2003/12/21 朝日新聞
自民党の政権公約の実行が中途半端になった背景には二つの問題がある。一つは、マニフェスト自体があいまいだったこと。もう一つは、マニフェストを政府の政策として動かしていく実行プロセスが整っていないことだ。
自民党はマニフェストが異なる公明党と連立を組むなら、選挙後政策についてきちっと合意し、それを踏まえ政府の方針を決定しなくてはならない。そうした作業が十分でないため、実際には年金改革の正念場で公明党と足して二で割るようなことが起きている。
小泉首相は本来、首相主導・内閣主導で、今までの政策決定システムを作り直そうとしていたはず。それが与党内の調整で数字を合わせをするような昔の形態に戻るようでは、抜本的な改革などできまい。経済財政諮問会議はこれらの問題で蚊帳の外に置かれたが、どう実行体制を作り直すのか。
一期目は不十分だった首相の指導力は今回も十分ではなかった。マニフェスト選挙は大きな実験だったが、大きな宿題も残っている。(「言論NPO」工藤泰志代表・談)
2003/12/21 朝日新聞