脇若 英治

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発言

 2009年7月からロンドンに来て、目下クリントン財団で、気候変動問題に取り組んでいます。ヨーロッパ担当なので、ここのところ、パリ、ブラッセル、ベルリン、ワルシャワ、と駆け足で訪問し、EC各国がこの地球規模の問題に積極的に取り組んでいる姿を目の当たりにしています。

 日本は、鳩山内閣が、2020年までに、CO2を25%削減するという国際公約を掲げ、立派な花火をうちあげました。ただほかの公約同様、具体策はこれからといったところで、経団連、一般国民の対応を見ると、まだ言葉だけが一人踊っていると言わざるを得ません。環境に関する一連の動きを比較すると、日本の外交のナイーブさを心配するのは、私一人ではないでしょう。ECのみならず、アメリカも中国も、今この問題については真剣に向き合っていますが、外交上の交渉は別の次元で考えているように思えます。よく本音と建前という言葉が日本では使われますが、本音を言うことは弱点を暴露するようなものです。もっと戦略的に交渉ができる政府のリーダーシップが今後もっともっと求められるのではないかと思います。

 そのため言論NPOが、物の本質をとらえ、日本のレンズで現象しか伝えない今のマスコミの弱点を補っていくことがますます必要になると思います。


脇若 英治
クリントン財団(William J.Clinton Foundation) 気候変動ヨーロッパ担当


1973年三井物産入社、1978年ハーバードビジネススクールでMBA取得、その後、1985年BP(ロンドン)に入社、2001年7月より2009年6月まで、BPジャパン代表取締役社長。ロンドン在住。