7月1日14時半より、言論NPOが主催する「自民党×民主党 政策公開討論会」の第1日目議論が開始されました。この日は「将来ビジョンと政権担当能力」をテーマに、両党の政策責任者3名と、言論NPO側の司会者、コメンテーター計8名が議論を行っています。
第1部では、初めに司会の国分良成氏(慶應義塾大学法学部長)と工藤泰志(言論NPO代表)による挨拶が行われたあと、前半のテーマである「日本の将来ビジョン」について、両党議員による説明が行われました。
最初に発言した園田博之氏(自民党政務調査会長代理)はまず、「日本は国際的な環境や国内経済のダイナミックな変化に直面している」と語り、深刻化する少子高齢化をどう克服し、今後の国のあり方をどう描いていくかがひとつ重要なテーマになると述べました。そのうえで、将来に向けては具体的な政策をひとつひとつ着実に進めていくことが重要だとしました。また、小泉政権が進めた構造改革路線にも触れ、構造改革には様々な批判はあるけれども、「官から民へ」「国から地方へ」に代表される流れは、古い体制を壊すという意味では間違ってはいなかったと語り、今後は改革によって壊したものの再構築をどう行うかが重要になってくるとの見解を示しました。
また、目指すべき社会像については「国民が安心して過ごせる社会」と述べ、経済についてはものづくりを強みにした内需拡大型への転換が求められるとしました。また特に社会保障制度については、機能を強化しつつ国民の安心をどう確保していくかが課題だとし、その中でも年金制度については、与野党が議論を深めることで持続可能な制度をつくっていく必要があるとしました。園田氏は最後に外交問題にも触れ、従来の方針を転換する必要はないにしても、アジアや世界の中で日本の果たす役割は大きいと述べ、柔軟な態度で積極的に他国との関係を構築していくべきだと語りました。
次に発言した福山哲郎氏(民主党政策調査会長代理)は、21世紀の日本はグローバル化など新たな変化の波に直面しており、従来のシステムが機能しなくなりつつあると述べました。福山氏は政府の役割は「国民ひとりひとりの幸せを後押しすること」だと述べ、社会保障制度、特にセーフティネットの整備を急がなければ所得や消費の拡大も望めず、将来への安心は生まれないとしました。その基盤強化の手段として福山氏が説明したのは、一般会計と特別会計を合わせたかたちで予算の組み替えを行うことであり、それによってムダをなくし、新たな財源を生み出すことで富の再分配システムを構築していくというものです。
この発言を受けて長妻昭氏(民主党政策調査会長代理)は、まず社会保障の問題に触れ、現在の日本のセーフティネットは穴だらけであると指摘し、政府や役所の立場ではなく、生活者の立場に立った政策が求められると述べました。特に長妻氏はナショナル・ミニマムの概念を挙げ、これまでの自民党政権では、「政府が国民生活の何をどこまで守るのか」という基準が二転三転し、国民の目線での政策運営がなされてこなかったと批判しました。また、現在の日本が抱える課題として地球温暖化と少子高齢化問題を挙げた長妻氏は、それらを弱みではなく、技術立国としての日本の姿を世界にアピールしていけるようなビッグビジネスのチャンスとしてとらえていくべきではないかと述べました。
3人の議員の発言を受けて、その後、司会の工藤から代表質問が行われました。工藤はまず園田氏に対し、自民党の安心社会の実現のビジョンは次回マニフェストの策定にどうつながるのかと問いました。また両党に対し「ムダのない社会」の実現に向けた具体的な取り組みをどう考えているのかと問いかけました。また最後に工藤は、次の日本を背負うべき若い世代が、将来に対して希望を持てなくなっている状況を挙げ、「今度のマニフェストで、若い世代に対して両党は何を約束するのか」と問い、代表質問を終えました。
7月1日14時半より、言論NPOが主催する「自民党×民主党 政策公開討論会」の第1日目議論が開始されました。