【vol.45】 論点『マニフェスト(政権公約)の評価作業を開始します』

2003年9月09日

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■■■■■言論NPOメールマガジン
■■■■■Vol.45
■■■■■2003/09/09
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●INDEX
■ 論点『マニフェスト(政権公約)の評価作業を開始します』
                           工藤泰志・言論NPO代表

■ 言論NPO政策評価委員会がスタート
 ●アンケート『マニフェストおよび政策評価についてのアンケート vol.1』
 ●『マニフェストとは?』


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■ 論点『マニフェスト(政権公約)の評価作業を開始します』
                           工藤泰志・言論NPO代表
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小泉改革をめぐり、言論NPOではこれまで様々な議論を行ってきましたが、今月の自
民党総裁選、そして年内にも予想される総選挙に対して、政権公約の評価作業に着手
することにしました。緊張感ある議論、政策論争を取り戻すためにも、政府や政党が
公約した政策を評価し、その実行にプレッシャーをかけることが必要と考えたからで
す。

現在、政党政治のあり方として、各政党によるマニフェスト(政権公約)の作成が提
案され、その策定作業が始まっています。言論NPOでは、これらのマニフェストを中
立的な立場から評価することを通じて、責任と実効性のあるマニフェストの作成とそ
の実行を各政党に促すことができればと考えています。

日本で真に政策本位の政権選択を進めるためには、いい加減な公約を許さず、その実
現を適時評価すると同時に、その評価を公開し、政党側と私たち国民との間に緊張感
ある議論の空間が必要になっています。公約を国民との契約という視点で考えれば、
その契約の履行を果たすのが政治であり、約束(契約)を曖昧にした政治には国民は
投票という手段で意思を表明しなくてはなりません。そこを繋ぐ評価とその議論公開
を、私たちのネットワークで行おうと思ったのです。日本に本当の民主主義が根付く
ためのインフラを整えるためにも、こうした試みが必要だと考えました。

この作業は、今年4月から大手シンクタンクの研究員やエコノミスト、学者の方々が
様々な形で参加し、準備を行ってきたもので、マニフェストのモデルとなったイギリ
スの実例などを検討し、日本における公約評価のあり方を検討してきました。

私たちが悩んだのは、マニフェスト型の政党政治を行っているイギリスと日本の政治
の間にはあまりにも格差があるということです。

首相が政策形成や人事権などでも強力なリーダーシップを持ち、党首が掲げた政策
(政権公約)のぶつかり合いの中で国民が実質的に首相を選ぶというイギリス型に対
し、日本では、政党は政策作成の官僚機構への実質依存から脱皮できていないこと、
公約の実行過程について党と内閣が一元化されておらず、その実行への責任が明確で
ないこと、政党の公約が抽象的かつスローガン的でイギリスのように検証や評価が可
能な具体的な目標や政策実現の工程(数値目標、達成時期、財源的な裏付け等)が描
かれていないことなどから、公約とその実現過程が非常に分かりにくいものになって
いるからです。

その矛盾が浮き彫りになったのが、小泉改革でした。世論を支えにして改革を進めよ
うとした小泉内閣は、さまざまな改革に着手してきましたが、「政権公約」の形成は
事実上、内閣府の組織である経済財政諮問会議を舞台に行い、それに対して党や霞ヶ
関が反発をするという構図を定着させていました。諮問会議は次第にその役割を調整
組織に後退させ、少なくない重要課題が先送りされる一方、むしろその対立関係を煽
るような改革が優先課題に挙がるようになっていきました。地方選挙ではマニフェス
トを掲げる候補の間で政党隠しを行うようになり、政党に対する不信感も高まってい
ます。

その矛盾の中で、小泉首相は総裁選挙での公約を踏み絵にして、選挙を戦うという姿
勢を示し、マニフェストの作成の動きは他の野党にも広がっていったのです。

政党が公約を提示し、その実行に責任を持つのは当たり前のことだと私たちは考えて
います。そうしたマニフェスト型の政治への試みが、日本の政党政治のあり方をいず
れ変えるのではないか、と考えました。私たちが政権公約の評価の作業を始めること
にしたのは、そうした可能性を期待したからです。

もちろん、そこに至るためには、マニフェストの評価基準の確立など様々な作業が必
要です。しかし、日本ではそれが検証できる形で政党や政権の政策が打ち出されてい
ないため、私たちはより定性的な評価から始めなければならない状況です。国の各分
野の重要政策について、どういう対立軸があり、それらが各々何を目指し、それらは
どこまで達成され、今後の課題は何なのかをまず明らかにしていきたいと考えていま
す。そして、その検証の過程で、次の選挙では政党は何を争点として提起すべきかを
明確にしていきたいと考えています。

その第一歩として、私たちはまず、専門チームを中心に小泉改革の評価から作業を始
めることにします。その政策評価の作業を通じて、日本に問われている政策の争点を
浮き彫りにしたいと考えたからです。この作業はできる限り公開して進めますが、他
方で、できるだけ多くの方々にもこの評価作業に加わっていただき、評価のための議
論を作っていきたいと考えています。順次、小泉内閣の「政策評価」のアンケートを
公開いたしますので、是非、ご協力をいただければと考えているところです。

ご意見、ご参加をお待ちしています。


●上記の記事はウェブサイトにも掲載されております。
https://www.genron-npo.net/debate/contents/030829_o_01.html

●言論NPO政策評価委員会
https://www.genron-npo.net/forum/policy/index_policy.html

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■ 言論NPO政策評価委員会がスタート
 ●アンケート『マニフェストおよび政策評価についてのアンケート vol.1』
 ●『マニフェストとは?』
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言論NPOは、政策評価事業を開始しました。現在、政党政治のあり方として、各政党
によるマニフェスト(政権公約)の作成が提案されています。言論NPOでは、こうし
たマニフェストを中立的な立場から評価することを通じて、責任と実行性のあるマニ
フェストの作成を各政党に促すことができればと考えています。日本に真に政策本位
の民主主義が根付くためのインフラを整えるためにも、こうした試みが必要だと考え
ました。

そこに至るためには、マニフェストの評価基準の確立など様々な作業が必要ですが、
私たちはまず、国の各分野の重要政策について、そもそもそれらが各々何を目指し、
それらはどこまで達成され、今後の課題は何なのかを検証していきたいと考えていま
す。その過程で、日本で議論すべき真の争点は何なのか、日本の選択肢は何なのかを
明確にしていくことを目指します。こうした試みを通じて、日本の政策論争に緊張感
を取り戻し、その質を高めていきたいと考えています。


●アンケート『マニフェストおよび政策評価についてのアンケート vol.1』

言論NPOでは、政策評価プログラムの一環として、会員・一般の方々から広くアン
ケート調査を実施します。調査は全5回(予定)に渡って行われ、結果は今後の議論
形成や、「政策フォーラム」「ネット会議」の連動コンテンツに反映されます。


Q1 あなたは、日本にマニフェスト政治を導入することについて、どうお考えです
  か。

Q2 現在、各政党がマニフェストを作成しようとしていますが、こうした動きについ
  て、あなたはどうご覧になりますか。

Q3 マニフェストの作成で大切なのは、それが現実に実行されることであり、その状
  況を有権者が判断、あるいは評価して次の選挙に反映されることです。この点に
  ついてあなたはどうお考えですか。

○回答はこちらでお願いします。
https://www.genron-npo.net/forum/policy/030829.html

 ●『マニフェストとは?』

現在、日本の政治のあり方を巡って、従来の「利益誘導型」あるいは「官僚主導型」
とされてきた政治構造を、国民に信頼される政権交代が可能な政党政治や、責任ある
政治主導体制へと改革するための有効な方策として、マニフェストの作成が提案さ
れ、活発な議論が行われています。

これは、政党がきちんとした公約を掲げ、それを責任を持って実行し、それを国民が
検証できるためのシステムであり、特に、民主主義政治の先進国とされるイギリスで
は、総選挙は各政党がマニフェストを掲げて争われます。

マニフェストとは、「政党が政権任期中に推進しようとする、政権運営のための具体
的な政策パッケージのことであり、(1)検証や評価が可能であるような具体的な目標
(数値目標、達成時期、財源的な裏付け等)、(2)実行体制や仕組み、(3)政策実現の
工程表をできうる限り明確なかたちで示した「国民と政権担当者との契約」」(新し
い日本をつくる国民会議「緊急提言」より)とされています。

こうしたマニフェスト政治を導入することを通じて、利害調整型の政治から国民や納
税者との契約に基づく政治への変革など、日本の政治を大きく変える効果が期待され
ています。


●上記の記事はウェブサイトにも掲載されております。
https://www.genron-npo.net/forum/policy/index_policy.html

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