朝比奈 豊

朝比奈 豊氏発言

 「私が、議論を個人の参加によるNPOで行おうと考えたのは、多くのメディアの議論が、傍観者的な批判のための議論に終始していると思えたからだ」

―言論NPOの発足から1年後、工藤さんは毎日新聞紙上で言論における「当事者意識」の重要性を熱く語りました。報道界に向けられた直言を、私たちは真摯に受け止め、言論NPOの試行錯誤の挑戦を見守ってきました。回を重ねる「東京-北京フォーラム」や歴代政権評価のエネルギッシュな取り組みは、その気概がまさに結実したものでした。

 健全な民主主義に向けた議論の場をつくること。それは私たち自身の目標でもあり、現政権のマニフェストの実行度を月ごとに特集する「鳩山政権の通信簿」の企画も、その試みの一つです。「当事者としての言論」の重みはますます増していきます。そして、それを支える公的NPOの「質」が問われる時代になるでしょう。

 政権が交代しても、政治の現実は重く憂鬱です。新しい状況を創り出す起爆剤として言論NPOの「発信力」に期待します。

朝比奈 豊
毎日新聞社 代表取締役社長