「福田政権100日評価」座談会 【レポート】

2008年2月20日

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2008年2月15日
加藤紘一氏、添谷芳秀氏、若宮啓文氏が出席。

 言論NPOはマニフェスト評価の一環として「福田政権100日評価」のアンケートを実施していましたが、アンケートの結果をもとに、加藤紘一氏(衆議院議員)、添谷芳秀氏(慶応義塾大学法学部教授)、若宮啓文氏(朝日新聞論説主幹)の3氏に福田政権の100日の現状の評価を行っていただきました。議論は福田政権の現時点での全般的な評価のみならず、政権交代の可能性や大連立、政界再編などに及びました。司会は、言論NPOの代表工藤泰志が務めました。

 まず福田政権全般の評価について加藤氏は、日中・日韓関係を進展させたことは大きな成果だが、やはり国内政治については安倍前総理の残した国会のねじれ現象という難題に苦しんでいる、と指摘。若宮氏は、100日評価を見る限り、福田政権は有識者からはさほど期待されていなかったようだが、自民党内に一定の安心感は広がっていると語り、添谷氏は外交面では安倍前総理の遺産を引き継いで日中・日韓関係をより進展させたものの、内政面ではまとまった政策構想を持っておらず、急進的だった安倍政権と比べてより順当で無難な政策をとってきたことがこれまでの成果だと述べました。

 大連立への一連の動きについては、加藤氏はもしも大連立が実現していたら福田政権の評価はむしろ下がったはずで、そもそもねじれ国会の運営は大連立をしなくとも小さな問題から話し合いで解決するといった方法によって可能であるはずだと発言。添谷氏は小沢党首は大連立によって自民党を内側からイデオロギー的な対立軸に沿って壊すつもりだったのではないかと述べました。

 さらに議論は政界再編の問題にも及び、加藤氏は、既存政党を軸とした政界再編はない、と次の選挙後に政界再編が避けられない、との見通しを示すと同時に、そのためにも現状の小選挙区制から中選挙区制に戻す必要がある、と問題提起しました。これに対して若宮氏は中選挙区制の復活はそう簡単なものではないと指摘。添谷氏も中選挙区制になることがどう政権交代につながるかの、シナリオはあるのか、と疑問を投げかけました。これに対して加藤氏は、小選挙区になったからの4回の選挙でも政権交代は起こらず、今の二つの政党は対立軸が描けていない、とこれまでの政治改革の流れに否定的な見解をしめしました。

 総選挙の時期について加藤氏は、「今は自民党と民主党ともに選挙を行いたくないという状況が続いている」などと語り、選挙を行うべとの「べき論」と実態のかい離が永田町で進んでいることは三氏の共通認識でした。ただ、この一年は政策論の中で対立軸を求める動きが重要になるとし、有権者が政策本位で議論を行うためにも、言論NPOやマスコミがこの面での議論形成を行い、政治にプレッシャーをかけていくことが重要であるという点では意見は一致しました。

 この座談会の内容は後日、公開いたします。


文責:インターン 水口智(東京大学)