発言
言論NPO代表工藤泰志氏のお仕事は、これからの時代ますます重要になる。
戦後、半世紀以上日本の政治を主導してきた自民党政権が退陣し、総選挙で圧倒的な支持を得た民主党政権が誕生した。民主党政権は、官僚依存とされた自民党政権の積年の問題を根底から棚卸すべく、行政刷新会議の活躍をはじめ様々な取り組みを行っている。
こうした取り組みを通じて最も問われるのは、政治の透明性であり、情報開示である。既成の大メディアは、政治の権力機構と無縁ではなく、メディア組織の存続のためにも権力になびく傾向があることは否めない。
工藤氏の活躍は、そうした構造的な偏りが避けられない現代情報社会の中で、心ある人々の個人的な指示に支えられて敢然と何物にもとらわれない自由な発言と情報公開の場を確保しようとしている。その姿は、台風の風にもなびかず、佇立する一本の立ち木のようである。工藤氏の存在は、現代社会の中で、極めて貴重な意義がある。言論NPOに対して多くの方々の理解と支援を願う次第である。
千葉商科大学 学長
1943年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院終了後、米国ウィスコンシン大学で博士号取得。労働経済学が専門だが、経済政策、国際経営、国際関係論など幅広い分野で活躍している。2004年4月より2008年3月 富士通総研経済研究所 理事長。2007年4月より慶應義塾大学名誉教授。
先の小泉政権下では内閣府特命顧問として政策支援に携わり、現在も財政制度等審議会委員、対日投資有識者会議座長、消費者行政推進会議委員を務めるなど政府の政策形成にも深くかかわっている。
主な著書は、『雇用改革 「雇用の質」を改善せよ』(共著)(東洋経済新報社 2007年)『成功する!「地方発ビジネス」の進め方』(かんき出版 2006年)『雇用を創る構造改革』(日本経済新聞社 2004年)等