発言
言論NPOとつきあいはじめてもう5年になります。2005年、北京でフォーラムが開催された頃、日中関係は最悪でしたが、いま振り返ってみると、少なくとも表面的には関係はずいぶんよくなったし、その上で言論NPOはひじょうに重要な役割をはたしてきたと思います。ただし、わたしにはこうした関係改善はまだ途に着いたばかりで、わたしのように東南アジアを研究している者から見ると、われわれとタイ人、あるいはインドネシア人とのあいだに成立している深い信頼関係のようなものはまだあまりなく、それが「表面的には」と言う理由です。そういった深い信頼に基礎付けられた関係の構築にはまだまだ時間がかかりますが、道遠くともやらざるをえません。そのためには言論NPOと工藤さんにこれからもがんばってもらうほかありません。私もみなさんと一緒にできることはなんでもしたいと思いますが、ぜひ一人でも多くの人たちが言論NPOに参加していただければと願っております。どうぞよろしくお願いいたします。
白石 隆
内閣府総合科学技術会議議員
内閣府総合科学技術会議議員
1972年東京大学卒業、同大学修士号取得、1986年コーネル大学哲学博士。東京大学教養学部助教授、コーネル大学助教授、教授を経て、京都大学東南アジア研究センター教授、政策研究大学院大学副学長・教授、2007年アジア経済研究所長(兼任)、同年紫綬褒章受章、2009年より現職。著書に『海の帝国』(中央公論)2000年読売・吉野作造賞受賞他多数。