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■■■■■言論NPOメールマガジン
■■■■■Vol.111
■■■■■2004/12/15
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●INDEX
■ 座談会『日中のコミュニケーションギャップをどう乗り越えるか 第5回』
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■ 座談会『日中のコミュニケーションギャップをどう乗り越えるか 第5回』
張仲梁 (新生代市場監測機構CEO)、霍虹 (新生代市場監測機構副長経理)
五十川倫義 (朝日新聞社論説委員)、山田賢一 (NHK放送文化研究所主任研究員)
古畑康雄 (共同通信社メディア局編集部記者)
司会:工藤泰志 (言論NPO代表)、牧野義司 (言論NPO理事)
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●中国メディアは日本をどう伝えているのか
工藤 霍さんは中国メディアをいろいろ分析されていますよね。その中で今、中国の
報道側がどういうふうに日本を伝えていこうとしているのか、をどう分析され
たかを少し話してもらえませんか。
霍 今年の8月に中央テレビ局、唯一、中国で全国放送しているテレビ局の4つの
チャンネルを研究の対象として、その1カ月間で対象番組としてはニュース番
組とニュースの特集番組を選びまして、そこで日本関連の報道はどのぐらいの
量で、どういったものであったかを調べました。まず日本関連の報道は、この
4つのチャンネルで件数としては440件報道されました。累積の露出時間は約
10時間、9時間56分32秒でした。
これらの報道の中でいろいろ分け方があって、内容的に見ると、社会関連が
38%で1位、スポーツ関連は25%で2位、3位になっているのは政治問題で
13%、続いて4位は11%の経済問題、外交関連は9%、最後になるのは科学技術
関連4%、これは件数で数えた場合です。露出時間で数えると、トップは社会問
題で40%、これは件数にほぼ一致している。2位はスポーツ関連で23%、政治
問題21%、経済8%、外交5%、科学技術3%、件数と露出時間はほぼ一致してい
ました。
多分皆さんが一番関心を持っている、プラス的な報道とマイナス的な報道はそ
れぞれどうなっているかというと、まず経済類から見た場合は、テーマごとに
さらに集計を取ったところ、1位は三菱自動車のリコール問題。2位はあまりプ
ライマイナスがなく、東京三菱銀行とUFJ銀行が合併して世界1位の金融グルー
プになったという報道です。この2つはほかの話題よりも報道量が多くて、プ
ラス的な報道が1つもないということがあります。マイナスのものとプラスも
マイナスもないものです。
社会分野で見た場合は、60%が関西電力の原発の事故、それに続いて台風の情
報、この2つを合わせて全体の78%。それ以外は小さな話題で、恐らくたいし
て印象に残らないのではないかと思います。スポーツの話題はアジアカップが
92%で、スポーツ番組の中でスポーツのみは94%で、残りの6%はスポーツと
外交と絡み合わせたような形になっています。
あと政治は、トップは自衛隊派遣の問題30%、2位は靖国神社の参拝に対する
中国の反応が28%。靖国神社の参拝問題は18%。結局、靖国神社の参拝と中国
政府の反応を合わせると、靖国神社問題がトップの話題になってしまう。自衛
隊の派遣と合わせると約7割の割合を占めることになります。 全体的に見た
場合は、マイナス的な情報が43%ありまして、どっちにも寄らないものは55%
で、プラス的な情報は2%しかなく、このプラス情報と言われるものは、戦争時
に日本に強制連行された労働被害者の賠償金支払い問題に集中している。そう
いう状況です。
五十川 いろんな課題があると思いますが、その中で、日本のメディアとして、僕ら
は僕らの努力をしたいと思っているのですけれども、中国の政治とメディアの
関係というのもやはり大きな問題だと思います。例えば西北大事件で、最初に
「日本人が中国人を侮辱した」という香港の報道が全国にネットで広がってし
まった。日本人による中国人の侮辱事件のようになって、その後いろんな展開
があったのだけれども、もう中国国内では報道されていない。したがって、結
局、侮辱事件ということで定着してしまった。中国当局からすれば、この問題
はここまでにしようということなんです。われわれは、プラスであれマイナス
であれ、とにかく事実を追いかける。どうなろうが最後の事実まで明らかにし
て提示したいというところがあるのだけれども、中国の場合は、途中で、この
問題は社会の安定のために一応ここで収めしましょうというところに入ってし
まう。だから、事実が最後まで中国の国民に知らされていない。こういう一つ
ひとつが、お互い見えない積み重ねになっているのではないか、要するに誤解
を拡大している要因になっているのではないかと。そういった問題をどうして
いけばいいのだろうか、どう考えればいいのか、そういう点もいろいろお伺い
したかったのですけれども。
●中国メディアと政府のコントロール
工藤 張さん、いまの五十川さんの質問も踏まえてご意見がありますか。
張 先ほど霍さんからもメディアについての紹介がありましたけれども、これはま
だ短期的な調査で、その他いろいろなものを蓄積して、今後、皆さんにも情報
提供できるようにしたいと思います。五十川先生のご指摘については、3つほ
ど申し上げてみたいと思います。まず中国の政府がメディアをコントロールで
きるかできないか。どの程度できるかということで言えば、これは100%コン
トロールできるわけではありません。文章を書く権利というのは記者にあるわ
けです。それで、政府が中日関係についていいことを報道してくれと言って
も、その記事が文章としていいものでなければ紙面に載りません。逆にマイナ
スイメージの報道であっても、文章としておもしろければ載ってしまうわけで
す。これは先ほどどなたかがおっしゃった、まさにメディアとしては読者のこ
とを考えざるを得ないという部分があると思います。
今日の話について言えば、政府とメディアと民間、この3者はそれぞれお互い
に影響し合う関係にあると思います。そういう意味で言えば、政府が何かやり
たいことがあっても、そこには当然、民間の力というものもかかわってくるわ
けです。ですから、私も知っていますけれども、政府がやりたいと思うこと
が、政府としてやりきれない場面もあるということを知っております。
──次号へつづく──
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