世界のパラダイムシフトが起きる中、政府ではない主体による課題解決に取り組む動きが世界各国で始まった |
工藤:言論NPOの工藤です。これから東京に戻ります。
安全保障のみならず、多様な分野で議論できる関係づくりが重要に
今回の6日間のワシントン訪問で、ブルッキングス研究所や外交問題評議会など、かなり大きなシンクタンクの代表層だけではなくて、世界のシンクタンクなど、多くの人たちと会談し、議論しました。また、アメリカ政府や議会の人たち、様々な大学の先生たちとも意見交換を行いました。
日本で日米関係といえば、同盟関係にある国で、安全保障という側面が非常に強いのですが、今回のワシントン訪問を通じて、安全保障にかかわらず、デモクラシーや市民社会、日本との経済的な結びつきや文化的な交流など、様々な分野で具体的な議論をしたいと希望している人たちが多くいることがわかりました。日米関係は、これからの日本にとって非常に重要ですが、安全保障という側面のみならず、もっと多様で包括的な日米間の議論が極めて重要になっているということを改めて実感しました。
北東アジアの平和構築に向け、マルチ対話の実現を
今回のワシントン訪問で、言論NPOが行っている2つのことについて、皆さん関心を持っていました。1つは、北東アジアに関する平和構築の問題です。この問題については、国務省のパブリックディプロマシーの担当などとも話をしました。こうした民間の動きが非常に重要だということを、彼らも非常に感じていた一方で、言論NPOが行っているような取り組みが、具体的に動いていることについて、アメリカ政府の中にはあまり伝わっていないことを改めて実感しました。
私たちは、北東アジアの平和構築ということに関して、アメリカの協力も得ながら、民間レベルでどのような枠組みを構築していけばいいのか、改めて考えていかなければいけないと考えています。今回の会談で多くのヒントを得、多くの人たちが協力の意思を示し、具体的に動きが始まろうとしています。この1年ぐらいの間に、マルチの大きな対話を実現することが具体的に動かしていきたいと思っています。
地球規模的課題について、日本国内で議論し世界に発信することの重要性
もう1つ私たちが取り組んでいることは、地球規模的な課題についてです。今回の会議でも、ウクライナ問題、気候変動、WHOの問題、経済問題などが取り上げられました。特に今回アメリカを訪問して、TPPの問題が非常に大きな政治的なイシューになっていることを実感しました。今回の会議や会談で、私もかなり論戦を挑みましたし、多くの人たちと議論もしたのですが、こうした地球規模的な課題に関して、日本とアメリカ、その他の国が具体的に議論し合い、日本が世界に対して解決方法を主張していく、こうしたサイクルを日本国内でも始めなければいけないと感じました。そのために、世界の主要なシンクタンクが、私たちに協力してくれるという確約も取ることができました。
こうした2つの動きが、具体的に動き始めたことについて、私は非常に嬉しく思っています。今回のワシントン訪問で、多くの人たちに賛同してもらった北東アジアの平和構築や地球規模的な課題に関する私たちの取り組みについて、日本に帰国後、待ったなしで取り組んでいきたいと考えています。
ということで、6日間のワシントン訪問は非常に長いものでしたが、大きな手応えも感じた6日間でした。これからは、東京で皆さんといろいろと議論したいと思っています。
以上、ホテル前の公園からお届けしました。
ワシントンからの報告 記事一覧
― 多くの手応えを感じた6日間のワシントン訪問を振り返って
― ブルッキングス研究所、マンスフィールド財団、外交問題評議会、ピューリサーチセンター会談報告
― 「カウンシル・オブ・カウンシルズ(CoC)」年次総会(於:ワシントン)報告
― 世界のシンクタンク会議を前に、ワシントンからの報告