雇用 : 30点 /100点 |
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実 績
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実行過程
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【実 績】
民主党政権は雇用のセーフティネット施策として、「月額10万円の手当てつき求職者支援制度」、「雇用保険を全労働者に適用すること」を掲げている。前者についてはこれを恒久措置とする方向性自体は評価できるものの、前政権でも課題とされた職業訓練の仕組みの改善は検討されていない。その上、自公政権下で創設された現行の「緊急人材育成・就職支援基金」は22年度で打ち切り、23年度以降は新制度を創設するとしているが、具体的なプランは未だ提示されていない。後者については改正雇用保険法成立により推計255万人が新たに加入対象者となった一方で、いわゆるモラルハザードの問題や公平性の問題が懸念される。雇用創出面では、緊急雇用創造プログラムや重点分野雇用創出事業などは提示されているものの、目標を達成するための具体的、説得的なロードマップは提案されておらず、実質的な進展はない。また、今後の労働市場全体の設計については、改正労働者派遣法案に新たな規定を盛り込んだ上で今国会に提出したものの、成立には至らなかった。そもそも、労働市場において派遣労働が浸透している以上、その設計にあたっては、派遣が技能の不足する労働者に雇用の機会を与えると同時に、スキルアップを図る柔軟な仕組みであると積極的に位置付けた上で、個々の政策を構築すべきである。しかし、政府が提示する改正法案はその流れに逆行するばかりか、定義が曖昧な「常用雇用」に対して製造業派遣を認めることで、その解釈や運用に幅を持たせており、法案の趣旨自体を骨抜きにしている。こうした対応では雇用政策上本質的なアプローチとはいえない。
【実行過程】
雇用保険法の改正の主な内容である「雇用保険のすべての労働者への適用」「国庫負担割合を本則である4分の1に戻すこと」については、一定の工程管理の下で本国会での成立に至っている。一方、労働者派遣法の改正においては、最終的な法案の決定の際に連立政権内の社民党の強い反対により、原案にあった「無期雇用派遣労働者を対象とした派遣先企業による事前面接の解禁」規定が削除され、政労使による三者合意が閣議決定で覆される異例の事態も生じている。雇用創出については、官邸主導で緊急雇用創造プログラムや重点分野雇用創造事業を進展させているが、これらの枠組みの運用の有効性をどのように確保していくかに関しての議論は不十分であり、政策実現サイクルはほぼ機能しておらず、評価できない。
【説明責任】
「月額10万円の手当てつき求職者支援制度の創設」、「最低賃金の大幅引き上げ」等の政策について、労政審や雇用戦略対話で議論が始まっているものの、いつまでに何を達成するのかという目標設定やその工程については今後に委ねられている。また、改正労働者派遣法が様々な批判を受けていることについて、鳩山前首相は「国会において十分な議論が尽くされなければならない」とコメントするにとどまり、実質的な説明責任を果たしているとは言えない。