発言
言論NPOは今年、創設8年目の年を迎えました。2009年からは政治経済共に文字通りの世界の構造転換が始まり、歴史はまた新しい1ページを開こうとするでしょう。多数の予想不可能なことが起き、我々が普通だと思ってきたことが普通ではなくなることが多々、起きてくると思います。重要なことは変化が危機的なものでも、明治維新がそうであったように、危機を機会に変えることが可能だ、ということでしょう。
言論NPOが発見したように、日本は「課題先進国」として、世界の先頭に立つことができます。省エネルギーや環境技術から人を楽しくするアニメまで、他国の真似ではなく、日本人の意識から自然に生み出されてきたものが世界に受け入れられてきました。
しかし、加速化する少子高齢化、不安感を増す雇用、金融や不動産市況の行方など、むしろ課題はさらに増しており、さらなる取り組みが必要です。日本には厳しい現実の中でも今なお、善意と使命感を持って闘っている人々がたくさんいます。扇情的で安手な議論を超えて意見を収斂させ、結束することが人々の努力に報いを生むのではないでしょうか。
既存の組織やそのイデオロギーによらない、自由な言論の場として、言論NPOの重要性は一段と増すと思います。時代は前進のチャンスを与えてくれています。その要請に応えるNPOであって欲しいと願います。
深川 由紀子
早稲田大学政治経済学部 教授
早稲田大学政治経済学部 教授
早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了。日本貿易振興会海外調査部、(株)長銀総合研究所主任研究員等を経て、98年より現職。2000年に経済産業研究所ファカルティ・フェローを兼任。米国コロンビア大学日本経済研究センター客員研究員等を務める。主な著書に『韓国のしくみ』(中経出版)、『韓国・先進国経済論』(日本経済新聞社)、などがある。