2017年衆議院選挙 マニフェスト評価(外交・安全保障)

2017年10月18日

評価の視点

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 世界の情勢が大きく変化し、日本を取り巻く外交・安全保障の環境が大きく変容しつつある。そうした状況の中、日本は自らの外交・安全保障の理念をどのように設定し、いかなる政策体系によって安全・繁栄・価値の実現を図っていくのか、その構想力が問われている。

 そのような状況の中、第一の評価の軸は、緊張を増す我が国の安全保障環境に対する認識と、これに対応する防衛政策の構想である。北朝鮮の核・ミサイル開発技術の進展は日本のみならず、北東アジア全体、さらには米国にとっても予断を許さない状況となっている。この問題に対して、どのような防衛力のあり方を構想し、それを実行に移していくのか。トランプ政権が発足し、これまでとは異なる外交・安全保障アプローチを見せ始めている米国との間で、どのような日米同盟のあり方を構想しているのか。どのように国際社会と連携していくのか。最終的に核保有を放棄させるためにいかなるプロセスを構想しているのか。そして、トランプ米大統領が「軍事的選択肢を排除しない」とする中、戦争を避けるためにいかなる努力をすべきなのか、仮に戦争が避けられない場合、日本はどうするのか。

 こういった点について、党としていかなる方針を示しているのか評価していくが、その際、それが単に強硬的又は融和的態度の提唱に止まらず、日本の目指すべき国際秩序、同盟関係、外交関係、法的基盤のありかた、予算的制約といったなかで、どこまで現実的に追求可能なものなのかも吟味していく。

 第二の評価の軸は、外交展開の構想である。日米関係をいかにして深化させるのかという点に加え、急速に台頭する中国とどう向き合うかも大きな課題である。中国の軍事的台頭は日本の安全保障環境を変容させるとともに、地域の懸念材料ともなっている。同時に、中国経済がアジア太平洋の成長エンジンであることに変わりはないため、中国との共存・共栄も模索しなければならない。そこで、中国との緊張関係をどのように管理しつつ、戦略的互恵関係の具体化をしていくのか、という課題に対する方針提示は重要な評価の指標となる。

 さらに、地域および多角的な外交の展開も求められる。日本周辺には米中以外にも、韓国、ロシア、オーストラリア、インド、ASEANなど多くの重要なプレーヤーが存在している。こうした国々との関係をいかにして創造的に発展させるのか。アジア太平洋地域に台頭する経済・エネルギー・環境・安全保障といった様々な地域枠組みに、日本はどのような戦略をもって臨み、自らのプレゼンスを向上させていくのか。こうした秩序構想と戦略的外交の進め方を評価の指標とする。

 第三の評価の軸は、グローバルな国際貢献のための取り組みである。米トランプ政権が自国第一主義を掲げるとともに保護主義的傾向を見せ、イギリスがEUから離脱するなど、戦後の多国間主義、国際協調主義を基調とする世界秩序を牽引してきた米英両国が大きく揺れ動く中、民主主義や法の支配といった普遍的価値、自由貿易体制を擁護するために日本としていかなる行動をとるべきだと考えているのか。さらに、世界では、シリア危機やそこから派生した難民問題、破綻国家、越境型テロリズム、地球温暖化への対処などこれまでの国際貢献のスケールをはるかに超える深刻な問題が発生しているが、日本としてどのような理念を掲げながら対応していこうとしているのか、などを見ていくことにする。

主要8党の評価点(外交安保)

自民党
53点

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公明党
31点

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希望の党
29点

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立憲民主党
14点

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日本維新の会
21点

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共産党
29点

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社民党
22点

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【 評価点数一覧 / 自民党 】

項 目
自民党
形式要件
(40点)
理念(10点)
6
目標設定(10点)
7
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
1
合計(40点)
14
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
15
課題解決の妥当性(20点)
12
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
12
合計(60点)
39
合 計
53

【評価結果】自民党 マニフェスト評価
      合計 53 点 (形式要件 14 点、実質要件 39 点)

【形式要件についての評価 14 点/40点】

 自民党は「政権公約2017」において、北朝鮮を「国難」と位置付けた上で、「北朝鮮の脅威から、国民を守り抜きます」と題した項目の下、「北朝鮮に対する国際社会による圧力強化を主導し、完全で検証可能かつ不可逆的な方法ですべての核・弾道ミサイル計画を放棄させることを目指すとともに、拉致問題の解決に全力を尽くします」、「日米同盟をより一層強固にすることで、わが国の抑止力を高めます」、「ミサイル対処能力の強化をはじめ、国民保護を最優先に対応し、国民の生命と財産を守り抜きます」の三点を方針として掲げている。「政権公約2017」における外交・安全保障分野の政策はこれのみなので、北朝鮮問題を最重要課題と位置付けていると思われる。

 そして、「政権公約2017」には、「自民党政策BANK」という政策集が付属しているが、ここでは北朝鮮政策として、「制裁措置の厳格な実施と更なる制裁強化の検討を行うなど国際社会と結束して圧力を最大限に強化」することや、「日米安保体制の抑止力を維持」、「イージスアショア等の導入を含め、わが国の弾道ミサイル対処能力向上」などを掲げ、上記三方針を再確認している。

 「自民党政策BANK」における、その他の外交・安全保障政策としては、「外交」、「安全保障」、「海上保安」の三項目が設けられている。

 まず「外交」の項目では、「国際協調主義に基づく積極的平和主義のもと、日米同盟を基軸に、豪州、インド、ASEAN、欧州など普遍的価値を共有する国々との連携を強化」、「韓国、中国、ロシアはじめ近隣諸国との関係改善を加速」、「ODAの成果の評価を行うことで納税者の理解を得られる効果的な開発協力を推進」、「自由貿易や国益に即した経済連携交渉、投資協定・租税条約の締結を推進」、「グローバルなルールの策定への貢献を推進」、「アジアを中心とした国々に対する法制度整備支援」など、様々な政策が網羅的に盛り込まれている。

 「安全保障」の項目では、北朝鮮の度重なる核実験やミサイル発射と、中国の急激な軍拡や海洋進出を受けて、「わが国を取り巻く安全保障環境が激変」しているとの認識を示した上で、まず「『不戦の誓い』を将来にわたって守り続け、国民の命や平和な暮らし、領土・領海・領空を断固守り抜くため、関係国との連携強化を含め万全の態勢」を整えるとしている。そして、「平和安全法制により、あらゆる事態への切れ目のない対応や邦人救出等の新任務が可能となったことを受け、態勢構築や能力向上を加速」、「日米同盟や友好国との協力を不断に強化し、わが国の抑止力の向上を図る」、「自衛隊の人員・装備の増強など防衛力の質と量を拡充・強化するため、新中期防の策定と現行大綱の見直しを行う」、「沖縄等の基地負担軽減の実現のため、普天間飛行場の辺野古移設や在日米軍再編を着実に進める」、「宇宙利用やサイバーセキュリティ対策を促進」など、こちらも網羅的に盛り込まれている。

 最後に、「海上保安」の項目では、「海上保安庁の海上法執行能力、海洋監視能力、海洋調査能力の強化」などが掲げられている。

 外交・安全保障政策の理念としては、「自民党政策BANK」の中にはこれまでの公約と同様に「積極的平和主義」などが見受けられるが、それがどのようなものなのか、依然として語られていない。

 上記のように具体的なアジェンダが明記されているものは多いが、そのほとんどの工程が不明なので、全体的には方針提示にとどまっている。

【実質要件についての評価 39 点/60点】

 「評価の視点」で示した課題については、ほぼ網羅的に言及されており、政策としての体系性はあると評価できる。日本を取り巻く安全保障環境の変化に言及しているあたり、正確な課題認識もできていると推察される。そして、個別の政策についても方向性自体は総じて妥当なものである。

 北朝鮮政策に関して、核・ミサイル能力を着々と増強する北朝鮮は、日本を含む北東アジア諸国、さらには米国にとっても現実的で差し迫った脅威になったといえるため、最重要課題と位置付けるのは妥当である。また、「すべての核・弾道ミサイル計画を放棄させる」としているため、北朝鮮を核保有国として認めない方針は明確である。もっとも、「完全で検証可能かつ不可逆的な方法」によるとしているが、その内容は具体化されていない。

 危機を回避するための方策としては、国際社会との連携、圧力を強化していくこと、備えとしては弾道ミサイル対処能力の強化や国民保護態勢の確立などを挙げている。現行憲法上の制約があり、日本一国だけでできることは限られている以上、国際社会との連携を前面に打ち出しているのは妥当である。ただ、中国やロシアなど、日本や米国とは異なる思惑で動いている国が現に存在している以上、それらの国に対してどのようなアプローチをするのか、どのような枠組みを作るのか、といった構想は示すべきであっただろう。

 一方、日米同盟については、「日米同盟を不断に強化」、「日米安保体制の抑止力を維持」などとして、今後も日本の安全保障体制の基軸とする方針を明らかにしつつ、同時に「友好国との協力を不断に強化」していくことや、「自衛隊の人員・装備の増強など防衛力の質と量を拡充・強化」など、米国に依存しすぎない防衛力の構想を示しているのは方向性として妥当である。

 ただ、平和安全法制については、「あらゆる事態への切れ目のない対応が可能となった」との認識を示しているが、実際には「グレーゾーン事態」への対応はまだ不十分である。存立危機事態をめぐっても、現状のままでは例えば、グアムの米軍基地に向かうミサイルを、日本のイージス艦が迎撃できるかどうか曖昧であるなど課題は残っているが、こうした問題についての答えは示されていない。

 次に、外交の展開を見ていくと、米国が世界に対する関与から後退傾向を見せ、トランプ新大統領の動向も不透明である中で、「日米同盟を基軸」としつつも、それだけに頼らず「豪州、インド、ASEAN、欧州」などと戦略的パートナーシップ関係を多角化するとし、「自由で開かれたインド太平洋戦略」などの構想を提起している姿勢は評価できる。

 一方、中国との関係については、「関係改善」という方針を示している。これ自体は確かに妥当であるが、中国の現状変更的な行動を抑制し、緊張状態を管理すると同時に、戦略的互恵関係を再構築していくという難しい課題をクリアするために何をしていくのか全く示されていないため、「関係改善」の実現可能性も不透明なものになっている。外交努力により、近隣諸国との関係を改善することは、安全保障環境の向上にも資するため、特に掘り下げた方針を示すべきであろう。

 また、韓国に関しても関係改善を進めるとする一方で、慰安婦問題や徴用工問題を念頭に置いたと見られる「歴史認識等を巡るいわれなき非難には断固反論するなど、わが国の名誉と国益を守るため、戦略的対外発信を強化」するなどの方針も示している。こうした中、歴史認識問題を重視する文在寅政権とどう折り合いをつけながら関係改善を進めていくのかは明らかではない。

 そして、ロシアとの関係については、頻繁に首脳会談を行い、北方四島での共同経済活動を進めるなど自民党政権がこの三年間で特に力を入れてきたが、公約における記述はわずかである。総選挙後、政権を継続する場合、対ロ交渉も続けていくと思われるが、そうしたことについての方針が示されていないのは説明責任上問題がある。

 最後に、国際貢献に関する記述を見ていくと、保護主義的傾向が世界で高まる中、自由貿易を積極的に推進する姿勢を打ち出したり、「アジアを中心とした国々に対する法制度整備支援」など、「法の支配」確立に関する具体的なアジェンダを盛り込んでいる点は、既存の世界秩序や価値を守るためのリーダーシップを発揮しようとしているものとして、プラスの評価ができる。

 一方、PKOを念頭に置いていると見られる「国際社会の平和と安定の確保にも引き続き積極的に貢献」については、最近のPKOは武器使用を伴う文民保護の任務が重視され、自衛隊が巻き込まれるリスクが増している。そうした中で今後日本としてどのようにPKOに取り組んでいくのかは明らかにしていない。さらに言えば、今年の5月、南スーダンのPKOに派遣されていた陸自施設部隊が撤収したが、今回の派遣をめぐっては、そもそも現地の治安状況についての事前の認識に甘さがあったし、撤収の基準も曖昧であった。そして何より、陸上自衛隊部隊の日報隠蔽問題によって、防衛相、防衛事務次官、陸上幕僚長ら防衛省・自衛隊のトップがそれぞれ引責辞任する事態となり、防衛省・自衛隊のガバナンスに対する国民の信頼を大きく損なうこととなったが、こうした反省点についてどのように改善するのか触れられていないのは減点要素である。

 政策実行体制に関しては、「外交実施体制を欧米諸国並みに整備」、さらには、「わが国の安全に関わる対外的な情報収集を専門的に担うため、国家の情報機能と体制を強化」などの方針が見られる。自民党政権からは、これまでも「国家安全保障局(NSS)」の設置など、体制整備への志向は強く見られたため、今後も外交・安保両面での実行体制整備には着実に取り組んでいくものと思われる。

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【 評価点数一覧 / 公明党 】

項 目
公明党
形式要件
(40点)
理念(10点)
5
目標設定(10点)
6
達成時期(8点)
1
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
3
合計(40点)
15
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
10
課題解決の妥当性(20点)
4
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
2
合計(60点)
16
合 計
31

【評価結果】公明党 マニフェスト評価
      合計 31 点 (形式要件 15 点、実質要件 16 点)

【形式要件についての評価 15 点/40点】

 公明党は「重点政策」において、「安定した平和と繁栄の対外関係」という理念を掲げた大項目の下に、外交政策として「『人間の安全保障』の理念の下での持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた協力等」、「『核兵器のない世界』へ向けての取り組み」、「中国、韓国、ロシア等の近隣諸国との関係強化」、「貿易・投資に関する協定などの推進」などを掲げている。

 安全保障政策としては、「北朝鮮問題への対応」と「日米同盟の強化」を挙げている。

 達成時期があるものは、「2018年核軍縮国連ハイレベル会合への積極的貢献」のみであり、政策手段としては「人的交流」を重視していることが特徴的である。

【実質要件についての評価 16 点/60点】

  「評価の視点」で示したような課題については概ね言及されており、課題の抽出はできている。

 北朝鮮への対応を公約の筆頭に掲げ、国際社会との連携を深めると同時に、国民保護のための「多層防衛体制」を整備するとしており、連立を組む自民党の方針と足並みを揃えている。もっとも、どういった枠組みで連携を深めるのか、その構想は示されていない。

 日米同盟については、ミサイル防衛から海洋、宇宙、サイバー空間における協力など、「平時から緊急事態まで切れ目のない体制を強化」するとしている。一方、平和安全法制の運用のあり方については言及がなされていないのは説明責任上減点要素である。また、普天間基地移設問題について言及すらないが、辺野古をめぐる国と県の対立が続く中では、政権与党として何らかの方針は示すべきであろう。

 米中露韓やアジア太平洋の近隣諸国との多層的な関係構築についても方針を提示できている。人的交流を主眼とするなど、政権与党が打ち出す政策としてはやや小粒ではあるが、同党の強みを生かしているともいえる。

 その上で、「人間の安全保障」や「核兵器のない世界」など、同党がこだわりを持つ分野についても丁寧に書き込まれている。

 全体としては、「安定した平和と繁栄の対外関係」という理念を実現する政策体系になっているといえる。ただ、公明党の公式ホームページ上の「公明党が訴える3つのポイント」からは外交・安全保障政策は外れており、党として優先順位がどの程度高いのか不明である。

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【 評価点数一覧 / 希望の党 】

項 目
希望の党
形式要件
(40点)
理念(10点)
7
目標設定(10点)
5
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
1
合計(40点)
13
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
9
課題解決の妥当性(20点)
7
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
16
合 計
29

【評価結果】希望の党 マニフェスト評価
      合計 29 点 (形式要件 13 点、実質要件 16 点)

【形式要件についての評価 13 点/40点】

 希望の党は「政策パンフレット」において、「危機管理の徹底」という独立した項目を設けてその中で、「安保法制をめぐる与野党の不毛な対立から脱却し、日本の厳しい安全保障環境に対しては、党派を超えて取り組みます。現在緊張の高まる北朝鮮への対応やミサイル防衛などを含め、現行の安全保障法制は憲法に則り適切に運用します。サイバーテロへの対策など、あらゆる脅威への現実主義に立脚した外交安全保障体制を構築します」としている。これが同党の中心的主張になると思われる。

 そして、「政策パンフレット」に付属している「政策:私たちが目指す『希望への道』」では、「世界に希望を~現実主義に立脚した外交安全保障とアジア太平洋地域の共生~」という項目を設けている。その中では、上記中心的主張を再掲するとともに、「北朝鮮に対しては、日米韓が中心となり中国・ロシアを含め国際社会と緊密に連携し、制裁の厳格な実施を働きかける」、「重大な人権侵害である北朝鮮による拉致被害者全員の即時帰国に全力で取り組む」、「日米同盟を深化させる一方、基地負担軽減など地位協定の見直しを求めるなど、日本の主体性を確立する」、「北方領土返還を目指し、我が国固有の領土である尖閣諸島を守り、竹島についても公正な解決を目指していく」、「多国間の対話の枠組みを進展させ、中国、韓国を含めたアジア太平洋地域における共生を重視する」などの方針を掲げている。

 理念としては、「アジア太平洋地域における共生」が該当すると思われる。政策手段というよりは全体的に方針提示にとどまっているものが目立つ。達成時期が明示されたものもない。

【実質要件についての評価 16 点/60点】

 北朝鮮への対応として、米韓中露をはじめとする国際社会の連携と、制裁の厳格な実施によって対話につなげるという方針は妥当な方向性であるといえる。また、「我が国の厳しい安全保障環境に対しては、党派を越えて対応する」としているのも、課題解決に向けた政治の意志をうかがわせるものである。ただ、「現在緊張の高まる北朝鮮への対応やミサイル防衛などを含め、現行の安全保障法制は憲法に則り適切に運用する」としているが、本来目標となるのは「北朝鮮への対応やミサイル防衛」であり、「安保法制の運用」は手段であるはずだが、公約ではその目標と手段の混合が起きてしまっており、課題認識にズレも見受けられる。

 また、「日米同盟を深化させる」とする一方で、「基地負担軽減など地位協定の見直しを求めるなど、日本の主体性を確立する」としているが、この二つをどうバランス取って進めるのかは明らかにしていない。さらに言えば、辺野古基地建設への賛否については公約で触れていない。

 中国との関係については、「多国間の対話の枠組みを進展させ、アジア太平洋地域における共生を重視する」としている。しかし、現状の中国は多国間協議に参加してきても、自己主張を繰り返すだけで実効的な対話にならないことが多いし、さらに、アジア信頼醸成措置会議(CICA)や上海協力機構(SCO)など自らがイニシアティブを取りやすい枠組みへの志向を強めている。こうした現状を党としてどう考え、どう打開するつもりなのか明らかにしていない。中国の空海軍力の増強と海洋進出に対する問題意識も見られない。

 付言すれば、外交・安全保障政策と同項目で自然災害対策も並列的に記載されており、同党の中で外交・安全保障がどのような位置付けになっているのか明らかではないし、政策が箇条書きで羅列されているため、体系性が理解しにくく、説明責任の観点からは減点せざるを得ない。

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【 評価点数一覧 / 立憲民主党 】

項 目
立憲民主党
形式要件
(40点)
理念(10点)
0
目標設定(10点)
3
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
1
合計(40点)
4
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
3
課題解決の妥当性(20点)
7
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
10
合 計
14

【評価結果】立憲民主党 マニフェスト評価
      合計 14 点 (形式要件 4 点、実質要件 10 点)

【形式要件についての評価 4 点/40点】

 立憲民主党は「国民との約束」において、外交・安全保障に関する独立した項目を設けてない。代わりに「立憲主義を回復させます」という大項目の中で、「北朝鮮を対話のテーブルにつかせるため、国際社会と連携し、北朝鮮への圧力を強める。平和的解決に向け、外交力によって北朝鮮の核・ミサイル放棄を訴え、最後の一人まで拉致問題の解決に取り組む」、「領域警備法の制定と憲法の枠内での周辺事態法強化により、主権を守り、専守防衛を軸とする現実的な安全保障政策を推進」、「辺野古移設について再検証をし、沖縄県民の理解を得られる道をゼロベースで見直す」という方針を掲げている。

 上記のように外交・安全保障に関する独立した項目を設けてないため、理念は明らかではない。政策手段としては、法制化・法改正に関するものが見られるが、いずれも達成時期については特段の言及はない。

【実質要件についての評価 10 点/60点】

 北朝鮮の核実験・ミサイル発射を「極めて深刻な脅威」と課題抽出した上で、「対話のテーブルにつかせるため、国際社会と連携し、北朝鮮への圧力を強める」といった方針を掲げているのは、課題解決の方向性としては一定の妥当性はある。もっとも、連携のあり方について具体的な構想は示されていない。

 平和安全法制に対しては「違憲」と断じ、反対する方針を明確にしている。そして、対案として打ち出されている政策は、領域警備法の制定や周辺事態法の強化である。

 この点、個別の論点に対して一定の課題解決の方向を示しているものはある。例えば、領域警備法の制定はグレーゾーン事態への対処のみに焦点を当てた場合、平和安全法制への理論上の対案にはなり得る。

 ただ、日本を取り巻く安全保障環境の領域は拡大している。かつて「周辺事態」として想定された朝鮮半島周辺という地理区分にとどまらず、海洋安全保障(東シナ海・南シナ海・インド洋・中東地域)などのように広域空間の戦略的重要性が高まっている。さらに、様々な形態の国際平和協力や共同対処に参画する必要性も増している。そうした中で、「周辺」概念をどう捉えているのかは明らかではないし、どう「強化」するかも示していないため、「評価の視点」で示したような日本を取り巻く安全保障環境の変化に対して対応可能なものになるかどうかも判断できない。

 また、辺野古移設の再検証について言及する一方で、日米同盟についての考え方は全く示されておらず、どのように「現実的な安全保障政策」を推進していくのかも判然としない。

 外交政策に関しては、記述がほとんど見られず、評価は不可能である。

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【 評価点数一覧 / 日本維新の会】

項 目
日本維新の会
形式要件
(40点)
理念(10点)
3
目標設定(10点)
4
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
3
合計(40点)
10
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
7
課題解決の妥当性(20点)
4
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
11
合 計
21

【評価結果】日本維新の会 マニフェスト評価
      合計 21 点 (形式要件 10 点、実質要件 11 点)

【形式要件についての評価 10 点/40点】

 日本維新の会は、「2017維新八策」の中で、「現実に即した安全保障」を掲げ、さらに後掲の「維新が変える改革メニュー13」の中では、「現実的な外交・安全保障政策」を打ち出している。

 具体的な政策メニューとしては、「2017維新八策」の中では、①集団的自衛権行使の要件を厳格化。日本周辺の米軍防護に限定、②普天間基地の負担軽減と日米地位協定の見直し、③防衛費のGDP1%枠の撤廃、④ミサイル防衛体制を強化、⑤北朝鮮の核・ミサイル・拉致問題の解決に向け日米韓中の連携をさらに強化、⑥我が国の安全保障に係る重要な土地取引を規制する、⑦ポストNPT核軍縮に向け新たなテーブルを構築、⑧ODA予算の有効活用。途上国との友好と経済安全保障を促進、などを掲げている。

 一方、「改革メニュー13」では、「安全保障」の項目で、「日米のチームワークでの防衛力を強化」、「集団的自衛権行使の要件を厳格化するため、現行の『存立危機事態』の要件に代えて、『米軍等防護事態』(日本周辺で、現に日本を防衛中の同盟国軍に武力攻撃が発生したため、我が国への武力攻撃の明白な危険がある事態)を規定する」、「日中当局間の『海上連絡メカニズム』構築」、「日米地位協定を抜本的に改訂する」、「普天間基地の固定化を避けるためにも、日米が沖縄と真摯に対話を重ね、日米で合意可能な新たな基地負担軽減プラン(訓練場所等の暫定的な移転も含む)を示す」、「北朝鮮の核・ミサイル、拉致問題については、国際社会と連携して断固たる措置を実施する」を掲げている。

 また、「外交」の項目では、「域内経済連携に積極的に関与」、「日中首脳が戦略的互恵関係の基本原則に立脚し対話を重ねる」、「国際社会の普遍的価値観を中国と共有できるよう、安全保障や経済における多国間協議の枠組みを活用する」、「尖閣諸島については、中国に国際司法裁判所への提訴を促す」、「日韓の歴史問題等に関する意見の違いを違いとして認識しつつ、未来志向の協力関係を再構築する」などを掲げている。

 このように「2017維新八策」と「改革メニュー13」では重複している政策と、一方にしか存在しない政策があるが、相互にどのような関係にあるのか、その体系は明らかではない。

 政策は多数羅列されているが、それらを束ねる理念は明らかにされていない。政策手段としては、上記の「国境警備法」の制定や「基地負担軽減プラン」などがあるが、数値目標や達成時期に関する記述はない。

【実質要件についての評価 11 点/60点】

 北朝鮮政策については、国際社会と連携して「断固たる措置」を実施するとしているが、その措置とは制裁強化なのか、それとも別の手段なのかは明らかではないため、その実効性を判断することはできない。また、「国際社会」の枠組みとして示されているのは、「日米韓中」であるが、近年の北朝鮮に対する影響力を考慮すればロシアも視野に入れるべきであろう。

 日米関係については「日米のチームワークでの防衛力を強化」や、「米軍等防護事態を規定」などの表現から判断するに、日米同盟を深化させていこうという志向は感じられる。ただ、いずれも「日本周辺」と限定づけているように日米同盟をアジア太平洋における外交・安全保障上の戦略において、どう位置付けるのか、地理的・分野的な安全保障領域の拡大についてどう対応していくのか、といった発想は見られない。また、基地問題についても、「基地負担軽減プラン」は、「訓練場所等の暫定的な移転」を例示しているが、単なる問題の先送りではない実効性があるのかは現時点では判断することはできない。なお、新基地建設への賛否には触れていない。

 一方、対中関係については、戦略的互恵関係に向けた首脳間の対話推進などは方向性としては妥当であるが、それを実現するために何をすべきなのかは示していない。また、「国際社会の普遍的価値観を中国と共有できる」ようにすることを目標とし、手段として多国間協議の枠組みを活用するとしているが、現状の中国は多国間協議に参加してきても、自己主張を繰り返すだけで実効的な対話にならないことが多いし、さらに、アジア信頼醸成措置会議(CICA)や上海協力機構(SCO)など自らがイニシアティブを取りやすい枠組みへの志向を強めている。しかも、「普遍的価値観」に対しては強硬な態度を取っている。こうした現状を党としてどう考え、どう打開するつもりなのか明らかにしていない。さらに、尖閣問題について、「中国に国際司法裁判所への提訴を促す」としているが、これに中国が乗ってくるとは考えにくく、領土問題の解決のアプローチとして稚拙である。

 政策が箇条書きで羅列されているため、全体的に政策の内容が判然としないものが多く、説明責任の観点からは減点せざるを得ない。

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【 評価点数一覧 / 共産党 】

項 目
共産党
形式要件
(40点)
理念(10点)
6
目標設定(10点)
6
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
3
合計(40点)
15
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
8
課題解決の妥当性(20点)
6
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
14
合 計
29

【評価結果】共産党 マニフェスト評価
      合計 29 点 (形式要件 15 点、実質要件 14 点)

【形式要件についての評価 15 点/40点】

 共産党は「2017総選挙政策」の中で、外交・安全保障に関する重点政策として、5つの大項目を設けている。まず、「安保法制=戦争法、特定秘密保護法、共謀罪法を廃止し、立憲主義・民主主義・平和主義を取り戻します」という項目では、安保法制の廃止と、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回するとしている。次に、「北朝鮮問題の『対話による平和的解決』のイニシアチブを」では、経済制裁強化と一体に「対話による平和解決」を図ることや、米朝直接対話、「対話による平和的解決」実現に向けた日本政府のイニシアチブ発揮などを掲げている。そして、「安倍政権による9条改悪に反対し、憲法9条にもとづく平和の外交戦略を確立します」では、北東アジアに存在する紛争と緊張を、平和的・外交的手段によって解決する対案として、「北東アジア平和協力構想を提唱している。さらに、「米軍の新基地建設を中止し、基地のない平和で豊かな沖縄をつくります」では、新基地建設のストップ、普天間基地の無条件撤去、オスプレイの配備撤回、日米地位協定の抜本改正などを打ち出している。

 提示された目標を実現するにあたっての達成時期や工程の記述はないが、手段としては、上記の「北東アジア平和協力構想」などがある。

【実質要件についての評価 14 点/60点】

 対北朝鮮政策では、経済制裁の強化と一体に「対話による平和的解決」以外にないと断じている。方向性自体は一定の妥当性はあるが、ただ、経済制裁については9月に国連安全保障理事会が追加制裁決議を採択し、日本としても積極的に取り組んでいる。そうした中で、どういった点をさらに強化するのかは示されていない。対話についてもこれまでの対話が功を奏さなかった中では、新たなアプローチが必要であるが、特にそうした構想は示されていないため、その実効性は不明である。

 日米同盟に関するものとしては、新基地建設のストップ、普天間基地の無条件撤去、オスプレイの配備撤回、日米地位協定の抜本改正などを掲げ、さらに日米軍事一体化の推進は、地域の軍事的緊張の悪循環を引き起こすものとした上で、安保法制を廃止し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回するとしており、方針は明確である。ただ、かつてのように「日米安保廃棄」は掲げていないため、日米同盟を前提とした安全保障政策を進めていく意思はあると思われるが、日本の平和を維持していく上でどのように位置付けているのかは明らかにしていない。

 日米同盟の位置付けが不明である中、北朝鮮問題など北東アジアに存在する紛争と緊張を、平和的・外交的手段によって解決する案として、「北東アジア平和協力構想」を提唱している。

 同党が説明するところによれば、この構想は東南アジア諸国連合(ASEAN)が、「東南アジア友好協力条約(TAC)」という紛争を話し合いで解決する平和の枠組みを構築しており、ここから着想を得て提唱したものだという。これを北東アジアにも広げようというのが同党の方針であるが、実際にはASEAN諸国は南シナ海問題等をめぐり国防力強化を進め、さらに、米国との関係を強化する国や中国の経済的な影響力の中で意思を決められない国もあり、安全保障の具体的な行動では意見をまとめられない状況が存在する。そもそも様々な前提条件が異なる東南アジアのモデルを北東アジアに当てはめることは妥当なのか疑問が残る。

 しかも、同構想には中国も入るものと思われるが、公約では中国に関する言及は全編を通じて一切ない。この中国をどのようにして引き込むのか、それが同構想の成否を分けると言っても過言ではないが、具体的なアプローチは示されていない。そもそも現在、日中関係のあり方がこれほど問われているにもかかわらず、一切の方針を示していないのは課題抽出としても不十分である。

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【 評価点数一覧 / 社民党 】

項 目
社民党
形式要件
(40点)
理念(10点)
5
目標設定(10点)
5
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
3
合計(40点)
13
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
6
課題解決の妥当性(20点)
3
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
9
合 計
22

【評価結果】社民党 マニフェスト評価
      合計 22 点 (形式要件 13 点、実質要件 9 点)

【形式要件についての評価 13 点/40点】

 社民党は「衆議院総選挙公約2017」において、「平和憲法は変えさせない」という独立した大項目が設けている。

 その下に掲げられている個別の政策としては、「集団的自衛権の行使を容認した『7・1閣議決定』を撤回し『戦争法』を廃止」、「平和憲法の理念にもとづく安全保障政策を実現するために『平和創造基本法』を制定」、「自衛隊の予算や活動を『専守防衛』の水準に引き戻す」、「『人間の安全保障』重視の多国間の外交政策を進める」、「貧困や飢餓の解消、基礎教育、誰もが保健医療にかかわる体制の整備、ジェンダー平等の推進に取り組む」、「日米安保条約は軍事同盟の側面を弱めながら、将来的に経済や文化面での協力を中心にした平和友好条約への転換」、「非核三原則の法制化」、「6カ国協議の枠組みを発展させ、北東アジア非核地帯と北東アジア地域の総合安全保障機構の創設」、「北朝鮮の核開発とミサイル技術開発は、徹底した対話による粘り強い外交努力で平和的解決を目指す」、「米朝会談や『6カ国共同声明』の実現に向けて日本が努力する」、「難民支援を強化」、「辺野古新基地建設に反対し、普天間飛行場の閉鎖・撤去と、県内への移設の断念を求める」、「在日米軍再編合意については、米国との再交渉を行い、在沖海兵隊の早期の全面撤退を求める」、「日米地位協定全面改正」、「オスプレイの配備撤回」などがある。

 包括的な外交・安全保障政策という視点からは脈絡に欠けるが、同党の理念を実現する政策の体系としては一貫したものになっているともいえる。

 政策手段を明示しているのは、上記の「平和創造基本法」の制定などがあるが、達成時期などが明示されているものはない。

【実質要件についての評価 9 点/60点】

 対北朝鮮政策では、制裁・圧力強化には否定的で、「徹底した対話」を志向するとともに、米朝会談や「6カ国共同声明」の実現を主張している。しかし、そうした外交努力はこれまでにもなされてきたが、功を奏さなかった。特に、6カ国協議は再開の目処が立たず、そもそも北朝鮮が6カ国協議の共同声明を反故にする中ではこの状況の打開の可能性を見出すことは難しい。したがって、対話路線で行くとしてもこれまでとは異なるアプローチが必要であるが、特にそうした構想は示されていないため、実効性は感じられない。

 日米同盟については、「日米安保条約は軍事同盟の側面を弱めながら、将来的に経済や文化面での協力を中心にした平和友好条約への転換」や「在沖海兵隊の早期の全面撤退を求める」などとしている。

 そして、その代わりの北東アジアにおける安全保障の構想として、「6カ国協議の枠組みを発展させ、北東アジア非核地帯と北東アジア地域の総合安全保障機構の創設」を掲げていると見られる。ただ、構想自体は明確であるが、6カ国協議の枠組みなら米国も入ることになる。同党は上記のように米国の軍事的プレゼンス低減を主張しているが、では構想の中で米国にいかなる役割を期待しているのか、その点については明らかにしていない。

 さらに言えば、2016年参院選公約では、駐沖縄海兵隊に関して「将来的に全面撤退」との表現だったが、今年の公約では「早期の全面撤退」となっている。同党も公約の中で、北東アジアの緊張が高まっているとの認識を示しているが、そうした状況下で撤退を急がせるかのように表現を微妙に変化させた理由は判然としない。

 また、中国に関する言及はない。6カ国協議の枠組みをベースにするのであれば、この枠組みに中国をどのように取り込んでいくのか、ということは最大の課題になるはずである。現実には中国は「核兵器は大国としての地位を戦略的に支える」として核戦力の強化を進め、軍事費も増加の一途をたどっているが、その現状を踏まえた上での構想実現に向けたアプローチのアイデアがないため、説得力も皆無となっている。

 こうした非軍事的アプローチは全項目にわたって貫かれているが、北東アジアの厳しい安全保障環境を考えると、実現可能性という観点からはかなり見込みの薄い内容が多い。平和安全法制(同党の表現では『戦争法』)に対しては、「廃止」を明言しているが、その対案と思われるものは見当たらない。仮に、同党が以前から提唱している「平和創造基本法」が対案だとしても、その内容は「自衛隊の活動を『専守防衛』の水準に引き戻す」というものであり、現下の安全保障環境が変化する中、これがどのように日本の平和と安定の維持をもたらすのか判然としない。

 全体的に、これまでの与党の外交・安全保障政策への単なる批判にとどまっている。これほどドラスティックな改革を行おうとしているのであれば、その実現に向けたプロセスを丁寧に説明すべきであるが、それがないため国民に対する責任という観点からは大きな問題がある。

 他方、「貧困や飢餓の解消、基礎教育、誰もが保健医療にかかわる体制の整備、ジェンダー平等の推進に取り組む」、「難民支援を強化」など、グローバル課題に対する取り組みも掲げているのは、同党の公約の特長であるといえる。

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主要政党のマニフェスト評価

自民党
公明党
希望の党
立憲民主党
日本維新の会
共産党
社民党
平均
32点
23点
18点
10点
16点
18点
12点
経済
経済政策
38
34
19
9
13
16
9
財政
この分野の評価詳細をみる
23
14
9
0
13
16
2
社会保障この分野の評価詳細をみる 26
21
12
9
17
13
14
外交安全保障
外交・安全保障
53
31
29
14
21
29
22
エネルギー環境エネルギー環境 21
17
23
18
17
15
14
※上記点数は全て100点満点の点数です


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