医療改革は先の選挙でも争点とならず、医療という国民に最も関心があるにもかかわらず、またまた選挙後に案がだされ、ほとんどこれに対する議論がなされていない。
私たちも議論は遅れたが12月に大綱がまとまったのを背景に評価の視点から関係者を招き、フォーラムを行ってみた。政府案は皆保険制度を守る立場で、制度設計の変更に踏み込んでいる。
こうした設計の変更の背景には、感染症から、生活習慣病を主体とした病気の変化がある。
これと、高齢化に伴う財政負担をどう辻褄を合わせるかが、今回の大綱の目的だが、この日の議論を聞いていて、まだまだ不十分だと感じた。
医療改革は官邸主導で進み、これまでの医師会などとの水面下での妥協作りなどはなくなったことは、政策決定のシステム変更を実現できた点では評価できる。が、政府案に背景にある「大きなリスクは皆で支え、小さなリスクは自分で面倒を見る」という設計思想が大綱にどう反映されたのか、財政論の立場から辻褄があっているのか、地方で保険計画を立案するという発想はわかるが、それをどう進めていくのか、実行の担保はどう考えられているのか、など疑問は残った。
また、全体的に財政の視点からの組み立てが重視され、患者の立場や医療の質をさらに向上させる立場から、どう組み立てられているのか、よく見えない。
これらの疑問を元に再度、評価会議を行なおうと思う。