鳩山政権発足から100日目にあたる12月24日、言論NPOは東京・内幸町の日本プレスセンタービルにおいて記者会見を行い、「鳩山政権100 日評価」結果並びに「鳩山政権100日評価アンケート」の結果を公表しました。言論NPOでは過去3回(安倍政権、福田政権、麻生政権)にわたり、これまでにも政権発足100日という節目において有識者を対象とするアンケート調査を行い、その集計結果を公表してきましたが、今回はそれに加え、100日間の政権運営に対して言論NPOとしての独自の評価を行い、その評価結果を発表しました。
会見には言論NPO代表の工藤泰志のほか、言論NPOの「マニフェスト評価委員」の中から、齊藤誠氏(一橋大学大学院経済学研究科教授)、生源寺眞一氏(東京大学大学院農学生命科学研究科長)、土居丈朗氏(慶應義塾大学経済学部教授)、松下和夫氏(京都大学大学院地球環境学堂教授)、上昌広氏(東京大学医科学研究所特任准教授)、古川勝久氏(安全保障問題研究家)、山田久氏(日本総研調査部ビジネス戦略研究センター所長)が同席しました。司会は田中弥生氏(独立行政法人大学評価・学位授与機構准教授)が務めました。
会見の冒頭では、まず工藤が鳩山政権の100日評価に関する有識者アンケートの結果について、これまでの安倍、福田、麻生の自民党の3政権の100日時点での評価アンケートとの比較も交えながら説明を行いました。その中では、鳩山政権の支持率は33.0%と、不支持率の41.4%を下回っており、今後の政権運営にも「期待できない」との声が49.4%と半数を超えたこと、さらに鳩山首相の首相としての資質や実績に関する8項目に対する5段階評価は2.4点でしたが(過去の結果:麻生1.8、福田2.3、安倍2.3)、その中で「指導力」については1.7点(麻生1.6、福田2.4、安倍2.1)と、自民党末期の麻生政権と並ぶ低い水準にとどまっていることなどが報告されました。
これを受けて生源寺氏は、アンケートの中で民主党の個別政策への信認度が低かったことに触れ、「アンケート結果は政府と少し距離を置いたところで評価ができる人たちの回答で構成されており、その意味では非常に冷静に見ているな、と判断している」と発言し、齋藤氏は「マニフェストの様々な項目に修正を求める意見が多かった、というのが特徴だ。民主党のマニフェストでは、たとえば『子ども手当が何年後、出生率の回復にどのくらい寄与するのか、費用対効果で見たときに適切なものなのか』などといったことが一切説明されていない」と述べ、「マニフェストを修正していくことは今後不可避である」との見方を示しました。
続いて、言論NPOが行った鳩山政権100日の実績評価の結果について、まず工藤が全体的な説明を行いました。この中で工藤は、「政策というものは、課題認識と課題解決に伴う目的・目標-手段という体系性を持つべきものであって、単なる支出の計画では高い評価は与えられない」という点を強調し、先の民主党マニフェストの政策体系の曖昧さが、100日時点でマニフェスト実行に伴う混乱につながっている、と指摘しました。そのうえで、鳩山政権の100 日時点での評価が「C」という今回の結果について「マニフェストの実行を強く意識している点では期待を持たせるものであるが、実行のプロセスで意見調整に時間がかかり、首相のリーダーシップや説明責任にも問題がある。無駄の削減も十分でなく、結局はマニフェストの修正と埋蔵金頼みの予算につながった」とまとめました。また、予算編成過程の最後の段階で、党の要望で意思決定が促されてしまったことなどにも触れ、これらが実行過程の不透明性や説明責任の採点が評価を下げる原因となったことなどについても、説明を行いました。
その後は同席した8名の評価委員から、各分野での評価の視点などについてそれぞれ説明が行われ、続いて記者との質疑応答が行われた後、会見は終了しました。
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文責:インターン 楠本純(東京大学)