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■■■■ 言論NPO メールマガジン
■■■■ 2011年11月17日
■■■■ 発行:認定NPO法人言論NPO<https://www.genron-npo.net/>
【Topics】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
言論スタジオ「東日本大震災における寄付金の偏在について」報告
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いつも言論NPOの活動にご理解とご協力を賜わり、誠にありがとうございま
す。言論NPOの事務局です。
さて、11月14日、阿部陽一郎氏(中央共同募金会広報企画副部長)、田中弥生
氏(大学評価・学位授与機構准教授)、山岡義典氏(日本NPOセンター代表
理事)をお迎えし、「東日本大震災における寄付金の偏在について」をテーマ
に話しあいました。
今回は、議論の報告を掲載いたします。ご一読いただき、ご意見、ご感想をお
寄せいただければ幸いです。
※なお、今回の議論に先立ち事前アンケートを行いました。ご回答いただいた
皆さまありがとうございました。結果につきましては、下記からご覧いただけ
ます。
https://www.genron-npo.net/society/genre/cat193/post-76-2.html
▼当日の動画全編は下記のURLからご覧いただけます
http://www.ustream.tv/recorded/18517365
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言論スタジオ「東日本大震災における寄付金の偏在について」報告
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11月14日の言論スタジオでは、阿部陽一郎氏(中央共同募金会広報企画副部長)、
田中弥生氏(大学評価・学位授与機構准教授)、山岡義典氏(日本NPOセン
ター代表理事)をゲストに、「東日本大震災における寄付金の偏在について」
をテーマに議論が行われました。
まず代表工藤は、「東日本大震災から8ヶ月が経ち、多くの支援が被災地に集
まった一方で、多くの義援金の使われ方が適切だったのか、支援金も一部の団
体に集まり,寄付の偏在が明らかになっている。またどこに寄附をすればいい
かわからなかった、という声も聞く。こうした状況をどう考え改善に結びつけ
ていけばいいのか」と問題提起、今回は、①東日本大震災に対する支援の実態
はどのようなものだったのか、②義援金や支援金の使われ方や、寄附の偏在に
関する問題、③こうした状況を改善するにはどうすれば良いのか、についての
議論がなされました。
第一のこれまでの支援の実態について、田中氏は寄附の動向を大きな流れで見
ると、今回の震災を機に一気に寄付額は増加したと指摘しつつも、「被災地へ
の見舞金となる赤十字等を通す義援金は3,500億円ほど集まったが、NPO等
への支援金は300億円でその9割が3団体に集中している」と義援金と支援金、
そして支援金内に大きな隔たりがあると説明、義援金や支援金を受け入れた中
央共同募金会の阿部氏は、義援金が377億円、支援金が30億円との募金実績を明
らかにすると同時に、義援金はそのまま被災地に渡しているもので、募金会の
人件費などは一切使われていない、などその経緯を詳細に、説明しました。
また、山岡氏は、日本NPOセンターは「支援先を十分判断するためには1億
円程度が対応の限界と判断した」と語り、数十億円単位の支援金が3団体に集
中していることに問題を投げかけながら、「ただ共感を集める団体に寄付が偏
在するのは当然」と語りました。
この間明らかになった問題として、「義援金の遅配。被災者のみならず、寄付
者からも声が上がった」(田中氏)、「義援金と支援金の違いが分かるのに非
常に時間がかかった」(山岡氏)などが挙げられました。
第二の点の義援金や支援金の使われ方に関して、阿部氏は義援金が罹災証明に
基づいて行政が被災者に送金する仕組みになっていることを説明、しっかりと
した検証が今後必要であることを前提とした上で、「震災規模があまりにも大
きく、自治体自体が被害を受けていた」として、迅速に対応することの難しさ
を述べました。一方、募金側/助成側の課題として、田中氏が「災害対応に際
しての募金に経費や管理費が含まれることもあらかじめ説明し、最初にきちん
と伝えるべきではないか」と述べると、山岡氏もこの点について「責任をもっ
て資金を配分するとなると、現地にも赴いて調査するといったことも必要。き
ちんとした助成にはそれなりの管理費が不可欠だ」と主張しました。
偏在に対しては、工藤から再度、「今の現象は共感以前の問題ではないのか、
つまりNPOの活動の姿が市民に見えておらずその努力も怠ってきた。選ばれ
た団体も名前が日本を代表している名前になっている程度でその活動内容を知
った上での判断なのか。事実,市民はどこに寄付すればいいの、分からない、
という声がかなりアンケートでもあった」と問題提起がなされ,これに対して
参加者からは、「支援金というのは今回初めての問われたものでまだ十分では
ないが、それがどのように使われたの、か、十分に吟味する必要がある」「N
PO自体の日頃の活動が問われており、残念ながら多くのNPOが報告書も出
せるのか、そのレベルにある」などの厳しい意見も出ました。
さらに山岡氏は、そうしたNPOを見分ける資金仲介組織には平常時から仲介
のプロが育っていなければいけないと述べると共に、「資金仲介組織を通さな
い支援金については、メッセージを発していない組織にはどうしても出せない。
組織自身にも発信力が必要」と資金を受ける側の課題も強く指摘しました。
最後にこうした状況を改善するための方策について議論が及ぶと、山岡氏は
「瞬間的に集まったものを瞬間的に使うべきという考えだと、使い方がどうし
ても雑になってしまう」と述べて、時間の偏在を慣らす文化を醸成していく必
要があるとしました。資金仲介組織の当事者としての阿部氏は、「今後は、地
元の皆さんが作ったグループをいかに支援していくかが課題となる。被災者と
寄付者の間になんとか循環を作っていきたい」と述べました。
そして最後に田中氏は、今回議論になった課題が震災に始まったものではなく、
寄付を集めるということに対して慣れていない日本の市民社会組織に根本的な
課題だと指摘。この課題を乗り越えるための一つの内発的な試みとして「エク
セレントNPOをめざす市民会議」が提案している評価基準を紹介し、「非営
利セクターを取り巻く制度が整備されてきた今、今度は自らが自らを磨き上げ
て社会に対する発信力を高める段階だ」と述べ、非営利組織自信の変革が急務
との認識を示しました。
▼事前アンケートの結果はこちらから
https://www.genron-npo.net/society/genre/cat193/post-76-2.html
▼当日の動画全編は下記のURLからご覧いただけます
http://www.ustream.tv/recorded/18517365
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