安倍政権実績評価 個別項目の評価結果 【社会保障】
評価項目 | 評価 | 評価理由 |
政権交代後、急激に肥大した生活保護を見直す(国費ベースで8000億円) |
3 | 生活保護の不正受給などが明らかになり、地域によっては生活保護の保護水準が最低賃金、基礎年金を上回るという逆転現象が起きるなど、モラルハザードが露見している。このような現状では、生活保護の支給要件を見直すと同時に、不正受給者への罰則を強化するということは一定程度必要であり、評価はできる。 しかし、生活保護は生存権と絡んでいるものであり、生存権の保障のために適正な水準はどうか、という見直しから見直されるべきであり、社会保障費の抑制という財政的な観点から行うのは妥当ではない。また、生活保護を下げるということと同時に、最低賃金や基礎年金を上げる必要があるのか、という点から社会保障制度全体を見直していくことも必要である。 財政的な観点から見ると、生活保護を見直し、形式的には8000億円に到達しないが、一定程度の削減を求めたことは評価できるが、社会保障制度からみると、生活保護は部分的なものであり、社会保障支出の大部分を占める年金や医療などの支出に切り込んでいく必要があるが、その姿勢は現段階では見えない。 |
年金は若者も高齢者も安心できる制度確立が目的。現行制度を基本に「改革推進法」に則り、国民会議の審議結果を踏まえ必要な見直しを行う |
2 | 昨年の民・自・公の3党合意により、社会保障制度国民会議が設立され議論を行っているが、組織の立てつけ上、3党の実務者協議が並行して議論を進め、合意後、国民会議で議論するという形態になっているため、各党で違いのある年金制度についての議論はほとんどなされていない。そもそも、年金制度改革において、若者も高齢者も安心できる制度とはどのようなものなのか、というゴールが明確にされないまま議論が進んでおり、それを首相なりが明確に説明、指示もしていない現状では、評価は低いものとならざるをえない。 |
国保運営の安定や保険者機能強化のため、運営単位を都道府に広域化、料率の平準化で協会健保と共済を統合する |
2 | ・国保運営の安定や保険者機能強化のため、また、小さな自治体が保険者機能を発揮できないなどの状況をかんがみれば、広域化ということ自体は問題意識としては正しい。しかし、仮に都道府県が引き受けるとしても、都道府県だけの一般財源と保険料だけで運用していくのか。また、今まで通り国や市町村、被用者けんぽの前期高齢者納付金などからお金をいれるのか、まず都道府県が引き受けるということの定義をはっきりする必要がある。 ・協会けんぽと共済の統合の話は全く出ておらず、評価できない。 |
医師の地域科目偏在の是正や医学部定員の確保等必要な地域で必要な医療の確保 |
2 | 予算措置はとられているものの、医師の地域科目偏在の是正や、医学部定員の確保などの抜本的な改革にはなっておらず、これらが具体的に国民に説明されたとはいえない。 |
介護は財源の安定化を図り、保険料負担の抑制を進めながら必要なサービスを提供する |
2 | 介護保険料、介護納付金、後期高齢者支援金の見直し、介護サービスについての重点化・効率化が議論され始めているが、本格的な議論には至っていない。また、昨年、介護保険制度改正、介護保険料の改定などがなされており、次回は2015年を予定していることから、大きな議論にならないのは止むを得ない。 |
妊娠から子育てまで切れ目ない家族支援政策を積極的に進める。年少扶養控除は復活 |
3 | 「少子化危機突破のための緊急対策」を決定し、社会保障・税一体改革で想定されていたスケジュールを一部前倒しし、待機児童対策などを謳っていること、また、これまで取り組みの弱かった、「結婚・妊娠・出産」に対する支援を示したことは一定程度評価できる。しかし、民主党の「子ども子育て支援」を転換し、「少子化対策」に変更したことで、そもそも少子化対策の理念をどうするのか、明らかにする必要があるが、説明されたとはいえない。 また、「少子化危機突破のための緊急対策」の財源として、消費税引き上げによる財源を見込み、具体的な政策目標・スケジュールについては、今回の対策では明確になされていないことはマイナス評価である。 年少扶養控除の復活については議論が行われている様子はない。 |
判断基準
1点:未着手、または断念 2点:着手したが、実現の展望がなかったり、既に修正が行われているにもかかわらず、 そのことが国民に説明されていない 3点:着手し、予定通り進んでいないが、一定の成果を上げている 4点:着手し、予定通り進んでいるが、目標を達成できるかは現時点では判断できない 5点:着手し、予定通り進んでおり、実現の方向に向かっている各分野の点数一覧
安倍政権通信簿は2.8点(5点満点)
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