北東アジアの平和に向けて、日中間の対話の舞台が始まった
~第1回日中安全保障対話を終えて~

2017年9月10日

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北東アジアの平和に向けて、日中間の対話の舞台が始まった
~第1回日中安全保障対話を終えて~

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 言論NPOの工藤泰志です。
 今日は、中国の人民解放軍系のシンクタンクの人たちや、安全保障の専門家と、非常に突っ込んだ議論を行うことができました。北朝鮮の核実験に対する国連の制裁決議草案が出され、明日(11日)その決議の採択が想定される中で、日本と中国の安全保障の専門家が集まり、私の想像を上回る熱い、濃密な議論ができたということを、非常に評価しています。

 今回の議論を通じて感じたことは、北朝鮮を核保有国として認めることはできないのだ、という問題意識を共有していたことです。一方で、軍事的な行動をとらない状況の中で、制裁を強化しながら外交プロセスにどういう風な形で持っていくのか。これに関しては、厳しい圧力をかけていかなければ外交プロセスにならない、という日本側の意見がありました。一方で、逃げ道をある程度用意しなければいけないという話もありました。少なくとも、この問題を解決する意思を両国が共有しながら、具体的な戦略的、戦術的な様々な議論を今後深めていかなければいけない、ということで両国の関係者が合意しているということは非常によかったと思います。


日中間で北東アジアの平和をつくりだすための議論の舞台が始まった

 日本と中国が、アジアの脅威、そして平和に向けて本音で議論し合う場はどうしても必要だと感じました。今回の議論を聞いていても、あまりに対話が不足していることで、この局面でも様々な誤解が存在しているということに、私は驚きました。だからこそ、民間レベルで、こうした対話を積極的に行う必要性を感じましたし、アジアの平和のためにもどうしても必要だという覚悟を新たにしました。

 一方で、万が一戦争という事態になった場合に、日本と中国との間で、海や空を含めた危機管理メカニズムというものがまだ十分ではないということも痛感しました。この問題に関しては、日本と中国の間でかなり議論する必要があるだろうし、なるべく早く合意しなければいけないと感じました。そういう意味で、この対話は、北朝鮮問題をベースにして始まりましたが、「北東アジアの平和をつくる」という問題意識を共有した上で、非常に重要な議論が日本と中国との間で始まったと感じています。

 今回の対話の内容を具体的にお話することはできず、こういう形でしか皆さんにお伝えするしかできないのですが、私たちの目的は「北東アジアの平和」にありますから、今回の対話を継続して、必ず成果を出したいと思っています。

 私たちは12月に北京に乗り込みますが、その前に中国側ともう一度、こうした議論が必要だと思っています。そうした議論のプロセスについては、皆さんにいろいろな形で公開していきたいと思っています。


⇒ 北東アジアの平和構築に向け、中国の安全保障関係者と徹底討論