言論NPOではマニフェスト評価の一環として「麻生政権100日評価」のアンケートを実施していますが、それと連動する形で「100日評価」に関する座談会が12月22日、都内で行われ、中谷元氏(衆議院議員、自民党)、仙谷由人氏(衆議院議員、民主党)、添谷芳秀氏(慶應義塾大学法学部教授)、若宮啓文氏(朝日新聞コラムニスト)の4氏が参加しました。司会は、言論NPOの代表の工藤泰志が務めました。
「麻生政権100日評価」は、安倍政権、福田政権に続き今回の麻生政権で3度目の試みですが、これは政治と有権者との間に政策の実行に関する緊張感ある政治をつくりたいとの目的で行われているものです。どのような政権でも発足から100日が経過すれば有権者の厳しい評価を受けるべきだ、という理念のもとで政権発足100日に合わせて有識者のアンケートを行い、言論NPOのマニフェストの評価作業とも連動して評価が行われます。
まず、現在のアンケート結果の中間段階の集計状況に関して工藤から説明がありました。ここでは、現時点の麻生政権への評価は安倍政権、福田政権の発足100日時点での評価を大きく下回っており、総選挙については「すぐにでも行うべきだ」という回答が過半数を超えていること、それに対し民主党への政権交代への期待する人は増えているが、民主党の政策自体を評価している人は少数に留まっており、政権交代を通じて政治の構造変化を求めているのが特徴であること、また現在の政治状況について「政権交代によって一度壊すべき時期」や「既成政党の限界が明確になって政界再編に向かう過渡期」と見る傾向が高まっており、既成政党に関する不信は増加していること、などが報告されました。
座談会ではこれらのアンケート調査の傾向について4氏が議論を行うと同時に小泉政権から続く構造改革への評価、なぜ日本の政治はこの経済危機に一緒に取り組めないのか、民主党への政権交代への期待がありながら政策に評価が向かわないのはなぜか、政界再編の問題など、調査結果で浮かびあがった様々な論点に関して議論が行われました。
これらの議論を踏まえて工藤は最後に、多くの人がアンケートで今度の選挙では経済対策の中身と同時にこの国の進路とそれに対する道筋、改革の目標を求めていることを示しながら、「今の政治は選挙に対する政局的な判断だけで動いている。アメリカでは1月にオバマ政権が誕生し世界の危機が日本の実体経済に直撃する中で、経済の緊急対策だけではなく、日本の進路を巡る健全な政策競争が政治の世界で始まらないのも、その責任を多くはこういう政治を許している有権者にある。政治に対しては民間の対抗力を強めない限り、この閉塞状態は変われない」と語り、新年はこうした評価活動に加え、日本の進路を問うために様々な議論を言論NPOとして行うことに強い決意を示しました。
議論の詳細につきましては来年1月6日、「麻生政権100日評価」アンケートの最終結果とともにご報告いたします。
文責: インターン 長瀧菜摘 (中央大学)