動き始めた「第10回 東京-北京フォーラム」 |
工藤:言論NPOの工藤です。今、私は北京の中国外交部の直ぐ近くにあるクラウンプラザホテルにいます。
去年の10月末、私たちはこの場で「不戦の誓い」を民間ベースで行い、それから4カ月が経ちました。私たちの対話も含め、民間の様々な取り組みがあって、日中関係が改善できるかな、という手応えを感じていたのですが、また厳しい状況になっています。
中国の主催者から感じた10回目のフォーラムの成功に向けた強い意志
今回、私が北京に来たのは、今年、東京で開催予定の「第10回 東京-北京フォーラム」の協議を中国側と行うためです。オーストラリアから帰国して、そのまま北京に着いたのですが、オーストラリアでも日本と中ごとの関係を非常に気にする声が多くありました。
今、日中間の政府関係は止まっていますから、私たちは非常に厳しい環境に直面しています。ただ、私たちの対話は、日中関係が本当に厳しかった2005年に、民間を運営主体とした対話の舞台で、何とか日中関係を改善しようという形で発足し、10回目の対話が今年、東京で開催されるのです。私たちは当初、10回で一つの目標を達成しようと動いていましたので、その集大成が今年のフォーラムになるわけです。しかも、非常に厳しい環境の中で今回の対話を実現しなければいけないということで、中国側との協議はかなりの時間になりました。
私たちのカウンターパートはチャイナデイリーという新聞社で、政府なりいろいろな要職の人達が参加する形で中国側の理事会が発足しています。今回、可能な限り、いろいろな人達とあって話をしたのですが、日中関係がかなり厳しい状況の中で、皆さん、この対話の意味を非常に感じていました。集大成となる今回の対話を、何が何でも成功させなければいけない、ということが合意されました。
中国で重要視された「東京-北京フォーラム」
ただ、肝心の日程ややり方については、中国から日本に要人を送るということは、今の状況では非常に難しいだろうということでした。日中関係が厳しい状況が民間の分野にも影響しているのですが、この対話を何としてでも成功させなければいけない、ということで長い協議になりました。結論からいうと、秋に開催するということで準備を進めようということで、一応合意しました。
ただ、それ以上にこの対話を非常に重要視しているということを改めて痛感しました。困難があっても、対話の準備を今日から始めて、そして今年の秋、大きな対話に持っていくことで、両国の政府間関係の改善に役立つような舞台をつくろうということを、民間ベースでは合意したということです。
3月から本格的に始まる「民間外交」の舞台
これから、私は東京に帰りますが、オーストラリアから始まった私たちの対話の準備が、ある程度、今回の訪中で動き出す目処がつきました。後は、我々のアクションだけだと思っています。3月末には6カ国の会議を東京で行い、その後、韓国との協議に入ります。そして、いよいよ中国との協議に入り、最終的にはマルチラテラルの東アジアの対話のメカニズムを作っていこうと思っています。
そうして、東シナ海で偶発的な事故から紛争に発展しないような環境づくり、そして今の状況を変えるためにどのような形の仕組みをつくっていけばいいのか、真剣に取り組みたいと思っています。いよいよ東京に帰って、準備に入るということで、ようやく一仕事終えたな、と感じています。
では、東京でまた皆さんとお会いしたいと思っています。