議論を通して実感したドイツでも高まる民主主義変質への危機感 ~ドイツからの第1報~ |
言論NPOの工藤です。さて、私は4月中旬から約1カ月にわたり、中国、ドイツ、インドネシア、アメリカの4カ国の訪問を予定しています。今、2カ国目のドイツ・ベルリンのブランデンブルク門の前の広場にいます。
今回私がドイツに来たのは、EUの中で今様々な選挙が行われている中、移民の問題、ポピュリズムの問題を抱え、この地域の民主主義がどう展開していくのか、そしてEUの将来をどう考えれば良いのかについて、多くの人たちと議論するためです。
今日もいろんな人たちと議論をしました。ベルリン自由大学の教授たちや、社会民主党の国会議員、最大シンクタンクSWP(ドイツ国際政治安全保障研究所)の代表や、ジャーマンマーシャルファンドなど、多くの人たちが、ヨーロッパの民主主義の今後のあり方について、そしてEUの今後の未来について様々な問題意識を持っていました。
民主主義の発展に逆風吹く欧州
目前に迫った第2回目のフランスの大統領選や、9月のドイツの総選挙などにも議論が及びました。フランスの大統領選については第1回目の投票を踏まえて、やや楽観的な見方が出ていましたが、EUの将来に直接の影響があるために、まだ予断を許さないという、状況でした。ドイツはフランスのなどとの動向と比べると、安定した政党の支持構造がありますが、それでも右派ポピュリズムの動向などを多くの人は気にしていました。私はその中で、ヨーロッパでは民主主義の動向に大きな変化がある、というシンクタンクなどの意見に注目しました。民主主義の発展に明らかに逆風があり、それだけではなく民主主義の国も、自国の民主主義を鍛えなおさなくてはならない時期に直面している、という意見です。
民主主義に問われている課題は、日本やアメリカだけではなく、ヨーロッパも同様に直面していることを実感しました。
これからの日独の責任
私はドイツの議員とも議論をしましたが、そうした問題にも増して関心を持っていたのは、北東アジアの平和の問題であり、緊張する北朝鮮の問題です。この問題では多く質問を受けました。そして、日本の中で私たちのような市民をベースにしたシンクタンクが、アジアの平和、民主主義の問題に取り組んでいるということに、ドイツの人たちも多くの関心を持っているということが分かりました。
私は、ドイツと日本という二つの国は、今後の世界秩序形成の中で特別な関係を作っていくべきだと考えています。なぜなら、敗戦による悲惨な時期を乗り越えて民主主義を発展させたこの二つの国は、世界の自由と民主主義の規範において、より多くの責任を果たすべき歴史的な局面に来ていると思うからです。
今日は、日本の青年会議所がドイツの青年会議所との合同で行う、グローバリズムとEUの将来をテーマとする会議に出席し、そのほか、様々な外交系のシンクタンクと協議を行います。北京から始まったアジアの平和と民主主義の議論を、ドイツで本格的に行っています。そこで得たいろいろことを、皆さんにも後から報告させて頂きたいと思っています。ブランデンブルク門の前より、第一報の報告をさせて頂きました。