私たちが行う「日韓未来対話」は4年前に韓国のEAIとの間で合意し始めたもので,今回が4回目となります。日韓の間には様々な民間対話がありますが、私たちの対話や議論は市民に公開され、しかも私たちが共同で毎年実施する世論調査に基づき、両国の国民間の意識や相互理解の動向を判断して行われます。私たちが、公開された対話や国民間の意識の動向にこだわるのは、多くの市民が当事者として自らその改善に取り組まない限り、日韓両国の未来は描けないと考えるからです。
今年7月20日に言論NPOとEAIが共同で発表した日韓世論調査では、2013年の調査開始以来、3年連続で悪化していた両国民間の相手国に対する国民感情に歯止めがかかり、改善に向かい始めました。ただ、台頭する中国に対する見方や安全保障に対して、両国民に異なる見方があり、不安定な北東アジアの環境下で、今後の日韓関係がどのように発展していくのか、多くの国民が確信を持てないでいることも今回の調査ははっきりと浮き彫りにしました。
両国関係には歴史の深い問題がありますが、それと同時に私たちは未来に向かうための議論を始めなくてはなりません。2国間の将来に国民間が確信を持てないのは、民主主義や自由主義の共通の基盤を持ちながらも、どのような両国関係を今後構築していくべきなのか、日韓両国が北東アジアの平和や未来にどのような協力関係を構築していくことができるのか、それに関する本格的な議論が存在していないからです。こうした議論の空白を埋めながら、両国関係の将来や、アジアの平和的な未来へ向かう道筋を共に描くための議論を開始する、それが、今年の「日韓未来対話」に問われている役割だと、私は考えています。