【毎日新聞】 当事者意識と真剣な議論「言論NPO」運動の1年

2002年7月28日

2002/7/28 毎日新聞

p020728_mainich.gif

 「日本を変える挑戦者たちの知的ネットワーク」を目指し、政党当事者や経営者、学者が『言論NPO』という運動を始めて1年たった。インターネットや雑誌を駆使した活動が本格化していると聞いて、代表の工藤泰志さんを訪ねた。

今の運動の柱は建設的な議論を作るウエブ論争と会員参加型の言論フォーラムで、ウエブ論争では、税制改革と「みずほ」のシステム障害を取り上げている。市販雑誌『言論NPO』4号で、税制改革について工藤さんは次のように書いた。〈短期的な景気対策ではなく、将来の国の在り方、制度設計と合わせなければ、抜本的改革とならない……。残念なことに、こうした、将来の日本社会の理念に向けた税制の議論は……政治の世界からはまだ具体的に発信されてはいない〉

この号では税制改革の戦略化に向け、石弘光・政府税調会長と本間正明・経済財政諮問会議議員の対談も載っている。

また、みずほ問題で問われたのはコーポレート・ガバナンス〈企業統治〉のあり方だった。「ガバナンスが官依存で、株主や顧客をを向いた経営をしていなかった」と工藤さんは言う。そこで言論NPOは、みずほ関係者24人の協力を得て議論のベースになるリポートを作り、これを元に取締役会が機能しなかった理由などについて専門家に寄稿してもらった。

政策秘書や金融ビッグバンなど、議論が深まらず、検証も不十分な問題は少なくない。

著名人が続々と運動に協力するのも、継続して真摯に論じようとする工藤さんらの姿勢を評価するからだろう。ボランティアが支える裏舞台は決して楽ではないようだが、この当事者意識を買いたい。言論NPOのホームページはwww.genron-npo.net

2002/7/28 毎日新聞