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■■■■■言論NPOメールマガジン
■■■■■Vol.95
■■■■■2004/08/24
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●INDEX
■ 佐々木毅×北川正恭『国民は日本の将来から逃げられない 最終回』
■ 9月8日(水)第1回ローカル・マニフェスト検証大会のご案内
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■ 対談『国民は日本の将来から逃げられない 最終回』
佐々木毅(東京大学総長)北川正恭 (早稲田大学大学院教授 (前三重県知事))
聞き手 工藤泰志・言論NPO代表
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マニフェスト(政権公約)型の政治を日本に定着させるためにも、昨年の総選挙に続
く今回の参院選は極めて重要な意味合いを持つ。政治学者の佐々木毅東大総長と、前
三重県知事の北川正恭早稲田大大学院教授は、今回の参院選をどう位置付けるのか。
両氏とも、年金制度改革などでみられた政治の現実をいい教材にすると同時に、参院
選は日本の将来に向けて国のあり方が問われる選挙であるため、今の政治が説明責任
を果しているのか見極めることが重要であるとの認識を示した。そしてマニフェスト
をめぐって政治と有権者による契約型システムを確立することが必要と指摘してい
る。(この対談は参議院選挙前の04/6/16に行われました。)
●投票で自分の判断示さなければ......
工藤 今のお話を聞いていると、今度の参議院選は極めて重大だなという気になりま
す。今度の選挙の6年の任期は2010年です。今度の候補者はどれだけ責任がか
かっているかということですよね。
佐々木 しゃくにさわったら選挙に行けということだ。もっと言えば、一体あなたは
毎日どれだけ経済的なことについて考えているか。今度の年金についてもそう
だし、また例えば税金を払っていますか、どのくらい払っているかということ
をお考えになったことがございますかと。税金は払っているけれども、わしは
もう興味がないから行かんというのは大変育ちのいい方で、他人には金は献呈
するけれども、自分は一切権利を主張しないというようないい人だ。
税金を払わんけれども、口だけは出させろという人間がうようよしている中
で、オオカミの中の小羊のような、そういう人間である。しかし、あなたは立
派ですねと本当に思いますかと。
政治というのは自分が決めなければほかの人が決めるということなのだ。だか
ら、おれは決めないよと言えば、それで終わるかというのでなくて、大体ほか
の人が決めるということなんだ。決して真空はない。自分は決めなければ、自
分は参加しなければ、自分はいい気持ちで、それで終わりだというんだけど、
とんでもない。ほかの人が決めるということなんだ。
学問的にはボイスというのを使う。ボイスとエグジットというのがある。出口
的行動様式というのは、Aの車がだめだからBの車を買うというのがエグジット
方式というもので、それに対してボイスというのは声を上げるというもの。
だから、もっとよくしろと言うということなんだが、自分が声を上げなければ
必ず政治はほかの人間が声を上げる、あるいはほかの人間の声が通るという世
界である。自分は行かないで、自分はこれを買わないで、こっちの商品を買っ
たつもりになっているかもしれないけれども、そうではなくて、自分が声を上
げなければほかの人間の声が通る世界である。
工藤 今の発言で投票率が少し上がったかもしれません。
北川 昨年、北欧へ行ったときに、デンマークは90%の投票率。税金をもっと上げる
と言えば付加価値がついて一遍に投票率は上がる。それは相関関係にあるのだ
が、なぜ政治家に任せるのか、そこで、政治家を動かそうという発想なんだ。
義務というよりは、まさに権利なんだね。
だから、バイ・ザ・ピープルなんだ。日本はお任せ民主主義だから、バイ・
ザ・ピープルを実現させるためには、やっぱり契約によって、この政党はこう
いうことを約束するから消費税が5%上がるねとか、このことをやると自衛隊
で徴兵制になるねとかいう守るべき約束に基づき選択肢をしめることで、緊張
感あるものになり、自分たちで決めようというから90%いくという作業をしな
いと。
僕は知事のときに、「あすは日曜日、投票に行きましょう」と言って、車を走
らせ、環境に負荷を加えて、2億6000万円ぐらいの予算を使って選管がやって
いるものを止めようといった。そんなことよりは分権して、もっと受益と負担
を明確にすることの方がずっと投票率が上がるというところへどうしていかな
いのという感じだ。
分権して受益と負担の関係をもっと明確にすることで投票率が上がるし、ガバ
ナンスの統治形態の人数もちょっと問題だね。500万人から1000万人という
単位もあわせて考える必要もあると思うが、結局、自分たちで自分たちの地域
は守ろう、国は守ろうということを意識づけるためには、緊張感のある与党と
野党の関係、あるいはきちっとした約束に基づいてやっていくということであ
り、今までみんなが民主主義と錯覚してきたものを変える必要があった。だっ
て、お互い破ろうねという公約で上がってきた政治家をだれが信用しますか。
私はほかの人を言う資格はないが。私は自分自身で9回やってきているから。
●信用できない政治家を選んだのも有権者
だから絶対に政治家を信用してはいけませんよ、と自信を持って言える。逆に
同じことが言える。有権者も全く信用していませんよ。あんた方が選んだのに
何たる無責任だということを明確に突きつけて、あなたの町はあなたがつくる
ということを本格的に議論していかないと、いつまでたっても民主主義とは言
えない。今度は怒る材料がいっぱいある参議院選挙ですから、投票率が上がる
ことを仕掛けていかないけない。
佐々木 年金保険料も上がる、だから投票へ行こうということ。実際北川さんが言わ
れたように、負担が重くなると参加すると、そういう面はあるんですよ。だか
ら、そういう意味で言えば、重くなったから参加しないというんじゃなくて、
重くなったから参加。年金保険料もどんどん重くなる。それでは参加しなけれ
ばならない。
北川 重くなること自体が悪いことかといったら、そういうわけでもない。ちゃんと
選択を始めないといけないのに、わけのわからないままに、こんなことでいい
のかどうかというのは、私は政治の空洞化だし、民主主義の空洞化だと心配す
るわけですよ。
佐々木 だから、ここで行かないということは、まさに空洞化だね。
北川 観客民主主義の典型だ。
佐々木 保険料も上がる、せめて投票に行こうと。怒りの声とか余りいろいろ言わな
くていいんだよ。要するに平常心で、保険料も上がるんだったらせめて一声上
げに行こうじゃないかと。保険料は取られるわ、一声も上げないわというのは
何か情けなくないですかと。
工藤 パラサイト人間ですね。
佐々木 そこはちょっとプライドの問題というのがある。保険料は取られるけれど
も、声も上げないというのは情けないと思わないのですかね。
北川 それがよくわかるのは、来年の合併特例債による市長選挙だと僕は思ってい
る。これはもっとわかりやすい。だから、それを掲げてやるという習慣を身に
つけていくと、自分たちの一票が生きたとか、自分たちが変えたという、その
サクセスストーリーをつくっていかないといけない。そして国政選挙。だか
ら、大統領制の地方選挙と議院内閣制の選挙と公選法は一本でいいのかなんて
いう問題も臨調では議論して、1つ1つ民主主義を支えるインフラというものを
考えていこうということだ。
マニフェストサイクルが重要だ。それは契約なんだと。契約というのは双方向
の責任だ。首長とか政党の責任もあるが、国民の責任という運動を起こしてい
こうと思っています。
工藤 言論NPOも頑張ります。長時間、本当にありがとうございました。
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■ 9月8日(水)第1回ローカル・マニフェスト検証大会のご案内
主催:早稲田大学大学院公共経営研究科、早稲田大学マニフェスト研究所
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言論NPO代表・工藤泰志は、9月8日(水)に「ローカル・マニフェストの第1回検証
大会」(主催:早稲田大学大学院公共経営研究科、早稲田大学マニフェスト研究所)
に参加いたします。
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この検証大会は、2003年の知事選挙で当選した知事のマニフェストの進捗状況を検
証し、マニフェストの意義および課題、今後の展望を検討する目的で開催いたしま
す。この検証大会を通じて、ローカル・マニフェストのさらなる進化を目指すととも
に、真の分権改革を進め、「新たな国のかたち」を実現するための主体的な行動と幅
広い連携を求めるメッセージを送りたいと考えます。
●日時 2004年9月8日(水)13:00~17:10
●場所 早稲田大学西早稲田キャンパス14号館2階201教室
(東京都新宿区西早稲田1-6-1)
●主催 早稲田大学大学院公共経営研究科
早稲田大学マニフェスト研究所
●参加方法 FAXまたはメールにて事前申込制
参加費無料、定員700名、定員になり次第締め切り
<お申し込み先>
早稲田大学マニフェスト研究所事務局
〒169-8050 東京都新宿区西早稲田1-6-1
Fax: 03(5286)1663 E-mail: maniken@list.waseda.jp
●お問合せ 早稲田大学マニフェスト研究所事務局(担当:林)
TEL&FAX: 03(5286)1663
E-MAIL: maniken@list.waseda.jp
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1. 現在のマスコミが果たしていない建設的で当事者意識をもつ
クオリティの高い議論の形成
2. 議論の形成や参加者を増やすために自由でフラットな議論の場の
形成や判断材料を提供
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