6月30日は「東京‐北京フォーラム」の分科会の打ち合わせで、東京大学に行ってきました。数えてみるとフォーラム当日まで、あと70日ほどしかありません。中国はその前にオリンピックもあり、今は地震の問題もあります。しかもこのフォーラムはオリンピックの直後に開催されるということで、これはまさに歴史的なタイミングです。私たちのこの民間対話は、日中関係を大きく、太いものにして行く可能性を秘めているものです。
日本では、昨今環境問題が大きく叫ばれていますが、もうひとつ、食料に関する問題があります。世界的に食料の確保が非常に難しくなり、日本は食料自給率が39%と、ほぼ輸入に頼っている状態です。中国も今は自給率100%を超えていますが、小麦など一部の食料を輸入に頼り始めています。経済成長に伴い、中国でも食料が大きな問題になるでしょう。この問題をどのように考えていけばいいのか。これが今回の分科会のひとつのテーマです。
この日大学の先生たちや農水省の人と協議していて気づいたのですが、日中間で食料について対話を行うことはこれが初めてだということです。経済や環境の問題と日中関係はもはや切っても切れないものになってきているにもかかわらず、食料問題はほとんど協議されてきませんでした。しかし、対話というのはそういうもので、なにかきっかけがなければ動き出しません。私たちの食料対話は、食の安全性のルールづくりを、政府だけでなく民間レベルで取り組んでいくことや、両国の食料自給に関することもテーマとして扱っていくことになるでしょう。このような対話は、たいてい大きな事件が起こったときに生まれ、その処理で終わってしまうことが常だったことを考えると、今のうちに食料の安全保障も含めて対話を行うことには非常に大きな意味があると思います。
これらについて、この日は東大で、先生たちとある程度考え方を共有しました。これをベースに、私たちは中国との交渉に臨み、適切な人に日本に来ていただき、徹底的な議論を行いたいと思っています。