2週間に及ぶアメリカ訪問の5つの目的とは

2017年5月08日

IMG_8892.JPG 言論NPOの工藤です。今ワシントンに到着しました。中国、ドイツ、さらにインドネシアにおける東南アジア諸国との対話を踏まえて、ようやくアメリカにたどり着いたことになります。直接的にはCoC、世界のシンクタンク25団体のトップが集まる会議に、日本の代表として参加し、そこでグローバルガバナンス、グローバルイシューについて議論するのが目的ですが、その他にも私は今回4つの目的を達するべく、強い意志を持ってやってきました。


トランプ政権発足後の100日をどう評価するか

 1つは、トランプ政権発足後の100日をこの目で見てきたい、ということです。私は、ワシントンとニューヨークの多くの知識層、ジャーナリストと、トランプの100日を議論する場を色々な形でつくっていきます。その中で、私は日本の安倍政権、日本の政治を評価する人間として、トランプ政権の100日を、私なりの評価基準で判断してみたい。トランプ政権は、選挙中に掲げたトランプ大統領自身の公約が、その後の様々な国際政治の展開の中で大きく修正を余儀なくされているように見えます。

 また、北朝鮮問題、中国との関係など様々な問題がある中で、トランプ政権が選挙中に主張した、多国間主義の否定と二国間主義の重視、そしてアメリカファーストをこれからも貫くのか、そして、支持層の動向はどうなのか。こうしたことが、私はどうしても気になっています。少なくともこの100日でそうした問いに答えを出せるわけではありませんが、私はこの100日時点でのトランプ政権を評価し、皆さんにご報告したいと思います。


我慢比べ状態の北朝鮮問題の行方

 2つ目に私が関心を持っているのは、北朝鮮の問題です。まさに今の北朝鮮の問題は、関係諸国の我慢比べのような状況だと考えています。対話によってこの事態を打開しようというこれまでの試みが、北朝鮮に時間稼ぎを許してしまったと判断するトランプ政権は、軍事的なオプションを含めた対応を考えようとしている。そして、中国がそうした紛争を回避するために、主導権を握って北朝鮮に対する圧力をかけ始めている。その中で、北朝鮮がどう反応するのか。日本や大統領選に直面する韓国も含めて、我慢比べをしている状況があります。そしてこの我慢比べに負けた時、大変な事態が起こってくると私は考えます。

 この我慢比べの先に、どのような北東アジアにおける平和秩序の姿があるのか。これをアメリカの政治家、軍関係者、シンクタンクのトップといろいろな形で議論をします。そして私は帰国後、北京で私が実現したように、アジア諸国との平和秩序に向けた対話の場にここでの議論を持ち帰ります。そのためにも、今回私は北朝鮮問題に関してアメリカとの対話をしないといけない。それが私のもう一つの切羽詰まった目的であるわけです。


言論NPOのアメリカ進出に向けて

 そして3つ目は、言論NPOがアメリカに進出をするための準備です。共通の価値観と民主主義を掲げるアメリカと日本が、世界やアジアの課題に向かって相互協力をする。そして、その動きが市民層に支えられる強い環境を作る。そうした重要なタイミングに来ているのではないかと私は思います。そのために私は、言論NPOがこの1年で、ワシントンに進出をするべきだと判断しました。今回私はその準備も行うつもりです。


日米が民主主義の危機を乗り越えるには

 そして最後に、私が今一番気になっている民主主義の問題です。アメリカにおける民主主義の正常化はどのように進んでいくのか。トランプ現象は民主主義の中で生まれた動きですが、これを民主主義の結果という形で捉えて良いのか。民主主義の試練を乗り越え、発展させるためにどのような取り組みが、日本とアメリカの間で必要なのか。それに答えを出そうと思っています。

 私はこれから14日間、ワシントンとニューヨークに滞在します。その間100人近くの人と議論することになると思いますが、そこでの議論を適宜皆さんに報告したいと思っています。いよいよアメリカでのチャレンジが始まります。ワシントンから工藤が報告しました。