地域主権
地域主権 : 18点 /100点 |
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実 績
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実行過程
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説明責任
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【実 績】
地域主権の取り組みは、閣議決定で設置された地域主権戦略会議で行われることになったが、国会で審議中の地域主権関連3法案はいずれも成立に至らず、また、6月に予定されていた地域主権戦略大綱も参議院選挙後に先送りとなり、実績の道筋が描かれたわけではない。地域主権改革の実行はいわゆる原口プランの下で推進されたが、地方への事務事業や財源の移譲のための取り組みは、いずれも自公政権下の地方分権改革推進委員会の勧告の実施に基本的に取り組んだに過ぎない。実現したといえるのは、国直轄事業の維持管理の部分の地方負担金を廃止した点だが、建設に関する負担金については触れられていない。地域主権を「改革の一丁目一番地」に据える以上、改革の工程は地域主権の具体的なビジョンや理念に沿って構成されるべきであるが、原口プランは地域の視点といいながらも住民自治や自治立法権の確立など地域の自立に立脚した視点が描けず、霞が関の行政権限や税源の移譲という上からの分権の視点から一歩も出ていない。また、その実現のスピードは極めて緩慢であり、原則廃止を掲げた出先機関をはじめ、それらがいつ実現するのか出口が見えない。さらに、地域主権というのならば住民の行政のチェックを高めるために解職請求のハードルを下げるなど、住民を中心とした制度設計の課題を提案すべきだが、その発想も見られない。民主党政策集INDEX2009においては住民投票基本法の制定も掲げられていたが、検討すらされていない。
【実行過程】
平成21年11月に地域主権戦略会議を発足させ、政治主導による地方主権推進改革を実現する体制がつくられ、地域主権関連3法案が政権のリーダーシップのもとで今国会に提出されたことは評価に値する。同法案は今国会で未成立となったが、そもそも同法案に盛り込まれた義務付け・枠づけの見直しは、地方分権推進委員会第3次勧告において提言された892条項のうちわずか96条項である。残りの751条項を対象として現在見直しを行い、71%で見直しが固まったが、実質的な自治の向上につながるかどうかの検証議論は深まっていない。また、今後の道筋についても、原口担当大臣の示したプランが工程表として存在するものの、これを今後省庁とどのように詰めていくのか、戦略会議としてどのような形で協議を行いどう政治主導を確保していくのかという詳細な仕組みは明確にされていない。政治的リーダーシップの面からは、原口プランを政府の計画として位置付けた以上、首相として今後のプロセスに関して国民に明確に示すべきであるが、それがなされた形跡はない。
【説明責任】
施政方針演説において「改革の一丁目一番地」と表現したり、第1回地域主権推進戦略会議でその理由について説明するなど、地域主権改革の実現に向けた意気込みを語られてきた。しかし、その言葉は常に抽象的で具体性を欠いており、国の形についての将来ビジョンや実現するための工程については触れられていない。形式的に推進体制をつくり実施に向けた取り組みを進めているように見えるが、その対象は団体自治の拡充のみで、最も大切なはずの「住民自治の深化のための制度設計」については全く発言されていない。また、当初マニフェストで司令塔と想定された行政刷新会議と地域主権戦略会議の役割は整理されておらず、こうした実行体制に伴う混乱は説明責任が問われる。