私も評価に協力しました
橘川武郎氏 東京理科大学 大学院イノベーション研究科 教授 |
松下和夫氏 |
山本隆三氏 常葉大学 経営学部 教授 |
原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原発の再稼働を進める
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評価理由に関するコメント | |
橘川武郎氏 |
2 |
新規制基準にもとづく原子力規制委員会の審査自体が遅滞している。そのなかで、高経年原子炉の運転延長審査のみがスムーズに進行したことには、違和感を覚える。安倍首相自身が、原子力発電の将来像について、あいかわらず明確な見解を表明していない。 |
松下和夫氏 |
2 |
再稼動に関する政治的責任を回避している。また、「原発依存度を可能な限り減らす」という公約と整合性が取れていない。 |
山本隆三氏
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4
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エネルギーミックスで目標とされている2030年の低炭素電源比率44%の実現のためには、40年を超えた原発の利用を行い、場合によっては建て替えも行う必要があるが、その問題については、まだはっきりとした指針が示されていない。エネルギーミックス、温暖化目標との整合性を図ることが必要だろう。
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「エネルギー基本計画を踏まえ、徹底した省エネ、再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電の高効率化などにより、原発依存度を低減させる
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評価理由に関するコメント | |
橘川武郎氏 |
1 |
エネルギー基本計画のなかで、高速減容炉へ用途転換し、バックエンド対策上重要な役割を果たすと明記した「もんじゅ」の廃炉を決定したのは、明らかな閣議決定違反。秋から年末にかけて、原子力政策・電力政策に関して「拙速」とも言える強引な方針決定があいついだが、その中には、東電の原子力事業分社・連携案のような実現性が低いものも含まれている。 |
松下和夫氏 |
2 |
2015年7月策定の電源ミックスでは、2030年の再生可能エネルギー電源比率が22~24%にとどまった。また原発の廃炉費用の一部を新エネルギー事業者にも託送料金に上乗せして徴収するのは汚染者負担原則に反し、再生可能エネルギーの拡大を抑制するものである。 |
山本隆三氏 |
3 |
省エネが実現する前提は、経済成長があり、製造業をはじめとした産業界が設備を入れ替えること。失われた20年間の間、製造業は設備更新と研究開発投資を手控え、借入金の返済を優先した。設備が更新されなければ、エネルギー効率は改善せず、省エネは実現しない。再生可能エネルギーの導入はエネルギーコストと電気料金上昇を引き起こす。経済成長が実現し、企業収益、所得の伸びがなければ、コスト上昇に耐えることは難しい。いずれも経済成長が前提であり、目標達成の可否はまた不透明と言える。 |
3段階の電力システム改革を完遂し、エネルギー供給構造の一体改革を推進する
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評価理由に関するコメント | |
橘川武郎氏 |
3 |
ガス小売りの全面自由化へ向けた準備が進行した点は、評価できる。ただし、電力小売りの離脱率が3%にとどまるなど、システム改革の先行きには不透明感が残る。 |
松下和夫氏 |
2 |
電力システム改革については、一定の進展が見られたものの、経済産業省の「電力システム改革貫徹のための政策」は、きわめて問題が多い。東京電力が起こした過酷事故の費用を原発とは無関係な事業者に負担させることは、汚染者負担の原則に反する。この政策は電力自由化に反し、集中型電源重視で分散型電源の抑制につながる。 |
山本隆三氏 |
3 |
エネルギー市場の自由化を主要国で最も早く行なった英国は、依然として自由化の成果を得たと言える状況になく、エネルギーコストの上昇と発電設備の減少に悩みを深めている。英国では自由化後25年以上経っても、自由化の弊害を防ぐ有効な手段が見つからないと言える。ポール・クルーグマンが指摘するように「電気」は市場に任せるのは不適切な商品かもしれない。日本でのシステム改革の行方もバラ色ではなく、試行錯誤が必要になる可能性がある。 |
地球温暖化を食い止めるため、パリ協定の実施に貢献する
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評価理由に関するコメント | |
橘川武郎氏 |
3 |
2050年までに温室効果ガス排出量を80%削減するという目標を掲げた温暖化対策を閣議決定したことは、評価できる。ただし、2030年の電源構成で火力発電を56%とした昨年の閣議決定(いわゆる「電源ミックス」)とのあいだには、明らかな齟齬が存在しており、政策に一貫性がない。 |
松下和夫氏 |
1 |
パリ協定の批准が遅れたこと、2030年の削減目標が不十分であること、長期低炭素発展戦略の策定が遅れていること、石炭火力の新増設を国内外で推進していること、再生可能エネルギーの拡大が不十分なこと、炭素の価格付け(カーボンプライシング)が進んでいないこと、などからパリ協定の実施に貢献しているとは評価できない。 |
山本隆三氏 |
3 |
温室効果ガスの削減には、エネルギーミックスと省エネ計画の実現が必要だが、先に指摘したように、その大前提は経済成長になる。かなりの経済成長が実現しなければ、エネルギーミックスも省エネも実現せず、日本が目標として掲げる2013年比2030年26%温室効果ガス削減の実現も危ぶまれる。 |
評価コメントは以下の基準で執筆いただきました
・すでに断念したが、国民に理由を説明している |
1点 |
・目標達成は困難な状況 |
2点 |
・目標を達成できるか現時点では判断できない |
3点 |
・実現はしていないが、目標達成の方向 |
4点 |
・4年間で実現した |
5点 |
新しい課題について
3点 |
新しい課題に対する政策を打ち出し、その新しい政策が日本が直面する課題に見合っているものであり、かつ、目的や目標、政策手段が整理されているもの。または、政策体系が揃っていなくても今後、政策体系を確定するためのプロセスが描かれているもの。これらについて説明がなされているもの |