佐々木 毅

佐々木 毅氏発言

 私はいろいろなところで言論NPOの活動を拝聴しているわけですが、日本において言論の世界が、いわゆる狭い意味での言論界の人の仕事として考えられがちであった伝統を、さまざまな各界の皆様方の参加によって新しく展開させようという志は、私は大変貴重なものであったと思いますし、これからも貴重であり続けるものであると確信しております。

 日本の民主主義の質的向上が、この言論NPOの大きな目標です。そういう点で、例えばいわゆるマニフェストの評価などについて貢献していただき、その評価の仕方についてさまざまなご提案をいただきました。こうしたことはぜひ今後とも蓄積するような形で進めていっていただきたいと思っているものの最たるものです。

 言論を取り巻く環境は大きく変容しています。国内では政権交代が起こり、政策論議の本格化は必至の状況です。また、2008年秋以降の金融システム危機以降、国際関係の流動化は目覚ましいものがあり、日本の将来をめぐる議論も「待ったなし」の状況にあります。こうした中で言論NPOの内外での活動はますます重要性を増しつつあります。

 常日頃から工藤さんを中心とした事務局の皆様の献身的な努力に対しては深い敬意を持っておりますが、皆様のご自愛と一層のご奮発を改めて祈念する次第です。


佐々木 毅
東京大学前総長・学習院大学教授
21世紀臨調共同代表
言論NPOアドバイザリーボードメンバー


1942年生まれ。65年東京大学法学部卒。東京大学助教授を経て、78年より同教授。2001年より05年まで東京大学第27代総長。法学博士。専門は政治思想史。主な著書に「プラトンの呪縛」「政治に何ができるか」等。