2003/9/9 毎日新聞
工藤泰志・言論NPO代表
各候補の政策で疑問に思うのは、政策の対象顧客は自民党内なのか国民なのかはっきり分からないこと。党内の受益層の関心には応えたものが多いが、国民の疑問にも応え、実行を担保できる政策を具体的に示しているわけではない。
弱者への保護は必要でも、すべてを守る必要はないこと、さらには従来型のモデルを変更するためには負担が避けられないことを国民に伝える努力を怠ってきたことが、今の状況を招いているように思える。それを財政拡大で状況が一変すると語るのは、あくまでも甘いささやきにすぎず、政治家としては無責任にも思える。
改革時に必要なのは政治の強烈なリーダーシップだ。それは改革を進める政権構想とその実行力。国民にそれを説得できる能力である。その点で、総裁選に期待するのは甘い言葉や批判ではない。
2003/9/9 毎日新聞
工藤泰志・言論NPO代表