強い市民社会に向けた良循環を目指して
~「第4回エクセレントNPO大賞」募集開始~

2016年7月15日

IMG_8165.jpg 7月15日、言論NPOが事務局を務める「『エクセレントNPO』をめざそう市民会議」と毎日新聞が共催する「第4回エクセレントNPO大賞」に関する記者会見が行われました。

 会見には、本大賞の審査委員主査を務める田中弥生氏(大学改革支援・学位授与機構教授)と言論NPO代表の工藤泰志が出席しました。

IMG_8168.jpg はじめに、工藤から、「エクセレントNPO大賞」の趣旨説明が行われました。
 まず工藤は、9年前、どのようにすれば日本の市民社会は強くなるのかという問題意識から、田中氏をはじめ研究者やNPO・NGOの実践者らと共に全国の非営利組織を研究し、日本の非営利組織、市民社会の課題を抽出したことを語りました。その結果から、市民社会を強くするためには、課題解決に挑むようなチャレンジや競争が非営利セクター部門で始まらなければならないという結論に至ったことを紹介しました。

 そこで、NPOが社会の課題解決に向けた競争を展開し、市民の参加を大事にしながら活動しているかを「見える化」することで、良質なNPOが社会で信頼され、多くの市民の資源が向かっていく、こうした好循環を作るために、2010年2月に「エクセレントNPO」の評価基準を作り出した経緯を説明しました。その後、2012年に評価基準をもとに、各NPOが自身の現状を自己点検し、応募するという「エクセレントNPO大賞」を立ち上げたことを紹介し、4回目を迎える今年、「世界的に、デモクラシー、市民社会の意義が問われる中で、課題を解決する動きが日本の社会でも動き出すことは非常に重要なことだと考え、言論NPOとしてもこの事業を全面的にバックアップしていく」と語りました。


IMG_8163.jpg 続いて、田中氏から、「第4回エクセレントNPO大賞」についての説明がなされました。本賞は、すでに7月8日から募集を開始しており、8月17日の締め切り後、各審査、クラウド・ファンディング、最終審査を経て、12月上旬に表彰式を行う予定であるなど開催概要が説明されました。その中で、今回の表彰にあたって4つのリニューアルが行われたことを紹介しました。

 まず、課題解決力に関する評価基準を改め、自身の組織が目標(アウトカム目標)に基づき成果を出しているか、また、その成果について根拠をもって説明できるか、さらにそれを説明するために評価、測定を行っているか等を評価基準に入れたことを明らかにしました。

 続いて、READYFORの全面協力のもと、応募者が自分達の事業についてのアピールをし、インターネットを通じて不特定多数の人から資金調達するクラウドファンディングを導入することを明らかにし、その結果は、最終審査時の『市民性』審査の重要な参考資料にする旨を語りました。

 次に、今回、協力団体になっているLITALICO(りたりこ)の社員など、「第1回エクセレントNPO大賞」で市民賞を受賞した団体の創設メンバーである20代の若者にも、今回の表彰における企画に加わってもらったことを紹介しました。

 最後に、上智大学が、「エクセレントNPO大賞」の事務局にインターンシップとして学生を参加させることを決定したことを紹介。社会人のボランティアを交えながら、評価の仕方、方法論についての「評価塾」を開催し、そこでの議論を通じて人材育成の取り組みを開始するなど、新たにリニューアルした大賞への意気込みを語りました。


 その後の質疑応答では、「エクセレントNPO大賞」の評価基準やクラウド・ファンディングを審査に導入したこと等について質問が寄せられました。

 評価基準に関して工藤は、「日本の市民社会の多くの非営利組織は、寄付も集めない、市民と向き合わない、課題解決に強くこだわっていないのが現状である。そういう市民社会の構造を大きく変えねばならないとの問題意識から、日本の市民社会の実態に見合った課題解決の提案がこの評価基準である」と説明。「全ての評価基準をクリアすることは確かに難しいが、基礎的な要件に対して、多くの市民社会、非営利組織が挑戦して、自分で点検して、助成財団や企業のCSRなどに社会に広く示して欲しい」と答えました。

IMG_8140.jpg クラウド・ファンディングに関して田中氏は、10月から11月にクラウドファンディングを実施する予定であると述べた上で、「クラウドファンディングはページのリニューアルや団体からのメールなどの発信を続けることで寄付が集まるものであり、一人一票というよりも、寄付集めに向けてどれだけ宣伝するか、マーケティングできるかが重要である。金額の大小ではなく事業をアピールし、共感を得たのかをクラウド・ファンディングという媒体を使って確認したい」と答えました。


 最後に工藤から、「この評価の動きを日本の社会に定着させて、市民の人達がどのような団体に寄付すればいいのか、使い道が分らないという状況を変えたい。非営利セクターが透明性を持ち、市民からも評価可能なものにして、日本の市民社会を世界的な評価に耐えうるものにしたい」と述べ、会見を終了しました。


 「第4回エクセレントNPO大賞」の応募は既に始まっており、詳しい応募概要、応募書類については「エクセレントNPO」をめざそう市民会議のホームページをご覧ください。

⇒ 「『エクセレントNPO』をめざそう市民会議」はこちら ⇒ スマホ・タブレットからはこちら


【第4回エクセレントNPO大賞 開催概要】

募集期間:2016年7月8日~8月17日
審査期間:8月17日~12月3日(予定)
  ※うち、クラウド・ファンディンは10月~11月に予定 
表彰式:12月上旬を予定
主催:「エクセレントNPO」をめざそう市民会議
共催:毎日新聞
支援:日本たばこ産業株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、
   株式会社りそなホールディングス、日本生命保険相互会社
協力:READY FOR株式会社、株式会社LITALICO、上智大学
ウェブページ:www.excellent-npo.net/