アジアの民主主義を強くするために、市民社会と連携した課題解決に取り組むプラットフォームが必要~「アジア民主主義研究ネットワーク(ADRN)」台北地域会合報告:~

2017年2月16日

 言論NPO国際部ディレクターの西村友穂は、2月10日から12日に台北にて開催された「アジア民主主義研究ネットワーク(ADRN)」の地域会議に参加しました。本ネットワークは、アメリカの全米民主主義基金(NED)の協力の下、アジア地域の民主主義に関連した調査・研究を行うために2013年創立されたものです。

 今回の台北での地域会合は、国立台湾大学及び韓国のシンクタンクである東アジア研究院(EAI)が共同で主催し、北東アジア、東南アジア、南アジアの15カ国のシンクタンク及び大学の代表者ら約30名が集まり、「知識から政策へ:民主主義研究を良い政策につなげるには」をテーマに対話を行いました。

 
IMG_2099.jpg 会議の中では、シンクタンクや大学など研究を中心に民主主義における課題の解決に努めるアクターが、政府・議会と市民社会の間に立ち、どのように市民社会の触媒として民主主義の機能の強化と発展に取り組んでいるか、各国の現状と課題、今後の展望について議論を行いました。

 日本を代表し、言論NPOから参加した西村(国際部ディレクター)は、言論NPOが国内で実施してきた政権の実績評価及び選挙前の各党の公約評価、各政策課題に関する有識者アンケートや議論を実施してきたことを紹介。政治と市民の間に緊張感ある関係を作り出し、日本の民主主義を強くすることを目指して、過去15年にわたり、有権者に政策課題に関する適切な情報を提供するため地道な活動を行ってきたことを報告しました。

 また、昨年、日本、インド、インドネシアのアジア三大民主主義国と実施したアジア民主主義世論調査結果にも触れながら、日本において実施してきた活動のネットワークをアジアに広げ、民主主義における課題解決に取り組んできたことを伝えました。そして世界的にポピュリズムやナショナリズム、政治に対する不寛容、排外主義が広がり、民主主義が様々なチャレンジを受ける中、アジア各国が自国の課題解決に取り組むと同時に、これらの活動から得た経験や教訓を互いに共有するネットワークを広げ、アジアが連携しながら世界的な民主主義への挑戦に対抗しなければならないとスピーチを行いました。

 2日間にわたる会議では、15カ国のスピーカーが民主主義に関する各国独自の問題点に触れながら、民主主義の機能強化と問題の解決のために各団体がメディアや学術界などとの協力を模索し、政治と市民社会の間でどのように研究活動を行ってきたのか、また研究結果をどのように実際のアクションプランにつなげ、政策立案者及び市民社会への影響力を強化するべきなのかディスカッションを行いました。

 また、「アジア民主主義研究ネットワーク(ADRN)」は同日、2016年における各国の民主主義に関する研究結果をまとめたレポートを発表しました。ADRNは今後もこの枠組みでの活動を広げていくために引き続き対話や公開フォーラムの実施、オピニオンを発信していくことで合意し、一連の会議は終了しました。

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 言論NPOも政策評価・政権の実績評価及び政策課題の議論を継続して実施していくと同時に、アジア言論人会議の活動を中心に、日本とアジアの民主主義を強くするために活動を行っています。
ADRNについては、 こちら をご覧ください。