私たちの宣言

2019年11月19日

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 私たちはこの数年、世界やアジアのシンクタンクと連携して、世界の民主主義の動向を議論し、世論調査などの調査を重ねてきました。

 その中で次第に明らかになったのは、比較的、安定していると言われた日本の民主主義も、世界の民主主義と同じく、動揺を始めていることです。

 欧米では、左右のポピュリズムが台頭し、既成政党は支持を失い、統治の仕組みが不安定化しています。日本ではまだそうした大きな変動こそ見られませんが、代表制民主主義が市民の信頼を失い、政治から市民が退出している構造は、壊れ始めた世界の民主主義の状況と同じです。

 私たちが最近実施した世論調査でも、7割の国民は政治や政党に将来課題の解決を期待できないと答えており、選挙で選んだはずの政治家を自分の代表とは思えないという人も5割近くいます。政治への不信は民主主義自体への懐疑に繋がり、こうした傾向は若者層に顕著に表れています。

 今、私たちが直面しているのは、国民の不信が政党にとどまらず、政治システム全体に広がっていることです。

 本日の議論でも多くの人が発言したように、日本の民主主義は様々な制度的問題を抱えていますが、問題はそれだけにとどまりません。本来期待されていた機能が発揮されず、形骸化しているのです。そして、政党間には、日本が直面する将来課題に対する競争もなく、政治と有権者の距離が広がっています。

 日本では、選挙で選ばれた政治家が政策に責任を持つ、代表制民主主義が統治の原則になっています。今、私たちが直視しなくてはならないのは、その原則自体が多くの人の信頼を失い始めていることです。

 デジタルテクノロジーの進展は、その利便性とは裏腹に、主権者たる国民が自己決定できる環境をさらに狭めようとしています。

 この状況をこれ以上放置していいのか、というのが私たちの問題意識なのです。

 そのため、私たちは作業を急ぐことにしました。


 私たちは代表制民主主義の在り方も含めて、今日の日本の民主主義を構成する、選挙制度や政党組織、国会機能などの様々な仕組みを全面的に診断し、必要な修復は何かを追求して、新しい環境に見合った改革案を提案したいと考えます。

 1990年代に実施した政治改革は、政党本位、政策本位、政権交代可能な競争型の民主主義を目指したものです。その方向が正しかったのかも含めて、その成果の総括も射程に入ってくると考えています。平成の民主主義を検証した上で、令和時代に相応しい民主主義の在り方を模索する段階にあります。

 当然、この改革案の実現を私たちは目指しますが、それ以上に、私たちの民主主義の未来を多くの人が考える、そうした流れを日本社会に作り出したいのです。

 主権者が国民であるべき社会とは、私たちが、自分の意思で政治に参加し、発言し、それぞれの形で課題に責任を持つ、自己決定ができる社会でなくてはなりません。そうした社会こそが、強い民主主義を作り出します。

 私たちは、そうした日本を目指して、アイデアを提案し、皆さんと共に答えを出します。

言論NPO 日本に強い民主主義をつくる戦略チーム

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