日独シンポジウム「戦後70年―日独がめざす平和と民主主義の新しい展望」終了後、パネリストや言論NPOの関係者が集まり、レセプションパーティーが行われました。
冒頭、挨拶に立った工藤は、パネリストの方々にお礼を述べると共に、「会場に詰めかけた多くの聴衆から、『ドイツのパネリストから多くの示唆を得た』と満足の声が聞かれた。今後も日本とドイツの間で、課題を共有し、それを乗り越えるような対話を継続していきたい」と述べ、来年以降の対話の展開に意欲を見せました。
次に、パネリストを代表して挨拶に立った逢沢氏は、ロヒンギャ問題を例示しながら「アジアにおいても『平和と民主主義』が問われるテーマはあるが、EUのアフリカの難民問題に対する対応と比べると出足は遅い」と述べるとともに、このテーマを継続的に議論していくことの必要性を指摘し、言論NPOの今後の取り組みに対して期待を寄せました。
続いて、ドイツ側主催者団体を代表した、フリードリヒ・エーベルト財団東京事務所の初代の代表者であるゲプハルト・ヒールシャー氏も、平和と民主主義をテーマとした対話を行うという取り組み自体を称賛し、「言論NPOとフリードリヒ・エーベルト財団が、今後も日独の対話を継続していくことを期待する」と述べました。
日本側主催者団体を代表して挨拶に立った、言論NPOの理事を務める田中弥生氏(独立行政法人大学評価・学位授与機構教授)は、自身の恩師であるピーター・ドラッカーの著書『経済人の終わり』を引用しつつ、「ナチスの罪を認識しながらドイツの有識者たちは沈黙していた。なぜ、ドイツはそうなったのか。それは『与えられた民主主義と、革命によって自ら獲得した民主主義』の違いが背景にある」と指摘しました。そして、21世紀の日本でも、当時のドイツと同様の現象が起こり得ると警鐘を鳴らし、民主主義を成熟化していくことの重要性を訴えました。
最後に、大野氏は、自身の記者としての経験から、「国内問題だと思っていた課題が、実は国境を越えた世界や地域共通の課題である、ということに気づかされることは多い」とした上で、「そのような課題について、真剣に話し合う場をつくり出している言論NPOの果たす役割は大きい」と述べて、今後の取り組みに対して期待を寄せながら、レセプションを締めくくりました