【論文】政治の構造改革を進めるために

2001年12月27日

sone_y020425.jpg曽根泰教(慶應義塾大学大学院教授)
そね・やすのり

慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授、21世紀臨調政治会議主査。1948年生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了。政治学、政策分析を専攻。著書に『決定の政治学』(有斐閣、1984)、『現代の政治理論』(放送大学、1989)、共著に Politica Dynamics in ContemporaryJapan (Cornell University Press,1993)、『政治学』(有斐閣、1996)、『この政治空白の時代』(木鐸社、2001)など。

概要

小泉首相の構造改革が進まないのは、内閣と与党の関係を整理する、政治の構造改革が遅れていることが大きい。国民が期待する改革を進めるには、首相主導の政策決定体制を構築しなくてはならない。それにはまず、与党による内閣提出法案の事前審査など、慣例の見直しから議論を始める必要がある。それは、結局は党も官僚も変わることにつながる。内閣と与党の関係こそ、今までの政治・行政改革で積み残された最大の課題なのである。

要約

小泉首相の構造改革がなかなか進まないのは、その目標、戦略化が明確でないこと以上に、内閣と与党の関係を整理する、政治の構造改革が遅れていることが大きい。私たちは11月に「首相主導を支える政治構造改革に関する提言」をまとめたが、小泉首相に国民が期待する改革を進めるためにも、内閣と党との関係を整理して、首相の主導する政策決定体制を構築することが必要と考えたからである。そのためにも、内閣提出法案の与党の事前審査を軸としたこれまでの慣例を見直すところから議論を始めなくてはならない。その後、この「与党審査」という聞き慣れない言葉は、自民党内の反発を招き、政治の争点として認知されることになったが、こうした慣行を変えることは、結局は党も官僚も変わるということである。むしろ、この内閣と与党の関係は、今までの政治改革や行政改革で積み残された最大の課題なのである。


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 小泉首相の構造改革が進まないのは、内閣と与党の関係を整理する、政治の構造改革が遅れていることが大きい。国民が期待する改革を進めるには、首相主導の政策決定体制を構築しなくてはならない。それにはまず、与党による内閣提出法案の事前審査など、慣例の見直しから議