渋谷篤男
第7回エクセレントNPO大賞審査委員、中央共同募金会常務理事
1. チャレンジ賞準備に向けた試み
第7回エクセレントNPO大賞では、チャレンジ賞新設のための準備としての試行を行いました。
第6回までの応募書類を拝見しておりますと、きらりと光る活動をされているようなのに、自己評価の方法に慣れず、うまく記せていないものが散見されました。他方で、何度か応募をリピートされているところは、お送りするフィードバック等を参考にされて自己評価力が向上しています。そのため、点数面においても高いところと、低いところの差が広がり、両極に分布する傾向がみられました。また、以前より、エクセレントNPO大賞のハードルが高い、という声を非営利関係者からお聞きしていました。
そこで、いわば入門編としてのチャレンジ賞を設けようと考えました。ただし、どのくらいのご応募があるのか、また、どのような評価基準にしたらよいのか手探りのところがありました。そのような観点から、中央共同募金会のご協力を得て、評価基準の設定および応募の呼びかけをクローズのかたちで行いました。なお、当初「特別枠賞」という名称で進めておりましたが、本賞の趣旨や来年度以降の実施等について検討した結果、「チャレンジ賞」と名称変更させていただきました。
チャレンジ賞の評価基準は次のとおりです。
2. 審査結果
「特例認定特定非営利活動法人 とりで」について
お声がけに応じてくれたのは12団体ですが、今回は、「とりで」が選ばれました。
とりでは、2016年、法人設立とともに、自立援助ホームを設立し、また、子どもの居場所としてのこども食堂、学習支援に取り組むなど、制度外および制度の取り組みにより、一貫して「子どもの貧困」に取り組んできています。
自立援助ホームに続いて、放課後等デイサービス、ファミリーホームを設置し、活動を広げていますが、いずれも小規模であり、制度サービスとしての制限を受けにくい事業に取り組んだことに、この法人の先駆性、民間性を目指す理念・方向性を見ることができます。また、「児童養護施設などの対所児童のアフターケアに関する事業」に取り組むなど、社会への問題提起についても積極的です。
法人のホームページは、自法人の説明よりは、「子どもの貧困」を理解してもらうことに力を割いているのが印象的です。「地域で子育てを支えたい。子どもの貧困をなくしたい」という法人のメッセージも明確に示され、寄付金募集、ボランティアへの参加よびかけも熱心です。
ただ、ボランティア活動の募集がホームページ等において十分に行われていないところが見られます。また、制度外の積極的な取り組みを制度に生かして実行されている姿勢に共感しますが、ボランティアが次々に加わってくるということがNPO法人にとっては重要だと思われます。
さらなる発展のエネルギーを持つことを期待します。