2003/12/25 毎日新聞
04年度予算政府案を自民党のマニフェスト(政権公約)に照らすと、年金改革は抜本改革されず完全な公約違反。三位一体改革は1兆円削減は評価するが、地方の自主性を確立する道筋が見えない。道路公団改革は民主化の実質断念であり道路を造るスキームに戻った。
マニフェスト自体があいまいだった。少子高齢化が進み、右上がりの成長を前提にした制度が続けられない現状をどう認識し、克服するかビジョンが示されなかった。この結果、説明が不十分なまま国民負担を強める誌不安になった。
マニフェストの実行過程が確立していない点も問題だ。自民、公明の政策合意が抽象的で。経済財政諮問会議は形がい化している。結局、与党調整にゆだねる旧来型の政策決定が繰り返された。
国民は今回、マニフェストにないことが無責任に決められることを学習した。次の選挙では、政党は統合性あるビジョンと実行過程を示すべきだ。有権者も厳しく点検し、あいまいな党には投票すべきでない。
工藤泰志・言論NPO代表の話
2003/12/25 毎日新聞