安倍政権実績評価 個別項目の評価結果 【外交】
評価項目 | 評価 | 評価理由 |
日米同盟の絆を強化し、中国、韓国、ロシアとの関係を改善する。 |
3 | 「日米同盟の絆の強化」については、2月の首脳会談等を通じ、同盟強化やTPP交渉参加への方向性を確認するなど、一定の成果を上げている。もっとも、日米関係の発展の先にある中国への対応については、日米の間に認識のずれが見られ、それが今後悪影響を及ぼす可能性がある。よって、4。対ロ関係についても、首脳会談で経済・安全保障関係強化を確認し、長らく凍っていた北方領土問題についても交渉再開で合意したことは評価できる。よって評価は5。一方、中国及び韓国については、関係改善の兆しがほとんど見られず、きっかけとなりうるハイレベル会合の実現見通しも暗い。かといって対中・対韓外交が修正された形跡もなく、どうすれば局面を打開できるかといった国民向けの説明や議論もない。 |
ASEAN諸国やインド、オーストラリア等と安全保障やエネルギー政策での協力を推進 |
4 | ASEAN諸国、インド及びオーストラリアについては、すべて総理ないし外務大臣が外遊し、それぞれ経済分野を中心に二国間関係の関係強化に向けて合意した。インドネシアでは「対ASEAN外交5原則」を発表し日本の東南アジア外交の位置づけを明確化した。エネルギー分野についてもインドと原子力協定交渉再開の道筋をつけた。他方で、これら諸国と対中認識についてはズレが生じる可能性はある。 |
官邸の指令機能強化で「国家安全保障会議」を設置する。 |
4 | 「国家安全保障会議」については、6月に設置のための関連法案が国会に提出されており、政府は秋の臨時国会で成立を目指す見込み。どのような組織にするかという点についてはいまだに議論がありはっきりしないが、設置するという点においては着実に前進している。 |
集団的自衛権の行使を可能とし、『国家安全保障基本法』を制定する |
2 | 集団的自衛権行使と「国家安全保障基本法」の制定については、総理の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が2月に同法の制定を提言したが、その後は集団的自衛権行使を可能にするための憲法解釈の変更等について決着がついておらず、特段の進展は見られない。 |
防衛大綱、中期防を見直し、自衛隊の人員、装備、予算を拡充する。 |
4 | 防衛大綱と中期防の見直し、及び自衛隊の拡充については、まず2013年度予算案において防衛費が12年度当初予算比4000億円増となった。防衛大綱と中期防については年内を目標に見直すとされており、自民党内からも新たな防衛大綱の制定に向けた提言がなされている。 |
尖閣諸島の実効支配を強化し、離島を守り振興する法律や領海警備を強化する法律を制定する。 |
3 | 尖閣諸島の実効支配の強化及び離島振興・領海警備強化関連の法律の制定については、まず、尖閣諸島周辺海域の警備を担当する海上保安庁の保安体制強化に2013年度予算案で前年度比37.6%増の364億円が計上された。また、同庁は尖閣諸島専従部隊を15年度までに発足させるとのことである。また、国境と離島の保全管理振興策を検討する有識者懇談会が設置された。領海警備については、自衛隊に領海警備の権限を与える「領海警備保全法」の骨子案を自民党が6月にまとめたが、公明党が自衛隊の武器使用に慎重とされ、今後の推移は予断できない。 |
「対話と圧力」で拉致問題の完全解決と核、ミサイル問題の早期解決に全力を傾注し、関係諸国と一致で取り組む |
2 | 北朝鮮問題については、拉致問題の解決という国内的課題と、核・ミサイル問題の解決と言う国際的課題につきズレが生じている。拉致問題については、5月に飯島内閣官房参与が訪朝し、拉致問題の解決について北朝鮮側と協議したとされる。一方、核・ミサイル問題については、米国および韓国と防衛相会談を行う等、足並みをそろえて圧力をかけてはいるが、飯島参与の訪朝がその国際的な流れを乱した感もあり、今後も拉致問題と核・ミサイル問題のズレが悪影響を及ぼす可能性は否定できない。安倍政権は以前の政権に比べ拉致・核・ミサイルの「一体解決」から「拉致問題の全面解決、核・ミサイル問題の早期解決」とトーンが変わっているが、それをどう実現するかの説明は少ない。 |
在日米軍再編の中で抑止力の維持と、沖縄などの地元負担の軽減を実現する |
3 | 在日米軍再編の中での抑止力の維持と地元負担の軽減については、日米両政府は4月に沖縄県の嘉手納より南の米軍基地返還計画で合意し、普天間飛行場(宜野湾市)の返還時期を2022年度以降とすることを発表した。また1月からはガイドライン再改定に向けた日米協議が開始されている。しかし普天間基地の辺野古移設についてはいまだ地元の同意が得られておらず、先行きは不透明である。その中で防衛省が辺野古沿岸の公有水面埋め立て承認申請を提出するなど、国民、特に沖縄県民に対する説明が十分とは評価できない。 |
判断基準
1点:未着手、または断念 2点:着手したが、実現の展望がなかったり、既に修正が行われているにもかかわらず、 そのことが国民に説明されていない 3点:着手し、予定通り進んでいないが、一定の成果を上げている 4点:着手し、予定通り進んでいるが、目標を達成できるかは現時点では判断できない 5点:着手し、予定通り進んでおり、実現の方向に向かっている各分野の点数一覧
安倍政権通信簿は2.8点(5点満点)
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