環境
環境 : 39点 /100点 |
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実 績
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実行過程
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説明責任
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【実 績】
鳩山首相は、前政権と比較して大幅に踏み込んだ内容である鳩山イニシアチブや「25%削減」を国際的に表明し、米中が数値目標を提示することにも一定程度寄与した。国内制度については、排出量取引制度・地球温暖化対策税・固定価格買取制度といった、規制的手法や経済的インセンティブにより削減に実効性を持たせるべく、これら個別政策を盛り込んだ地球温暖化対策基本法案を提出したことは評価できる。しかし、同法案は国会の閉会とともに廃案となっており、国内制度の構築は立ち遅れている。そもそもこの法案には、まず中期目標に「すべての主要国の参加」という前提条件が付いているが、現状での国際合意は困難と見られており、このままでは中期目標が確定せず、排出量取引制度の排出総量を決められない。また排出量取引制度は「キャップ&トレード」を基本としつつも産業界の要望を背景として「原単位方式」の導入も検討するとされている。原単位方式では、目標が達成できても生産量が増えれば排出が増加する可能性がある。さらに、エネルギー転換部門の削減に関しても環境大臣提案は「2020年のゼロエミッション電源比率」を62~71%という試算を出しているのに対し、経産省の「資源エネルギー政策の見直しの基本方針(案)」では「50%以上」となっており、エネルギー部門の温室効果ガス削減に関して両省間で認識の相違が見られる。制度の実効性確保のためには、首相のリーダーシップのもとでこれらの課題を克服したうえで整合的な政策体系へと練り上げる必要があるが、鳩山前首相がそうした積極的な動きを見せることはなかった。
【実行過程】
自民党政権では環境省と経産省の意見対立によって一元的に環境政策を実行できていなかったのに対し、鳩山政権は「地球温暖化問題に関する閣僚委員会」や「副大臣級検討チーム」、その下に「中期目標タスクフォース」「鳩山イニシアチブPT」「国内排出量PT」を設置し、政治主導で政策に取り組む姿勢を見せた。しかし再生可能エネルギー買取に関するPTは経産省の下に設置されており、実際には省庁横断的な体制になっていない。政治主導に実効性を持たせるには副大臣級検討チームへの明確な権限付与や環境省と資源エネ庁の根本的統合などが必要である。
【説明責任】
鳩山前政権は「25%減」という中期目標を掲げた以上、その内訳や制度導入の見通しを示すべきであったが、それが十分に示されることはなかった。環境大臣により「中長期ロードマップの提案」が提出されたが、今後政府として政策の効果や経済的負担についてデータを公表し、国民や企業の理解を得る努力が必要である。また、法案の審議過程や基本計画の策定過程において十分な議論や情報開示がなかったとして、経済団体や環境NGOなどからその透明性に対する批判が提起されている。さらに、経産省と環境省の意見対立を前にして、鳩山前首相は政府としての合意を得るためのリーダーシップを発揮できなかった。