私も評価に協力しました
川崎興太氏 |
寺島英弥氏 |
被災現場の実情や将来展望などに合わせた細やかな施策を展開できるように必要な財源確保に努める
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評価理由に関するコメント | |
川崎興太氏
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被災現場の実情や将来展望などに合わせるというよりも、成長社会に創設された「空間の再生」自体を目的とするハード偏重型の既存制度に合わせて多額の予算が投じられてきており、「被災者の生活再建」に必要な予算が十分に確保されているとは言い難く、特に福島県では今なお将来の見通しが立てられずにいる被災者が多い。
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寺島英弥氏
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政権が、復興のリーディングプロジェクトと位置付けた被災地の三陸自動車道など道路建設や、高台移転地造成と災害公営住宅の建設
、港湾の再建など、インフラ整備には最優先で予算が投じられ、確かに進捗した。しかし、既に4年という歳月に比して町々の再生は緒についたばかりで、 待てない被災者の人口流出も進んだ。見えない問題、新たに山積する課題への対処は遅れ、あるいは手付かずだ。「国が全面に出る」 と安倍晋三首相をはじめ政府が言及してきた福島第1原発事故の風評問題は、実際には被災地側に克服の責任とコストを背負わせ、 原発への信頼が回復されないまま、風評が「壁」となって農水産業や製造業の市場回復と自立を阻んでいる。共同体を喪失した人々の災害公営住宅での孤立、 高齢化と要介護者、生活保護受給の増加も顕在化し、福祉の予算削減と人手確保難は深刻だ。インフラだけは立派に「創造的復興」 が成されても、人も自立の力も戻らぬ状態を「復興」と呼べるのか? 復興五輪とは名ばかりに迷走する、20年東京オリンピックの天 文学的予算に注がれる被災地の目も厳しい。 |
中間貯蔵施設整備や指定廃棄物の処理に、引き続き国が前面に立って取り組む
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評価理由に関するコメント | |
川崎興太氏
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福島県の指定廃棄物の処理については、既存の管理型処分場が国有化されるなど、早期搬入に向けた条件が整備されつつある。他方、中間貯蔵施設の整備については、国は東京オリンピックが開催される2020年までの見通しを示しているが、今なお確保できた用地は全体面積である約1,600haのうちの1割程度にすぎない。なお、国の方針では、中間貯蔵開始から30年以内に福島県外で最終処分を完了するものとされているが、これについては全く見通しが立っていない。
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寺島英弥氏
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中間貯蔵施設は、福島県双葉町、大熊町にようやく今年着工されたばかり。2000人を超える地権者の同意取り付けも途上で、当初14年4月着工とされた
2200立方メートルの巨大施設の建設は遅れに遅れている。福島県内の被災地からの放射性廃棄物の搬送 も増えているが、除染土のフレコンバックは撤去時期が見通せないままに被災地の山野と農地を埋め続ける。他県の指定廃棄物の処理 についても、処分地選定を地元の県任せにした政府の無責任な姿勢から、「風評」発生や安全への懸念を募らせる自治体間の対立や反 対運動を招き、宮城県ではいまだに未解決のままだ。この問題は、政府の失態の要素が大きいのではないか。 |
2017年3月までに避難指示解除準備区域、居住制限区域の避難指示を着実に解除できるよう、復興の動きと連携した効率的な除染を実施する
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評価理由に関するコメント | |
川崎興太氏
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本来「加速化」されるべきは被災者の生活再建であるが、復興期間が終了し、復興庁が解体され、東京オリンピックが開催される2020年までに、原発事故を克服した国の姿を形づくるため、逆に、被災者や被災地の実態にかかわらず、避難指示の解除、被災者への支援と賠償の打ち切りが「加速化」されている。避難指示の解除にあたっては、その前提として除染が行われているが、除染の効果には限界があり、既に避難指示が解除された地域であっても、多くの被災者が望む原状回復はおろか、年間追加被曝線量1ミリシーベルトにまで及ばない場合が少なくないのが実情である。にもかかわらず、除染を実施し、安全に安心して暮らすことが可能な環境が回復したので、避難指示を解除し、被災者への支援と賠償を打ち切るということになっており、被災地の実態や被災者の認識とは大きく乖離した復興政策が展開されている。
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寺島英弥氏
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福島県内の被災地で「居住制限」以下の区域の避難指示解除は、17年3月までにほぼ終わる。政府は解除条件である各市町村での除
染も完了するーとしている。が、実際には、例えば飯舘村では、表土を5センチ削られた田畑に山砂が覆土されて砂漠のようになり、 住民たちの不安を受けて環境省が急きょ「地力回復工事」を追加し、遅い地区でさらに1~2年の完了遅れが生じる見込みだ。さらに 、前述した中間貯蔵施設の整備遅れから、同村では水田などを借地した仮置き場にフレコンバッグが山積されたまま。避難指示解除が されても、復興の土台となる農地の再生は当分見込めない。大半の農家は「風評」を恐れて生業再開を諦めており、除染後の農 地の保全自体が難題となる。また、家屋は除染されたが、農家の一部である屋敷林や裏山では汚染土の剥ぎ取りが行われず、放射線量 が高いままだ。帰還後の暮らしの安全を求める住民に環境省は応えておらず、住民の帰還意向の低さにもつながっている。環境省は本 年度から遅まきながらモデル除染実験を始めたが、「年間1ミリシーベルト」という長期目標を掲げた政府が被災地に向ける姿勢には疑問符が付く。 |
東京電力福島第1原発の廃炉・汚染水対策に、引き続き国が前面に立って取り組む
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評価理由に関するコメント | |
川崎興太氏
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福島復興の大前提である廃炉・汚染水対策については、ロードマップが示されているが、ほとんど見るべき成果があがっておらず、その妥当性や実効性を判断できる状況にはない。
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寺島英弥氏
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福島第1原発の廃炉そのものがどうなっていくのか、どうすればいいのか、誰も見通せないのではないか。廃炉コストの最新試算は
21・5兆円に膨らんだ。それも根拠のある数字ではない。政府、東京電力の手に終えず、電力料金に上乗せし、国民に負担させる方向と報じられている。 が、それにはまず、手に負えぬほどの結果をもたらした原発事故への責任を政府が認め、被災者と国民に謝罪を することが前提ではないのか。汚染水処理もまた予断を許さない問題課題が山積している。汚染水が増える原因である、原子炉周辺の 地下水を止める凍土壁設置の効果が定かでないなど、対策にいまだ切り札はない。さらに大きな懸念を招いている問題が、汚染水の「多核種除去設備(ALPS)」 でも処理し切れない放射性物質トリチウムの廃液約80万トンの処理だ。原発構内のタンクに貯蔵されているが、 田中俊一原子力規制委員長を中心に政府内から「希釈して海洋放出を」という声が強まり、現在、政府の検討委員会が処分案を議論し ている。海洋放出を恐れているのが、地元福島県の漁協と漁業者たちだ。原発事故後、自ら魚介類のモニタリング調査に取り組み、 12年から福島県の監督の元で試験操業を重ねて、漁業復興を目指してきた。安倍首相が「汚染水はコントロールされている」と国際公約して20年東京オリ ンピックを招致した手前、その前に政府は目に見える問題解決を急ぎたいと見えるが、膨大なトリチウム廃水が海に放出されれば、その努力を無に帰すような風評が 国内外に広がると漁業者たちは反対している。海洋放出案の相手方は福島の漁業者のみでjはない。 |
国土強靱(きょうじん)化法に基づき事前防災・減災、老朽化対策を協力に推進する
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評価理由に関するコメント | |
川崎興太氏
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3
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大規模自然災害等に対する防災・減災対策は我が国の重要な課題であるが、今後の急激な人口減少・少子高齢化、厳しさを増す財政状況などの社会経済的条件を踏まえて、事業実施の必要性と合理性を慎重に評価・検討する必要がある。
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寺島英弥氏
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評価コメントは以下の基準で執筆いただきました
・すでに断念したが、国民に理由を説明している
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1点 |
・目標達成は困難な状況
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2点 |
・目標を達成できるか現時点では判断できない
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3点 |
・実現はしていないが、目標達成の方向
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4点 |
・4年間で実現した
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5点 |
※ただし、国民への説明がなされていない場合は-1点となる
新しい課題について
3点
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新しい課題に対する政策を打ち出し、その新しい政策が日本が直面する課題に見合っているものであり、かつ、目的や目標、政策手段が整理されているもの。または、政策体系が揃っていなくても今後、政策体系を確定するためのプロセスが描かれているもの。これらについて説明がなされているもの |