私も評価に協力しました
加藤出氏 |
矢嶋康次氏 |
菅原淳一氏 みずほ総合研究所株式会社 調査本部 政策調査部 上席主任研究員) |
その他、氏名の公表はご遠慮させていただきますが、
3名の専門家の皆様にご回答いただいています。 |
「三本の矢」で 10 年間の平均で名目 3%程度、実質 2%程度の経済成長を達成し、雇用・所得の拡大を目指す 【出典:2014年J-ファイル】
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評価理由に関するコメント |
加藤出氏
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2
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日銀は日本の潜在成長率を0.5%前後と推計しており、労働年齢人口減少等を主因に先行きもその低迷は予想される。人口問題への対策に踏み込みがあまり見られない中で、名目3%、実質2%の成長を続けることは難しい。また、2020年代後半以降、後期高齢者の医療費国庫負担増大などを主因に財政が益々厳しくなることが予想される一方で、税金を負担する労働年齢人口は顕著な減少トレンドにある。将来の財政に対する不安が企業や家計を不安にさせ、投資や消費を慎重化させている。日本国債の信用力が更に低下すると、日本の金融機関や企業の海外での資金調達コストは跳ね上がる恐れもあり、中長期的な財政再建姿勢をしっかりと市場に示し続ける必要がある。
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矢嶋康次氏
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3
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匿名A氏
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3
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三本の矢の最大の成果は金融緩和の波及効果による行き過ぎた円高の調整。この3年間、大企業(特に製造業)はこの成果の恩恵を受けたが、中小企業への恩恵は少ないままである。既に2015年1Qと2Qはマイナス成長となり、テクニカル・リセッションに陥っている。雇用・所得の拡大を目指した、経済成長は新三本の矢の配分を重視した政策をきめ細かく実施するとともに、収益配分構造を含めた産業の構造的改革が重要になるのではないか。
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匿名B氏
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3
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匿名C氏
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3
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2012年度までに比べると経済成長は底堅くなってきているが、消費税率引き上げ後の影響等もあり、このままでは目標実現は不透明。経済システム改革、人口減少対策の大胆な取り組みが不可欠。
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物価安定目標2%の早期達成に向け、大胆な金融政策を引き続き推進する【出典:2014年衆院選マニフェスト】
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評価理由に関するコメント |
加藤出氏
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2
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日銀が大胆な緩和策を実施していることは間違いないが、金融政策だけでインフレ目標を早期に達成させるには、食品など生活コスト上昇につながる品目の持続的な大幅な値上げが必要となる(サービス価格はすぐには上昇しないため)。それは中低所得層や高齢者の生活を圧迫してしまう。賃金上昇と物価上昇の適度な良い循環を構築することが必要であり、それは金融政策だけではできない。旧「第三の矢」による構造改革が非常に重要。
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矢嶋康次氏
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2
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匿名A氏
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3
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今回の金融政策における量的・質的緩和の波及経路の中での物価上昇を齎す、消費・設備投資・輸出が弱含んでおり、需給ギャップの縮小が期待されるほど見られず、目標水準の"2%"と"早期"の達成は困難ではないか。ただし、日銀のコミットメントは継続していく必要があろう。
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匿名B氏
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2
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デフレ脱却の道筋は見えてきたものの、2%目標達成の展望は立っていない。金融政策頼みの限界も見え始めている。
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匿名C氏
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3
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デフレから脱却する環境は徐々に整いつつあるが、消費者物価上昇率の目標は、ヘッドラインで設定されていることもあり、達成の目途は不透明。マニフェストにはないが、日銀の当初のコミットメントは「2年程度の期間を念頭に」であったので、それが実現できなかったことの説明も必要。
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より弾力的かつ効果的な経済財政の運営を推進し、機動的な政策対応を行い、経済再生に向けて万全を期す。総選挙後、速やかに経済対策を断行し、切れ目のない対応をとる。【出典:2014年衆院選マニフェスト】
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評価理由に関するコメント |
矢嶋康次氏
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2
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匿名A氏
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3
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2014年4月から消費税8%引き上げに伴う消費の落ち込みを回避するために機動的な財政出動がなされたものの、三本の矢のみでは、その効果は発現されていない。
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匿名B氏
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4
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海外景気の下振れに伴う金融市場の調整に対し、機動的な経済対策を講じ、景気失速を回避。
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匿名C氏
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3
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公的需要の実質成長率に対する寄与度が2013年度中はプラスになるなど、機動的な政策対応が行われてきたことは確認できる。しかし、それが経済再生という目標の実現のためには金融政策と同時に成長戦略の進展が不可欠。
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雇用や所得の増加を伴う経済好循環の更なる拡大を目指す【出典:2014年衆院選マニフェスト】
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評価理由に関するコメント |
矢嶋康次氏
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3
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匿名A氏
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3
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"分配"政策にシフトした新三本の矢の成果がでるかどうか、あるいは日本の産業構造の問題を解決しながら、新たな産業が興り、生産性(TFP)向上が可能かどうかが鍵。ただし、日本経済は既に景気後退局面入りの可能性がある中で、中国経済成長の鈍化等日本経済が抱えるリスク要因が顕在化せず、後退局面が短期かつ軽微なものに留まることが前提。
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匿名B氏
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3
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雇用は着実に増え、失業率も低下。賃金は下落に歯止めがかかってきたものの、生産性向上と賃上げの好循環の条件である労働市場改革は進捗せず。
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匿名C氏
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3
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雇用や賃金が増加していることは事実だが、賃金上昇が大企業や製造業に偏っているなど、広がりはまだ不十分。「好循環」を実現するには、雇用制度やコーポレートガバナンス改革が不可欠。
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同一価値労働・同一賃金を前提、パートタイム労働者の均等・均衡待遇の実現に必要な法整備を行い、非正規労働者の処遇を改善する【出典:2013年参院選マニフェスト】
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評価理由に関するコメント |
矢嶋康次氏
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2
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匿名A氏
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3
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非正規労働者の処遇を改善することは重要であるが、その改善が働き方の多様化につながり、労働意欲を向上させ、生産性の向上につながるかが課題。業種別に産業の構造的な問題がある可能性。
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匿名B氏
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3
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2014/4に改正パートタイム労働法が成立。通常の労働者と差別的取扱いが禁止される「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」の範囲を拡大。15/4から施行。非正規労働者全体の処遇改善には職種別労働市場の整備が必要で、現状ではその道筋はみえない。
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匿名C氏
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3
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改正パートタイム労働法の施行などの進展はあるが、雇用システム改革などが不十分で、「均等待遇」の実現は不透明。
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米国と共にTPP交渉をリードし、早期の交渉妥結を目指す。【出典:施政方針演説2015年2月】
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評価理由に関するコメント |
矢嶋康次氏
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4
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菅原淳一氏
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4
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交渉が大筋合意に至ったことを高く評価。ただし、国会審議を含め、発効までにはまだハードルが残っているため4点。合意内容や打ち出されたTPP対策(関連政策大綱)には、期待を下回った部分も。
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匿名A氏
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4
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TPPの交渉妥結は大きな成果。ただし、国内への影響について、さらにきめ細かく商品・サービス別に分析を重ね、早期に対応策を考える必要があるのではないか。
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匿名B氏
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5
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2015年秋に大筋合意。
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匿名C氏
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5
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TPPの交渉妥結という目標は実現。
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今年スタートした国家戦略特区の更なる制度拡充を図る【出典:2014年衆院選マニフェスト】
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評価理由に関するコメント |
矢嶋康次氏
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4
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匿名A氏
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3
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国家戦略特区はの制度拡充は重要であるが、その波及効果がなかなか見いだせない。新たな産業の育成が、国際競争につながるのか、地方創生につながるのか、バランスを持った政策が必要。
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匿名C氏
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5
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国家戦略特区制度が創設されたほか、特区の地域指定、区域計画の認定など、制度の導入・拡充が進展。
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来年度から、より広く負担を分かち合う構造に改革することにより恒久財源を確保した上で法人実効税率の引下げに着手し、数年で20%台まで引き下げることを目指す。【出典:2014年衆院選マニフェスト】
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評価理由に関するコメント |
矢嶋康次氏
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3
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匿名A氏
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3
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他国と比較して水準が高い法人実効税率を引き下げることは問題ないが、それが財政的に厳しい現状において、日本への直接投資を増やすことにつながるなど、どのような具体的な成果があるか不透明ではないか。
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匿名B氏
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3
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2016年度与党税制改革大綱により、16年度に29.97%に低下する見通しに。
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匿名C氏
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3
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法人税率については、20%台への引き下げの目途がつくなど進展あり。しかし、設備投資や対内直接投資の低迷の背景には、人口減少による国内市場の縮小や、不採算企業の滞留による低収益性などがあり、法人税率の引き下げだけでこれらの目標が達成できるか不透明。
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「総合科学技術・イノベーション会議」の更なる機能強化に努めるとともに、世界に伍するための「第5期科学技術基本計画」を策定し、研究開発の抜本的な充実を図る【出典:2014年衆院選マニフェスト】
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評価理由に関するコメント |
矢嶋康次氏
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4
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匿名A氏
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3
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米国、英国、ドイツ、新興国等主要国との比較において、日本の産業にとってバリューチェーン上、研究開発・イノベーションの機能を高めることは死活問題。相対的に官民合わせた研究開発への支出は水準としては遜色ないが、どの分野を強化して、研究開発の成果を経済成長につなげるかの産業界を巻き込んだ具体的な議論は不足していると考えられる。
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匿名C氏
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3
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「第5次科学技術基本計画」の策定などの進展あり。しかし、「世界で最もイノベーションに適した国」になるためには、ベンチャーの活性化を図ることが必要であるが、そのためには雇用システムや金融システムの改革が不可欠で、現時点ではその実現性は不透明。
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iPS細胞を活用した再生医療・創薬や疾患の克服等に向けた研究を強力に推進する【出典:2014年衆院選マニフェスト】
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評価理由に関するコメント |
匿名A氏
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3
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最先端の医療技術を育成することは重要であるが、同時に診療報酬の上昇につながり医療費の増加につながることになり、他の医療技術とのバランスが重要。中長期の方針も必要。
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匿名C氏
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3
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再生医療への財政支援や法整備は進展。しかし、この項目については明確な数値目標等が提示されていないために、評価が困難。
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観光立国を推進すべく、2020 年に向けて、訪日外国人旅行者数 2000 万人、そして 2030 年には 3000 万人を目指す【出典:2014年衆院選マニフェスト】
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評価理由に関するコメント |
加藤出氏
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5
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この1~2年の外国人旅行者の急増は大きな成功と言える。ただし、今の医薬品・化粧品・家電などの「爆買い」がいつまでも持続するとは限らないため、今後はリピーターをよりラグジュアリーな支出のセグメントに誘導できるように工夫していく必要がある。
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矢嶋康次氏
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4
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匿名A氏
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4
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インバウンド需要を増やすことは必要不可欠ではあるが、ニーズに合わせた国内の観光資源の整備を、財政負担を考えながら、効率的・効果的に行うことが重要。特に、インバウンド需要が、安定的かつ持続可能な成長を維持させることが重要である。一時的なブームで終わらせないインフラおよび環境の整備が必要であろう
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匿名B氏
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4
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2015年で2000万人近くの実績見込み。一段の促進に向けた措置も講じている。
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匿名C氏
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5
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円安の効果もあり、訪日観光客は増加しており、目標を前倒し達成する勢い。
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2020年までにあらゆる分野で女性が指導的な地位を占める割合を30%以上とする目標を実現【出典:2012年衆院選マニフェスト】
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評価理由に関するコメント |
矢嶋康次氏
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3
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匿名A氏
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2
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同比率が30%以上は、2020年までには厳しいと考えられる。官公庁等を入れた数値でも約11%、上場企業でデータが取れるところでも6%弱であることからが理由。同比率、就業者比率等において、業種別に格差があり、企業ごとにも格差があり、課題をきめ細かく把握し、それに対する有効な施策を検討する必要があろう。
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匿名B氏
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3
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2015年度に女性活躍推進法を成立させる。ただし、30%以上の達成は不透明。
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匿名C氏
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3
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女性活躍推進法が成立するなど進展はあるが、働き方の改革などが不十分であり、現時点で30%以上との目標が実現できるかは不透明。
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日中韓FTAや東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などのアジア太平洋における広域経済連携の取組みや、EUとの経済連携協定などを通じた自由貿易化を促進する。【出典:2014年J-ファイル】
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評価理由に関するコメント |
矢嶋康次氏
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2
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菅原淳一氏
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2
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日中韓FTA、RCEP、日EU・EPAとも、期待された2015年内の大筋合意には至らず。TPP大筋合意を受け、交渉の加速が期待されているが、すでに難航の兆しも。TPPに比べ、交渉状況に関する情報が開示されていないこともマイナス要素。
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匿名A氏
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3
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自由貿易化の推進は重要であろう。例えば、既に海外に進出している日系企業は自由化の進展した地域で、関税の撤廃の恩恵を受けるような戦略を実行している会社もあるため。
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匿名C氏
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3
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交渉中であり、TPPの成立は追い風になるが、現時点でこれらの経済連携が実現するかは不透明。
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コーポレートガバナンスの強化により、グローバル競争に打ち勝つ攻めの経営判断を促す企業統治改革を進め、健全かつ力強い企業を生み出すための環境を整備する。会社法の解釈指針を今年夏までに作成、公表する。【出典:2014年衆院選マニフェスト】
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評価理由に関するコメント |
加藤出氏
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4
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コーポレートガバナンス改善に向けた施策は海外投資家の間で評価が高い。ただし、東芝問題のようなネガティブな事例も起きているので、それを払拭する透明性向上が課題。
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匿名A氏
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4
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設備投資の増加、ROEの上昇等を目指すために企業統治改革を進めることは重要であるが、コーポレートガバナンスの当事者である経営者、企業の中で統治を担当している部署・人材、投資家、外部監査人の役割を見直し、強化し、不正を防ぐことが大前提にあるべきであり、同時に改革を進めるべき。
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匿名C氏
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3
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コーポレート・コードの制定や会社法の解釈指針などの公表が行われてはいるが、最近の不正経理問題が示しているように、これだけで「健全かつ力強い企業」を生み出す環境が実現できるかは不透明。
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2020年頃にGDP600兆円を達成する(新第一の矢)【出典:自民党総裁記者会見(9月)】
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評価理由に関するコメント |
加藤出氏
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2
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多くの企業経営者は2020年東京オリンピック後の日本経済の成長シナリオを描けずに悩んでいる。それゆえ、国内の設備投資やベアに慎重になっている。人口問題も含め、成長期待を引き上げていくための議論を活発化させる必要がある。
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匿名A氏
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3
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いかに生産性を挙げていくか、特に伝統的なプラットフォームを持つ産業と情報通信が生み出す新たなプラットフォームのせめぎ合いの中で、どのように生産性を向上させていくかが課題。
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匿名C氏
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3
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名目GDPの伸び率は高まっているが、「好循環」が実現しておらず、目標が実現できるかは不透明。
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評価コメントは以下の基準で執筆いただきました
・この3年間で未だに着手しておらず、もしくは断念した計画であるが、国民にその事実や理由を説明している(但し、国民に説明していなければ-1点)
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1点 |
・着手して動いたが、目標達成は困難な状況になっている
(但し、国民に説明していなければ-1点) |
2点 |
・着手して順調に動いているが、目標を達成できるかは判断できない |
3点 |
・着手して順調に動いており、現時点で目標達成の方向に向かっていると判断できるもの
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4点 |
・この3年間で実現した。もしくは実現の方向がはっきりと見えてきた
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5点 |
新しい課題について
3点 |
新しい課題に対する政策を打ち出し、その新しい政策が日本が直面する課題に見合っているものであり、かつ、目標や政策体系の方向が見えるもの。または、政策体系が揃っていなくても今後、政策体系を確定するためのプロセスが描かれているもの。これらについて説明がなされているもの |