松井 道夫

松井 道夫氏発言

 民主党政権になって、国のガバナンスの主導権を官から政治に取り戻す作業がなされている。大いに注目している。組織は長い年月を経て内部から腐っていくものだ。病根は官そのものよりも、その強大な権力に擦り寄った族議員に代表される一部政治屋や、既得権益で長い間潤っていた民の一部にある。政権交代はその腐った部分を白日の下に曝すものだ。前政権末期に起きた、構造改革や規制撤廃による既得権益の剥奪に対しての、アンシャン・レジーム勢力、即ち、既得権益者達の逆襲を許してはならない。鉄は熱いうちに打たねばならない。ぐずぐずしているとその反動が必ずくるであろうが、それまでに、官でも民でもない公の役割を発揮する場を創ることが必要だと考えている。言論NPOも言うならばその公の一翼を担う存在であると考えている。言論NPOの財産は豊富な人的ネットワークだ。各界で活躍している多くの人が、そこに加わっているのは、既存のメディアや組織での議論に可能性を感じていないからだ。こうしたネットワークが横に結びつき、真剣に議論し、それが行動に結びつくときに新しい変化が起こる。言論NPOの熱い議論に私は期待している。

松井 道夫

松井証券株式会社 代表取締役社長

1953年長野県生まれ。76年一橋大学経済学部卒業後、日本郵船を経て87年義父の経営する松井証券に入社。95年より現職。経済同友会幹事、規制改革会議委員。著書に『おやんなさいよ でもつまんないよ』ほか。