被災地に向けたボランティアの動きをどう立て直すか

2011年6月20日

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【Topics】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「被災地に向けたボランティアの動きをどう立て直すか」

早瀬昇氏(大阪ボランティア協会常務理事)、矢野正広氏(とちぎボランティ
アネットワーク事務局長)、田中弥生氏(言論NPO理事、大学評価・学位授与
機構准教授)による議論を公開中!

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いつも言論NPOの活動にご理解とご協力を賜り、ありがとうございます。

言論NPOでは、6月8日に言論スタジオにて早瀬昇氏(大阪ボランティア協
会常務理事)、矢野正広氏(とちぎボランティアネットワーク事務局長)、田
中弥生氏(言論NPO理事、大学評価・学位授与機構准教授)をゲストにお迎えし、
「被災地に向けたボランティアの動きをどう立て直すか」をテーマに話し合い
ました。

議論では、被災地のニーズから見た場合、いまだに圧倒的多くのボランティア
が不足している現状が明らかにされたほか、NPO自体が市民やボランティア
を巻き込むような形で成長していたのかという、阪神大震災以後の市民社会を
めぐる本質的な問題まで、幅広い指摘がなされています。

今回は、議論の報告をご紹介しますので、ぜひご一読いただき、ご意見、ご感
想をお寄せいただければ幸いです。

※発言方法は、最下部にあります。なお、お手数ですが、発言の公開の可否と、
お名前の公開の可否は必ずお書きください。

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「被災地に向けたボランティアの動きをどう立て直すか」

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まず代表工藤から、「震災から3ヶ月が経ったが、被災地はまだ瓦礫の山が
あり、一万人あまりの方が避難所で暮らしている。だが、GW以降ボランティア
が減ってきているのが現状。この問題をどう捉えればいいのか」と問題提起が
あり、(1)被災地におけるボランティアがいまどのような状況にあるのか、
(2)ボランティアはなぜ減ったのか、そして、(3)継続的にボランティア
が参加する仕組みのために何が必要なのか、をトピックとして、話し合いが行
われました。

第一の点について田中氏は、企業や医療専門家、学生などのボランティアの
動きを紹介し、「全体で見た場合、日本のボランタリズムは比較的盛り上がっ
ていると思う」とした上で、「社会福祉協議会を通じたボランティアについて
は、たしかにピークだったGW中から比べると6月以降は半減している」としま
した。一方で早瀬氏は、「費用や時期的な点も含めたボランティアの「コスト」
を考えると、阪神大震災を上回る」として、「それほどネガティブに見る必要
はないのではないか」と述べました。栃木でボランティアを集めている矢野氏
は、「水害に対する復興に要するボランティア数は184万人」との推計を持ち出
しながら、被災地のニーズから見た場合、いまだに圧倒的多くのボランティア
が不足している、との見方を示しました。

第二の点について、工藤が「ボランティアが機能するためには、地域の人と
の信頼関係や受け皿が不可欠だが、この三ヶ月でそれは機能したのか、まだ課
題があるのか」と提起すると、矢野氏は村的な助け合いの中でのコミュニケー
ションのあり方と都市的な新しい共同体の関係性の違いについて触れ、「地元
の社協をベースとしたボランティアセンターではそれまでの住民との関係性を
重視してしまう。逆によそ者が積極的に現地に行って新しい信頼関係をつくる
ことが必要」と指摘しました。また、NPOがボランティアを届け、受け皿に
なる点でも十分な役割を発揮していない、という問題が話し合われ、矢野氏は
「これまで専門スタッフや行政の受託事業だけをやってきた団体がここにきて
ボランティアを送り出す、というのは不可能」と指摘し、田中氏も「NPO自
身がボランティアや寄付を受けることで市民とつながっていないところも多く、
こうした傾向を問題だと考えてこなかったNPO側も真摯に受け止めて反省す
べきだと思う」と述べました。
早瀬氏はこの点について、「ボランティアと付き合ってきたのは、現地では
社協系のボランティアセンターだったが、NPO側がボランティアとつながっ
ていたら、もう少し違う展開だった」と述べる一方で、「地元で何かしたいと
いう人は着実に増えているので、風向きは変わってきている」とも強調しました。

最後に、ボランティアの動きを立て直すために今後必要なことについて、矢
野氏は、「ある意味でボランティアの数値目標を設定して、それを目指して努
力するような動きが大切」とし、さらに「現地のボランティアセンターが疲れ
ており、それをサポートする動きやNPO自身が受け皿となるような多様な取
り組みが必要」としました。また、田中氏は、「これだけ当事者意識をもとう
としている市民の熱意を、もっと活かす社会であって欲しい」と述べ、ボラン
ティアにとって物理的にもコーディネーションの意味でも高いハードルを下げ
る努力を一刻も早くすべきとの認識を示すと同時に、多くのボランティアの課
題に取り組むドラマを広く伝播させることも大切、と述べました。最後に早瀬
氏は、「人が参加して物事を解決していく事のほうが、参加を受け付けずに一
部の人達で決めるよりもずっといいこと」と述べ、寄附やボランティアを通じ
た「参加の力」を様々な場面で確認し合うことこそが必要だと指摘しました。


これらの議論は以下の3部にわかれてテキストで全文を掲載しておりますので、
ご一読いただければと思います。

▼「第1部 被災地のボランティアはなぜ減ったのか」のテキストは
こちらから↓
https://www.genron-npo.net/studio/2011/06/post-6-2.html

▼「第2部 ボランティアを動かすため何が足りなかったのか」のテキストは
こちらから↓
https://www.genron-npo.net/studio/2011/06/post-6-3.html

▼「第3部 ボランティアの動きをどう立て直すか」のテキストは
こちらから↓
https://www.genron-npo.net/studio/2011/06/post-6-4.html

▼議論の全容を動画で見る場合は、こちらから↓
https://www.genron-npo.net/studio/2011/06/post-6.html


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◆◇◆ ご発言の募集 ◆◇◆
 言論NPOは、「言論スタジオ」と「ON THE WAY ジャーナル」と連動した
発言テーマで意見を募集しています。

≪発言テーマ≫
(1)被災地のボランティアの動きをどう立て直すのか
(2)強い市民社会をどう実現するのか
について議論を展開していきます。みなさんからの発言を募集しますので、ぜ
ひお寄せ下さい。

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