政府間外交が動き出すための環境づくり |
工藤:言論NPOの工藤です。今、北京空港にいて、これから東京に帰ります。
今年の「東京-北京フォーラム」の打ち合わせを行い、今年は9月27日から3日間にわたって、東京で10回目のフォーラムを開催することが合意されました。私たちは、2005年のフォーラム創設時に、10回の対話を行うということを合意していましたので、今年はフォーラムの一つの集大成の対話となります。
民間側にもできる「外交」がある
私は今回の事前協議で、政府の取り組みと民間の取り組みの違いを感じました。2国間の問題が非常に厳しいがために、みなさん、どうしても政府を意識してしまいます。そのため、現在、政府間関係が非常に悪化しているので、民間の対話ももっと縮小したほうがいいのではないか、という声が出るわけです。しかし、私は、その考え方をどうしても打ち破りたいと思っていました。つまり、政府間関係がダメだからこそ、民間が動かなければいけないのではないか、ということを今回の交渉で終始発言してきましたが、それを理解してもらうことは本当に大変でした。
これは中国という国の問題もあると思いますが、日本の社会の中にも同じようなことがあると思います。なぜなら、外交というものは「政府」が行うものだという認識があるために、政府間関係が悪い状況では民間側は何もできないのではないか、という意識があるのだと思います。しかし、私はそうは思っていません。この状況を何としてでも改善しようという国内の世論が大きくなることによって、政府間外交が動き出すためのきっかけが作れるのではないかと感じています。まさにその舞台を9月末につくり出そう、ということを中国側に提案したわけです。
東アジアの平和的な秩序づくりに動き出す
今年11月には中国でAPECが開かれます。多分、安倍首相も参加すると思います。私たちの対話は、このAPEC開催の1カ月前という絶好のタイミングで行われるわけです。このタイミングで開かれることを、私たちは軽く考えてはいけないと思います。最終的に中国側と、かなり長時間にわたり議論を行いました。加えて、今回の訪中では政府の要人、党の関係者などいろいろな人たちに会った中で、これまでと同じことを言い続けてきました。その中で、みなさん「この対話は非常に大事だ」と共感いただき、今年の東京での対話に最高の力で臨む、という合意がなされたわけです。
この間、20人ぐらいの要人と議論しましたが、ようやくベースが作られたと思います。これから東京に帰り、秋のフォーラムに向けた準備が本格化します。5月のGW直後にはアメリカを訪れ、今回の中国、そして韓国も訪問することになっています。中国、韓国との対話を通じて、東アジアの平和的な秩序づくりに我々は真剣に取り組んでいきたいと思います。ということで、北京空港から工藤がお送りしました。