安倍政権の100日
一方、100日後のこれからの政権運営については、「期待できる」は39.2%と4割近くにのぼりましたが、「どちらともいえない」という慎重な見方も3割以上あります。
安倍政権を支持するか
安倍政権を「支持する」という回答は53.1%で、これは過去6回の100日評価アンケートの支持率と比べると最も高い水準であり、これまで最も高かった野田政権の100日時点での評価を20ポイント近く上回っています。「支持しない」という回答は23.2%にとどまり、調査開始以来初めて支持率が不支持率を上回りました。
あなたは、現在の安倍政権を支持しますか。【単数回答】
【参考】歴代政権の100日時点での支持率比較
発足時に抱いていた期待と比べて
また、発足時に抱いていた期待と比べて、100日時点での安倍政権をどう思うか尋ねたところ、最も多かった回答は「期待以上」で42.9%となりました。「期待通り」の21.9%を合わせると6割以上の人が肯定的に評価しています。
安倍内閣は4月4日で発足100日を迎えました。現在までの安倍政権は、あなたが発足時に抱いていた期待に比べどうでしたか。【単数回答】
歴代政権の当初からの期待度比較
安倍政権に期待した役割とは
では、安倍政権は誕生時、どんな役割を期待されたのでしょうか。安倍政権に本来期待されていた役割を問う設問で最も多かった回答は、「中長期的な成長戦略を立て、『強い経済』を実現すること」(49.6%)が最も多く、「財政再建への取り組みを本格化すること」(32.2%)、「デフレ経済を立て直すこと」(27.7%)、が続きました。
あなたが安倍政権に期待した役割は何ですか。【3つまで回答】
今後の政策運営に期待できるか
「安倍政権の今後の政策運営に期待できるか」という問いに対しては、約4割の39.2%が「期待できる」と回答しており、「期待できない」との回答(19.2%)を大きく上回りました。ただ、「どちらともいえない」と判断を見送った人も3割以上(33.4%)います。
安倍政権の100日をご覧になって、安倍政権の今後の政策運営をあなたは期待できますか。【単数回答】
【参考】歴代政権の今後の期待度比較
100日時点で見た安倍首相の資質
言論NPOでは、100日時点で見た首相の資質に関して、①首相の人柄、②首相の政策決定におけるリーダーシップ(指導力)や政治手腕、③首相としての見識、能力や資質、④政権として実現すべき基本的な理念や目標、⑤既に打ち出されている政策の方向性、⑥これまでの政策面での実績、⑦安倍政権を支えるチームや体制づくり、⑧国民に対するアピール度、説明能力、の8項目について、「よい」(5点)「ややよい」(4点)「ふつう」(3点)「ややよくない」(2点)「よくない」(1点)と「わからない」の6段階で評価しています。
この結果、安倍首相の100日時点での評価は、この8項目の平均で3.3点(5点満点)と、安倍(第一次)、福田、麻生、鳩山、菅、野田の各政権の100日評価と比較すると、際立って高い評点が出ています。特に第一次安倍政権との比較においても、1点以上上回っています。
最も評価が高かったのは「指導力や政治手腕」の3.6点で、他の項目でも調査開始以降の最高点を記録しています。
今回の評価では、この首相の資質を問う8項目の評価を5点満点で点数化してレーダーチャートで表示しています。
安倍政権のこれまでをご覧になって、首相の実績や資質に関して以下の項目をあなたはどう評価しますか。
【参考】歴代首相の資質に関する評価
安倍政権が打ち出した個別課題への評価は
安倍政権における政策課題の実行に関して100日時点で①うまく対応できた、②うまく対応できていないが、今後期待できる、③対応できておらず、今後期待もできない、④わからない、の4段階で有識者に評価してもらいました。
その結果、安倍政権の100日で、①の「うまく対応できた」、②の「うまく対応できていないが、今後期待できる」が合わせて50%を超えたのは、「政策決定における首相のリーダーシップや統率力」(74.8%)や「堅密な日米同盟の復活」(71.8%)、「TPPへの参加」(69.4%)などをはじめとして7項目ありました。
逆に、③の「対応できておらず、今後も期待できない」で最も多かったのが、「一票の格差と選挙制度の見直し」の52.9%で、その他にも50%を超えたものとしては、「地方に対する権限移譲や規制緩和などの地方分権改革」(51.9%)、「持続的な社会保障制度に向けた改革」(51.6%)と3項目ありました。この厳しい評価が「うまく対応している」、「うまく対応できていないが、今後期待できる」の合計を上回った政策課題は上記3項目の他にも、「聖域なき規制改革」(49.4%)、「電力システムの抜本的な改革」(47.4%)、「竹島の領土問題解決に向けた取り組み」(47.4%)など15項目にも及びます。
安倍政権のこれまでの対応や打ち出している政策について、あなたはどう思いますか。
安倍政権に求められる国民への説明課題とは
安倍政権が現在、国民に説明を求められている課題の中で、有識者がその説明を十分ではないと感じているものを聞いたところ、最も多かった回答は「日本の財政破たんをどのようにくい止めるのかの道筋」の46.1%で、「原発再稼働に向けた道筋と新しい日本のエネルギー政策」(32.4%)、「社会保障制度をどう持続的なものにするのか」(30.9%)が続きました。
前回、野田政権時の100日評価でも上位に入っていた「日本の財政破たんをどのようにくい止めるのかの道筋」が、自民党へ政権交代した現在においても、依然として重要な国民への説明課題であることが明らかになっています。
あなたは、安倍首相が現在、国民への説明を求められている課題で、その説明が十分でないと感じているものがありますか。【2つまで回答】
「アベノミクス」は成功するか
安倍首相就任後、いわゆる「アベノミクス」によって、円安が進み、株価が上昇するなど、経済に明るい兆しが見えてきました。しかし、アンケートでは53.9%と半数以上の有識者は「一定程度成功するが、長くは続かない」と回答し、ある程度は有効な政策であるものの、その効果は限定的であると考えています。
安倍首相就任後、大胆な金融緩和、機動的な財政政策、成長戦略の3つを柱とする「アベノミクス」によって、円安が進み、株価が上昇するなど、経済に明るい兆しが見えてきました。あなたは、安倍政権の経済政策はこのまま成功すると思いますか。【単数回答】
「一票の格差」と解散総選挙
昨年の衆議院選挙の「一票の格差」を巡る訴訟で、各地で違憲、または違憲状態との判決が出され、さらに広島高裁では選挙無効の判決も出されました。この格差を是正後、衆議院を解散するべきかという問いに対して、49.9%と約半数の有識者は「解散する必要はない」と考えています。一方で、「解散するべき」という回答も33.4%と一定数ありました。
昨年の衆議院選挙の「一票の格差」を巡る訴訟で、16件全てで違憲、または違憲状態との判決が下され、広島高等裁判所では選挙無効の判決が下されました。あなたは、「一票の格差」の是正が行われた後、直ちに衆議院を解散するべきだと思いますか。【単数回答】
憲法を改正すべきか
安倍首相のこれまでの発言から、今年7月の参議院選後に憲法改正に向けた動きが加速することが予想されています。この動きについて、「賛成」(23.9%)、「どちらかといえば賛成」(26.4%)を合わせると50.3%になり、半数を超える有識者が憲法改正について肯定的な評価をしています。ただ、「反対」(23.2%)、「どちらかといえば反対」(20.0%)という否定的評価の合計も43.2%と4割を超え、見方が分かれています。
安倍政権は、これまでの発言などから、今年7月の参議院選後に憲法改正に向けた動きを加速させるのではないかと見られています。あなたは、憲法改正について賛成ですか。反対ですか。【単数回答】
安倍外交の評価
「戦略的な外交」、「普遍的価値を重視する外交」、国益を守る「主張する外交」を基本方針とする安倍政権の外交政策について、「現実的な外交を行っており全体的に評価できる」(40.4%)という評価が最多となっています。しかし、「現実的な外交は行っているが、リーダーシップを発揮しているとはいえない」という回答も23.7%あり、安倍首相の指導力を疑問視する声も一定数存在しています。一方、「安倍首相はナショナリストであり、不安である」と懸念する声は19.0%と2割以下にとどまっています。
安倍政権は外交政策の基本として「戦略的な外交」、「普遍的価値を重視する外交」、そして国益を守る「主張する外交」を挙げています。安倍政権の100日間をご覧になって、安倍政権の外交姿勢についてどのようにお考えですか。【単数回答】
日本の政党政治の今後
アンケートでは日本の政党政治の今後についても尋ねています。昨年の衆議院総選挙の結果、「自民党を中心とした政治が長期化し、一極化する」と考えている人が36.4%と最多となり、「政界の再編や混乱が繰り返され、政党政治自体が信頼を失う」という回答は2番目に多かったものの、15.2%にとどまりました。一方、「民主党が再建され、再び自民と民主の二大政党に戻る」と考えている人は2.2%にすぎず、民主党にとってきわめて厳しい結果となっています。
日本の政党政治の今後についてお聞きします。あなたは、自民党の政治(連立も含めて)は長期化すると思いますか。それとも再び、政界再編などが起きると思いますか。【単数回答】
参議院選挙の争点
7月の参議院選挙で問われる争点は何だと思いますか。【4つまで回答】
日本政治の現状認識
「日本の政治の現状をどのように判断していますか」という設問では、「新しい国や政府、社会のあり方をまだ模索している時期」という回答が43.6%で最多となり、前回の野田政権100日評価時(15.0%)と比べると3倍近く増加しました。一方、その前回調査時に1位(41.7%)だった「政府の統治(ガバナンス)が崩れ、政治が財政破綻や社会保障などで課題解決できないまま混迷を深める国家危機の段階」は今回20.7%と半減。さらに、2位(36.9%)だった「既存政党の限界が明らかになり、政策を軸に政界再編に向かう過渡期」との回答も今回17.5%と半減しました。
代わって2位に浮上したのは、「未来の選択肢が政党から提起されないまま、サービス合戦や官僚たたきに明け暮れ、ポピュリズムが一層強まる時期」(30.4%)で、こちらは前回調査時(27.4%)から大きな変動はありませんでした。
あなたは、今の日本の政治の現状をどのように判断していますか。【2つまで回答】
既存政党に対する評価は
現在の日本の既存政党についての設問では、「全ての既存政党に期待している」(1.7%)、「いくつかの政党には期待している」(44.6%)の肯定的な立場の合計が46.3%。一方、「全ての既存政党には期待していない」(8.7%)、「ほとんどの既存政党には期待していない」(37.9%)の否定的な立場の合計が46.6%となり、非常に拮抗しています。前回調査では「期待している」が10.8%であったのに対し、「期待していない」が61.8%と大差がついていたことを考えると、既存政党への期待が回復してきていることがわかります。
あなたは、現在の日本の既存政党に期待していますか。【単数回答】
【調査に関するお問い合わせ】
このアンケートに関してご不明な点などがございましたら、
言論NPO事務局(TEL:03-3527-3972 担当:宮浦)までお問い合わせください。
※なお、記述回答の結果につきましては、2013年4月下旬に言論NPOウェブサイト上で公表いたします。