言論NPOは12月19日、地方の自立・再生のための戦略提案や議論を行う地方再生戦略会議を発足させました。
言論NPOではこれまで、ローカル・マニフェストの評価を行うための基準づくりに取り組み、地方の人も自治体選挙とその後の政策実行を評価できるような評価基準を公表するほか、北海道など地方の有識者と「地方の自立・再生」のための、議論を行ってきました。
しかし、こうした作業を通じる中で、地方の疲弊は重く、直面する課題は大きいこと、さらに、例のない本格的な高齢化が進行する中で地方の多くが自立、再生ができる解を見つけ出していないことがはっきりしてきました。
単なる三位一体の改革で、国の権限や財源を移譲するだけでは地方の自立は困難と考えます。地方自らが自立し経営する意思を固め、その再生に向けて動き出すことが必要です。ところが、こうした状況下にも関わらず、地方のローカルマニフェストは依然、スローガン的で、有権者に自らの地域の持続可能性と将来を語れるものにはなっていないのが実情です。
言論NPOでは、マニフェストとは自らの地域の課題を抽出し、解決策を出す設計図であり、その実行を行うための有権者との契約書だと主張してきました。
しかし、そうした契約書にマニフェストを進化させるためには、単にこれを政治的なマニフェスト運動の普及と考えるのではなく、契約書をしっかりとしたものにするための政策論議が必要です。私たちは地域の実情に沿った地方の自立・再生への提案や議論を行い、マニフェストの新しい評価体系を提示するほか、地方の皆さんと一緒に議論できる舞台を様々な形で作ろうと思っています。
そこで、私たちはこうした事業を進めるために問題意識を共有する専門家が個人の資格で参加する会議を発足することにしたのです。現在のところ、メンバーとしてこの会議に参加が決まったのは、川村雅人三菱総合研究所主席研究員、斉藤惇産業再生機構社長、生源寺眞一東京大学教授、林良嗣名古屋大学教授、横山禎徳社会システムデザイナー、工藤泰志言論NPO代表の6氏ですが、06年2月までにさらにメンバーを加え、全体メンバーを決めたいと思っています。
なお、この日の発足会議には生源寺氏を除いた5氏が参加し、この地方再生戦略会議の進め方や現在の地方の現状、地方再生に向けて考えなくてはならない課題について意見交換しました。
この日の会議の要約は後日、公開しますが、このなかで、地域住民の判断材料となる情報が圧倒的に欠けているために、自らの地方経済の「重傷度」について住民の危機感がないこと、各地方の状況に応じた地方政策を提言すべき主体が現時点では明確でないこと、人口構成の変化にもかかわらず経済拡大期と同じ思想のもとで事業投資が行われる結果不採算となっていること、明確な目標設定がないために地方での再生議論が単なる議論の段階から脱皮できないまま実りのないもので終わりがちとなってしまっていること等の意見が出されました。
今後の会議では、このような問題意識のもとに、言論NPOとして、地方の自立、再生を進めるための評価基準とそのための戦略形成の方法論について、まず議論を行います。
また、地方再生戦略のモデルケースとして、言論NPOは財団法人北海道地域総合振興機構(はまなす財団)と協力して北海道の自立、再生に向けた議論を、2005年5月、7月と行ってきた北海道での会議開催に続き、2006年2月5日に東京で会議を開催することになりました。
言論NPOは12月19日、地方の自立・再生のための戦略提案や議論を行う地方再生戦略会議を発足させました。