOにも適用させる動きがあります。
わが国のNPO法も例えば会社法のようにすべきだという主張は、確かかもしれません。皆さん、一般社団法人法というのをお読みになったらわかりますが、もうはしの上げ下げ細かい規定をおいています。規則も出ましたが、ほとんど会社法と一緒ですね。特にガバナンスに関しては会社法と一緒で、これをやったら非常にやりにくい。全部それに従ってやらなくてはならないということは、実際、法人を運営することが目的なのか、事業をやることが目的なのかということが逆転する可能性もあります。それから、資金を調達するために信頼のおけるような活動実績をあげるのは当然のことでありまして、それをガバナンスだけでやるものではありません。
とにかくNPO法は存続させて活動を促進させたい
会場(雨宮) それから、今度の改正に関しては、確かに目的が明確でないところもあって、最初にお話が出たマイナーチェンジということで私は理解をしております。私が委員長をお引き受けするときに、せっかくNPO法が存置されたのですから、このNPO法をより特徴のあるものとして存続させていきたい。一般社団法人法にのみ込まれてはいけない。という気持ちでした。市民参加のもとで議員立法で制定された特徴あるNPO法です。もし閣法で、一般社団法人法と同じにするなら問題です。認定NPO法人の規定をよくごらんになってください。あれは議員立法ではなくて、財務省の閣法です。考え方は非常によかったのですが、閣法で細かな規定が入ったために、非常に使い勝手が悪くなったと思います。あれの二の舞を踏みたくありません。
そういう意味で、NPO法人制度検討委員会では民間公益活動がよりやりやすくするための改正だということを常に念頭に置いています。幾つかの問題点がいろいろと議論されていますが、論点だけの取り出しに終わってしまい、なかなかまとまらないので、かなり事務局は困っているのではないかと思います。ただ、その思いは、とにかくNPO法を存続させて、より活動を促進させるということにあります。本日のご発表でいくつか悪い例を挙げられましたが、それはNPO法人側の問題で、法律の規定が悪いからではありません。これまで、法律で何か規制をする形で活動が促進した例はありません。以上です。
会場 NPO会計税務専門家ネットワークの赤塚です。我々はご存じの方は多いと思いますけれども、設立以来ずっとNPO法人のガバナンス、アカウンタビリティーの向上というのを最大のミッションとして活動しています。具体的には中間支援組織自体、そういう専門知識がないところが多いのでそのサポートだとか、それからいろんなガバナンス、あるいはアカウンタビリティーのツールの開発とかを行って、今、すべて無料で提供しているというような活動をしている立場からすると、きょうの話は自分が責められているような気がして、まだまだ力が足りないなという反省でもあるんですが。
ただ、言いたいことは、基本的には雨宮先生がおっしゃったのは私も全く賛成なんです。不思議なのは、委員長がそう言っているのに、どうして委員会の議論がそっちの方に行かないのかということです。
経営基盤の問題は法律で解決する問題ではない
会場(赤塚) それと、言いたかったことは、きょうはNPO法人の今の課題ということで、違法行為を行う法人というのは問題外なんですが、それ以外に経営基盤が弱い。基盤をどう評価するかとか、信頼性をどう担保するかという話が出ましたけれども、私はそれを法律でやるような問題ではないと思うんです。それは法制度の問題じゃないです。それで私の力が足りないという言い方をしているんですが。
私は、違法行為を行う法人については個別法でやるべきであって、個別法に違反したときに認証取り消しができるようにするぐらいのことはやってもいいと思うんですね。あと、今でも、3年間報告しないところは認証の取り消しができるわけですから、聴聞なんてやらなくても、ばっさり切ればいいんですよ。そういう法人がNPO法人を名乗っていることが迷惑でしようがないんです。
それから、1つわからなかったのは、山内先生の正味財産の不一致のところが37%ある。私の実感では、それはそこまではないだろう。つまり、多分それは正味財産増減の部をつけてないんですよ。だから、収支計算書で正味財産が見えてないだけかと思うんですよね。間違った計算書を出しているわけではないと思うんです、そこまでひどくはないと思います。それは馬場さんに聞けばわかると思うんですが。
それで、もう1つするとしたら、さっき言った3年間提出しないところは問答無用で切ってもいいよというのと、あと、認証されたのに登記しないところなんかは、そんなものを取り消せよというのと、そんなことをやればいいんじゃないのかなという気がしています。
会場 岐阜県の方のNPOセンターの係の者ですが、先ほどの37%という数字の話ですが、結局、県へ出す書類の書式を見ますと、岐阜県の場合なんかは、収支計算書が非常に中途半端なところで終わっていて、最後の正味財産のところが、繰越収支差額が根拠がない数字になっていたんです。その辺が全国的な統一ができないのかどうかということをちょっとお尋ねしたいです。私も内閣府の出した書式に出ているんですけれども、収支計算書の解説つきのものを見たことがあって、それに基づいて書いたら、出し直しをしろと県が言ってきたんです。それはちょっとおかしいのではないかと思うんですけれども、その辺の統一を図ったらと思ったということがございます。
山内 数字の話は後でチェックしますけれども、いろんなタイプのミスがあって、そういうのを足すと、実はもっと多いんですね。正味財産のフローとストックが合わないというところだけで37%ということなので。それからもう1つは、今のご質問にも関連するけれども、総務側とユーザーフレンドリーになってないので、恐らく単純ミスをしたときにエラーが出るような、ごくごく簡単な表を配布していただければ、それだけでもミスは大幅に減ると思うんです。例えばインターネットで通信販売なんかで買うときに、郵便番号を半角で入れなければいけないところを全角で入れたりするとエラーになって、送信ボタンを押せないですよね。そういうごくごく簡単なことが大事なんじゃないかと。ですから、雨宮先生が言われたように、別に規制をする必要は今のところないと思うんですけれども、悪意のない人が間違わないようなシステムというのはやっぱり必要なのではないかというふうに。
田中 幾つか雨宮先生からもご指摘をいただいたんですが、ミスのところは修正したいと思います。
それから、先生がおっしゃっている意図、つまり一般社団法人からの分離独立ということについては、その意見には全く賛成なんですが、分離独立の先に、NPO法人としての特徴とおっしゃったんですけれども、どういうものを目指したいのか。特に使いやすいとおっしゃっていたんですが、私は井上さんと工藤さんにお伺いしたいんですけれども、経営でかなり苦しんでいらっしゃる状況を見ていると、この法律、法人はつくりやすいけれども、経営はしにくいのではないかというふうに見ていまして、そこの問題について、すべて法律で規定することはできないでしょうが、でも、今の法律の見直しの議論をする際に方向性を示すことはできるのではないかと思うんですね。その点については実践者のお2人にも意見をお伺いしたいと思います。
信頼性の向上でガバナンスの強化は不可欠
工藤 私は今日は司会なので、言わなくていいと思ったのですが、では簡単に。言論NPOは、認定NPO法人ですけれども、認定NPO法人制度が大変だと思ったことは1回もありません。さらにガバナンスとアカンタビリティでは強化しています。私たちはアドボカシー型NPOですから、自分たちの活動内容が特定の政治や特定の宗教団体に直接的にも間接的にも偏ったり依存したりしていないことを自ら証明するため、アメリカのIRS基準で自己評価の方法を開発しまして、その結果を、第三者の意見もあわせてすべて公開しています。つまり、寄附を市場から集めるということは、それぐらい努力して初めて集まるもので、そのために私たちが苦しむのはいいと思っています。
要するに、市民社会に開かれて、しかも支えられるという、そういうふうなNPOがこれから日本に出てこなければいけないと思っているわけです。そのためにガバナンスが強くなるのは大賛成で、どんどん強めてほしいと思っています。私たちは社員総会が年1回あります。その中で理事や理事長や監事も全部選任されます。それだけではなくて、1カ月間、理事会を全部やって、内容の議事録も公開します。そこまでオープンにしてやっているわけですね。しかし、経営という点ではほとんどのNPOの経営が不安定化しており、経営の持続性や拡大という点では今の制度が使いにくいという点があるわけです。
こうした悩みは日本のNPOが遅れているからではなく、アメリカなどのNPOでも私たちが悩んでいることの同じ悩みがあることがわかって最近、ほっとしました。つまり、毎年、寄附を集めても3月末でお金がなくなってしまう。では、来年4月からはどうするんだと思っても、毎年事業は動いていって、ミッションに基づいていろんな活動の範囲が広がったときに、それを支えるような資金基盤がないとまた一から金を集めなければいけない。そのうちにボランティアの人たちが風邪を引いて倒れたりしたら、もう全然動けなくなってしまうという、問題があるわけです。あくまでも私たちは自分たちの責任でやっているわけですから、泣き言は言わないけれども、しかし、そこの中である意味で財産というもの、つまり経営を持続するためのストックが想定されていないということがひとつの制約になっているように思います。
審議会の議論はパブリックコメントが出始めてからかなり議論が実態に合い始めたし、議論が動き始めてきたと思っています。そこには課題があるからです。私たちは政府に甘えようなんて思っているんじゃなくて、非営利であろうが営利であろうが経営する点では同じなわけで、そういうことが問われているときに、今のNPO法が非常に使い難いという状況で悩んでいるわけです。だから、そういう課題が多分パブリックコメントに出てきているのだと思います。
私はNPOが、パブリックを担いながら経営もできる、そういう循環をつくらないとならないと思っています。昔、マッキンゼーがエクセレントカンパニーという本をつくって、それがベストセラーになりましたが、そういうNPOをつくってみたいし、そのために努力したい。そういう循環が次々に動いていって、多分その中でいろんなNPOの活動のすそ野が広がるというか、民がパブリックを本当に担い、その役割をNPOが果たすように発展していくような段階だと思うわけです。だから、NPOの制度をただ守ろうとしたり、悪いNPOを退出させたりするというだけではなく、NPOを発展させ新しいモデルを作っていく。それぐらいの大きなドラスチックな形の議論をNPO法の見直しに関してやってもらいたいというのが私の気持ちです。
井上 先ほどの話でNPO側の責任、法制で考えるのではなくて、NPOの責任だとおっしゃった、まさしくそのとおりだと私自身も思っています。今、NPO側が確かにいろんな部分で責任、ある意味意図的とまでは言わないわけですが、放棄している部分というのは非常にあるのかなと思っています。それは説明責任から何からですね。先ほど、経理をつける必要があるんですかと言いましたけれども、そっちに目が行ってないんですよね。自分らのサービスをするという1つの活動、そこを見てもらえばそれでいいんじゃないかという、ある意味安易な点というのはNPO側にも非常にあると思います。まさしくそこの部分の責任というのはNPO側だろうと思っております。
ただ、今、工藤さんがおっしゃった、例えばもっとどんどん厳しくしても当たり前だよとおっしゃいましたが、もしそれを個々のNPO団体の方にそうやって言うと、「うーん、どうだろうな、出来ないな、そんなことを言うなよ」という答えになるだろうなと多分思います。
実際、今、500万以上の事業規模のNPOが60%ぐらいを占めるわけですが、そのような規模の団体が先ほどおっしゃったような話にはなかなかいかないだろう。ただ、そうはいっても、議論をそこまで考えられなくても、お金は必要だということで今NPOの模索が続いているだというふうに僕は思っています。ある意味、宮崎文化本舗なんかは結構それに近いかなと思うんですけれども、今までにあった補助事業とか委託事業、これだって消えてしまうんですね。それは結局、3月まである人員を配置していて、その人の首を切るのか、切らないのかとなってきたときに、首を切るわけにいかないし、多分5月ぐらいから新しい事業がまた入ってくるだろう。そのときにまた雇用をするわけにいかんからみたいな話で、ぽっと飛びついてしまう。それがある意味、行政からの非常に安い下請ということをつくっていく1つの象徴だろうというふうに思っております。
活動の展開の中で確かに要はお金、資本の蓄積が必要です。余剰金はありますけれども、資本という考え方がNPOの概念の中に入っていったときに、ある意味、経営としては非常にやりやすくなってくるのかなというふうには思います。やっぱり実際理論、理屈ではなくて、そういうのを肌で感じているよというのが非常に多いだろうというふうに思っています。
工藤 私の発言は挑戦的な問題提起というふうに理解していただければと思います。
田中 山岡さんが手を上げられています。山岡さんも審議会の委員なので。
工藤 ではどうぞ。
法人制度だけで解決するのは無理
会場 日本NPOセンター副代表の山岡です。先ほど雨宮委員長からもご発言がありましたが、問題解決を法人制度だけで解決するというのは無理なんですね。私は法人制度で解決するとぐちゃぐちゃになってしまうので、法人制度は幅広く自由な可能性があったらいいと思うんです。基金は持っていけないと法律に書いてないんです。今、センターでも集めているんですが、集まらないんです。力量のあるところは基金を持ったらいいんです。だから、基金を持たないといけないという制度をつくったら、持ってないところは法人化できないですよね。しかし、持っても持たなくてもいいというと、持たないところもできるし、持ちたいところは持てるんです。ですから、経営能力の弱さを法人制度で余り説明してもらいたくない。
それから、審議会の議論は、最初は、せっかく新しい一般法人制度ができたので、NPO法人もそれぐらいのガバナンスにするかというようなところから始まって、それだけはよそうよとなったわけです。ガバナンスを強めることによって経営を強めるというような、それはやめたいねというのがかなりの委員が了解した基本原則です。これは今回のかなり強いコンセプトだと思います。放っておけば、審議会できちんと議論しなかったら、新しい一般法人や公益法人と同じようなガバナンスをNPO法人もやりましょう。そうすると、信頼が上がるかね、そんな話からスタートしたんですね。しかしそれだけはよそうとなった。このことだけは、私はこの審議会は最後まで頑張ってほしいところだなと思っております。
それから、赤塚さんがおっしゃったように、今、マイナーなところで、使ってみたら不便なところがあって、これは議員立法だろうと何だろうときちっとこうしろと、登記しないところはちゃんと認証取り消しができるようにしようとか。これは本来、閣法だったらきちんとやっているようなところがきちんとやってなかったために、いろんな手続ミスというか、それが明らかになっている。それから電磁情報による情報開示ですよね。閲覧はできるけれども、コピーできると書いてないから、コピーできないとなっているけれども、電磁情報を開示してコピーできるようにしましょうと書いてあれば、きちんと堂々とできる。そういうことはきちんとやりましょう。けれども、特定非営利活動促進法を市民活動促進法に戻しましょうとか、じゃ、10人の会員要件を会員3人でもいいようにしようとか、あるいは認証主義を準則主義にしようなんていうのを、僕はこの審議会でやるべきではない。そしたらどうなるかというシミュレーションはやった方がいいんですが、それはやっぱり議員立法の趣旨からいって、そこまで踏み込むべきではないと私は思っています。特に議員立法にずっとかかわった経過からいうとですね。
ですから、今のやり方から言うと、マイナーだけど本当に実質上不備なものについては、きちんと時代の動きに応じて改正をやりたい。しかし、新しい一般法人制度のようなガバナンスでガチガチにすることはやめたい。それから、基本的なこの法人の性格については、やっぱり議会の場できちんと議論してやってほしいというのが私の意見です。
日本NPOセンターは経営が苦しいです。物すごく苦しいのですが、法人制度がゆえに苦しいと思ったことは一度もないです。法人制度の運用については、所轄庁ごとに随分厳しい、法律に書いてないようなことを厳しく言っているので、それについては文句はたくさんありますが、法の規定によって経営上苦しいということはない。税制上のことは問題あるかもしれませんが。基金は、今、センターの10周年記念で募集しているのですが、集まらないだけです。集め方が下手だからかもしれない。それは法律のせいじゃないんです。
だから、経営のまずさというのを法人制度のせいにしないでください。例えば指定管理者制度が悪いのは、NPO法が悪いからじゃないんです。あれはあれで、指定管理者制度はあれでいいのかというのをきちんと議論しないといけない。NPO法人制度が悪いから指定管理者制度でおかしくなっているのではないんです。そういうことをきちんとしないと。法人制度ですべて解決するというやり方で一番いいのは、主務官庁による許可監督制ということになりますよ。もうそうなったら、法人制度で何かをすると思うので、法人制度でNPOを強くしようというよりも、法人制度はより広い可能性をたくさん残した方がいいと思っています。個人的な意見ですが。
Profile
山内直人(大阪大学大学院国際公共政策研究科教授)
1955年愛媛県松山市生まれ。1978年大阪大学経済学部卒、M. Sc.(英London School of Economics)博士(大阪大学)。経済企画庁エコノミストとして経済白書の執筆など日本経済の実証分析に従事した後、1992年に阪大へ。経済学部助教授を経て、大学院国際公共政策研究科教授。この間、米イェール大学客員フェロー等を歴任。専門分野は公共経済学。特に、税制、医療・福祉、環境、社会資本、NPO・NGO、 ボランティア、国際開発援助等の実証研究を手がける。
田中弥生(独立行政法人 大学評価・学位授与機構 助教授)
国際公共政策博士(大阪大学)。東京大学工学系研究科助教授、国際銀行を経て現職。財務省 財政審委員、外務省ODA評価有識者委員。日本NPO学会副会長。言論NPO言論監事。専門は非営利組織論と評価論。米国でピーター・F・ドラッカー氏に指示。主な著書に「NPOが自立する日 ~行政の下請け化に未来はない~」(日本評論社206年)『NPOと社会をつなぐ ~NPOを変える評価とインターメディアリ~』(東京大学出版会 2005年)、訳書にドラッカー・スターン著『非営利組織の成果重視マネジメント ~NPO、公益法人、自治体の自己評価手法~』(ダイヤモンド社、2000年)ほか。
堀田繁(内閣府大臣官房審議官)
大阪大学経済学部卒。経済企画庁入庁。
井上優(宮崎県NPO活動支援センター所長、特定非営利活動法人宮崎文化本舗理事)
1957年生まれ、宮崎市在住。1982年3月、東海大学文学部史学科卒業。会社員を経て、宮崎地域文化実践委員会、宮崎アート&ミュージック協会など設立。平成14年から(特)宮崎文化本舗理事就任、平成17年度から副代表理事、また宮崎アート&ミュージック協会会長、宮崎県NPO活動支援センター、センター長を兼ねる。
工藤泰志(言論NPO代表)
1958年生まれ。横浜市立大学大学院経済学修士課程卒業。東洋経済新報社で、『週刊東洋経済』記者、『金融ビジネス』編集長、『論争 東洋経済』編集長を歴任。2001年10月、特定非営利活動法人言論NPOを立ち上げ、代表に就任。