認定NPO法人 言論NPO
言論NPOは、「どのような政権も、発足後100日を過ぎれば有権者による厳しい監視にさらされなければならない」との考えから、政権の100日評価アンケートを有識者を対象に行い、その結果を公表しています。
2011年12月10日に発足後100日を迎えた野田政権に対する100日時点での評価は、歴代政権と比較するとやや高いものの、多くの回答者が民主党中心の政権運営そのものに対する説明責任を問い始め、また、既存政党への失望から、政策を軸とした政界再編に強い期待を持っていることが明らかになりました。
「首相の資質」に関わる評価は5点満点中2.4点と、前政権の1.8点からは大きく改善
まず、野田政権の100日時点での支持率は33.9%と、これまでの6政権の100日時点と比べて相対的に高い水準となりましたが、不支持率は41.7%と支持率を上回っています。また、この100日時点で36.0%が「期待以下」と評価、「そもそも期待しなかった」の36.4%を合わせると7割を超える人が厳しく見ています。一方で、「期待通り」あるいは「期待以上」は合わせて25.2%となっており、これまでの政権と比較するとやや善戦している状況になっています。しかしながら、100日後のこれからの政権運営については、「期待できる」は17.6%に過ぎず、49.5%と半数近い人が今後に「期待できない」と回答しています。
また、「首相の資質」に関わる8項目を5点満点で見たときの平均は2.4点で、政権交代時に期待を集めた鳩山政権との並ぶ最高点となり、大きく落ち込んだ菅首相の1.8点から大きく改善しています。ただ、いずれにしても5点満点の半分以下の評価にとどまっており、特に「国民に対する説明能力」や「体制づくり」に対する評価がそれぞれ1.8点、1.7点と低く、それが全体の評価を押し下げる結果となっています。
全回答者の4割が、今国会の会期中や会期後の解散総選挙を求める
民主党マニフェストが崩壊し、首相が二代続けて党内の代表選で選ばれているという現状において、現政権に対しては、7割以上が「正統性はない」と回答し、半数を超える52.1%が「なるべく早く総選挙を実施し、自らが実施すべき政策課題に関して国民の声を問うべき」と回答しています。また、その回答者のうち8割、すなわち全回答者の4割が、現在開催中の国会の会期中や会期後の解散総選挙を求めています。ただし、解散後の日本の政治については4割が政界再編を予測し、3割が不安定な政治が継続すると考えており、多くの人々が日本政治に大きな変化を求めながら、その展望が描けていない状況が明らかになりました。さらに、現在の日本の既存政党については、61.8%もの回答者が「期待していない」と回答し、この傾向は政権交代後の鳩山政権、菅政権で回を重ねるごとに上昇しており、民主党の政権が継続する過程で、既存政党への期待が大きく失われてきたことが明らかになっています。
7割近い回答者が、「現在の日本の代表制民主主義は機能していない」と判断
こうした現在の日本の政治を「国家危機の段階」や「既存政党の限界が明らかになり、政策を軸に政界再編に向かう過渡期」と判断する人々がそれぞれ4割近くになっており、一方で、こうした政治の混迷を打開する主体として「若い政治家」や「有権者」に期待する声が大きくなっています。
今回は、政治の混迷が続く中で、その原点である「代表制民主主義」に対する考え方を問う設問も設置しています。代表制民主主義は、有権者が代表を選挙で選び、選ばれた代表が日本の課題に取り組むことで機能しますが、これについては7割近い人々が機能していないと回答し、その理由として、「選ばれた政治家に課題解決能力がない」「政党が組織としての体をなしていない」「選挙制度の問題」と指摘。これを機能させるために、「有権者の自覚」を求める回答者は6割を超えており、さらに「政界再編」「選挙制度の改革」が必要との認識が続いています。
<アンケートの概要>
野田政権は2011年12月10日に発足後100日を迎えました。どのような政権も、発足後100日を過ぎれば有権者による厳しい監視にさらされなくてはなりません。そうした考えから、言論NPOではマニフェスト評価の一環として2006年の安倍政権から、「100日評価アンケート」を有識者を対象に行い、その結果を公表しています。
今回の野田政権の「100日評価」は、安倍政権、福田政権、麻生政権、鳩山政権、菅政権に続き6回目になります。民主党への政権交代以降、マニフェストを軸とした政策実行のプロセスは崩れ、首相は二代続けて党内の代表選のみで選ばれています。そのため、今回は、日本において代表制民主主義が機能しているか、また機能させるためには何が必要なのかを問う設問なども盛り込まれています。
アンケート調査は言論NPOの活動にご参加、あるいはご協力をいただいている各分野の有識者、ジャーナリスト、企業経営者、官僚などを対象に2011年12月末から約2週間の日程で調査票の郵送やメールの送付によって行われ、2012年1月24日までの回答者である434人分を集計し、分析しました。回答者の属性は、男性が88.0%、女性が9.8%となっています(それ以外は無回答。以下同様)。年齢別でみると、10代が0.2%、20代が9.4%、30代が6.5%、40代が18.7%、50代が21.4%、60代が27.9%、70代が11.8%、80歳以上が3.0%です。回答者の職業は、企業経営者・幹部が20.5%、会社員が17.7%、メディア幹部が2.1%、メディア関係者が5.1%、国家公務員が2.5%、地方公務員が6.0%、地方議員が1.4%、NPO・NGO関係者が6.2%、学者・研究者4.6%、各団体関係者が8.3%、学生が2.1%、自営業が6.9%、その他が14.7%となりました。
野田政権の100日は期待通りだったか
野田政権を支持するか
野田政権を「支持する」という回答は33.9%で、これまで行われた6つの政権の100日時点での支持率の中では最も高い水準となっています。この水準は政権交代後初の民主党政権として当初の期待が高かった鳩山政権と同じ水準で、大きく落ち込んだ前回の菅政権の100日時点での評価(支持率15.9%、不支持率64.4%)を持ち直す形になっています。
ただ、「支持しない」という回答は41.7%となり、依然として支持率が不支持率を下回る厳しい結果となっています。
発足時に抱いていた期待と比べて
また、発足時に抱いていた期待と比べて、100日時点での野田政権をどう思うか尋ねたところ、最も多かった回答は「そもそも期待していなかった」で36.4%、「期待以下」が36.0%と続きました。ただ、「期待以上」「期待通り」との回答はそれぞれ6.5%、18.7%と、菅政権の100日時点の0.6%、3.0%と比べても評価は改善しています。
SQ「現在までの野田政権は、あなたが発足時に抱いていた期待に比べどうでしたか。その理由をお聞かせください。」 ⇒ 回答をみる
野田政権に期待した役割とは
では、野田政権は誕生時、どんな役割を期待されたのでしょうか。野田政権に本来期待されていた役割を問う設問で最も多かった回答は、「財政再建への取り組みを本格化すること」(36.6%)が最も多く、「東日本大震災への迅速な対応」(27.0%)、「中長期的な成長戦略を立て、「強い経済」を実現すること」(24.4%)が続きました。
今後の政策運営に期待できるか
「野田政権の今後の政策運営に期待できるか」という問いに対しては、約半数の49.5%が「期待できない」と回答しており、「期待できる」との回答(17.5%)を大きく上回りました。ただ、「どちらともいえない」と判断を見送った人も3割近く(27.2%)います。
SQ「野田政権の100日、また年末までの状況をご覧になって、野田政権の2012年以降の政策運営をあなたは期待できますか。その理由をお聞かせください。」 ⇒ 回答をみる
100日時点で見た野田首相の資質
言論NPOでは、100日時点で見た首相の資質に関して、①首相の人柄、②首相の政策決定におけるリーダーシップや政治手腕、③首相としての見識、能力や資質、④政権として実現すべき基本的な理念や目標、⑤既に打ち出されている政策の方向性、⑥これまでの政策面での実績、⑦野田政権を支えるチームや体制づくり、⑧国民に対するアピール度、説明能力、の8項目について、「よい」(5点)「ややよい」(4点)「ふつう」(3点)「ややよくない」(2点)「よくない」(1点)と「わからない」の6段階で評価しています。
この結果、野田首相の100日時点での評価は、この8項目の平均で2.4点(5点満点)と、安倍、福田、麻生、鳩山、菅の各政権の100日評価と比較すると、政権交代時に期待を集めた鳩山政権と並ぶ最高点となり、大きく落ち込んだ菅首相の1.8点から、大きく改善しています。自民党の政権と比較すると福田首相の100日時点の2.3点より高い水準になっています。ただ、いずれにしても5点満点の半分以下の評価に過ぎません。ちなみに安倍政権:2.2点、福田政権:2.3点、麻生政権:1.8点、鳩山政権:2.4点、菅政権:1.8点です。
最も評価が高かったのは「首相の人柄」の3.4点で、他の政権と比べて高かったのは「見識や能力、資質」の2.7点でした。しかし、「政権を支えるチームや体制作り」は1.7点、「国民に対するアピール度、説明能力」は1.8点と特に評価が低く、それが全体の評価を押し下げる結果となっています。
今回の評価では、この首相の資質を問う8項目の評価を5点満点で点数化してレーダーチャートで表示しています。
野田政権が打ち出した個別課題への評価は
野田政権は、民主党のマニフェストに基づいて政策の実行をしているわけではありません。そのため、私たちは、野田政権が国会での所信表明演説の中で打ち出した30項目の課題を、野田政権の国民への約束と判断して、その実行に関して100日時点で①うまく対応している、②うまく対応できていないが、今後期待できる、③対応できておらず、今後期待もできない、④わからない、の4段階で評価してもらいました。
その結果、野田政権の100日で、①の「うまく対応している」、②の「うまく対応できていないが、今後期待できる」が合わせて40%を超えたのは、「TPPへの参加に向けた対応」(51.8%)と「消費税増税」の決断の49.8%、そして復興庁設置の47.7%のわずか、3項目に過ぎませんでした。
逆に、③対応できておらず、今後も期待できない、で最も多かったのが、「在日米軍の普天間基地移転問題」の74.2%、「北方領土問題の解決に向けた取り組み」の72.4%、「円高対策」の72.1%で、そのほかにも50%を超えたものは、「無駄の削減」の68.9%、「公務員人件費削減と公務員制度改革」の65.9%、「北朝鮮問題」の65.2%、「閣僚などの政権の人事」の64.7%、「成長戦略計画の策定とその推進」の63.6%、「政府と民主党間の政策決定の調整」の62.0%、「総合的な子育て支援」の61.5%、「一票の格差と選挙制度の見直し」の59.9%、「地域主権改革の推進」の58.8%、「持続的な社会保障制度に向けた改革」の57.8%、「農業の産業としての立て直し」の57.8%、「放射能の健康被害への対応」の57.6%、「郵政関連法案の成立」の57.4%、「原発事故の一連の対応」の56.2%、「政治とカネの問題」の55.5%、「原発を含めたエネルギー基本計画の見直し」の55.3%、「地球環境対策とCOP17での対応」の55.3%で、合わせると20項目もあります。
野田政権に求められる国民への説明課題とは
野田政権が現在、国民に説明を求められている課題で最も多かった回答は「総崩れしている民主党のマニフェストをどう扱うか」の31.6%で、「日本の財政破綻をどのように食い止めるのかの道筋」(30.6%)、「日本の経済成長に向けた中長期的な戦略」(26.0%)が続きました。
国民に説明を求められている事柄として民主党の鳩山政権と菅政権時の100日で「経済成長に向けた戦略」を求める声がそれぞれ最も多い回答(鳩山52.5%、菅42.3%)になっていましたが、今回のアンケート結果では、「民主党が党として実現すべき社会とその実現のための道筋」(19.1%)などの回答も比較的上位にあり、民主党によるマニフェスト政治や政権運営そのものに対する国民への説明が求められていることが明らかになっています。
総選挙を実施すべきか
現在の政権・与党に国民の代表としての正統性はあるか
民主党マニフェストが崩壊し、首相が二代続けて党内の代表選で選ばれているという現状において、政権・与党に国民の代表としての正統性があるかどうかを聞く設問では、41.5%が「正統性はなく、このような状況は問題である」と回答し、「2009年に選挙を行っている以上、正統性はある」との回答(15.0%)を大きく上回りました。一方で、「正統性はないが、やむを得ないと思う」との回答も34.3%になっています。
総選挙を行うべきか
また、「野田政権は総選挙を実施すべきか」については、52.1%が「行うべき」と回答し、その回答者に時期を訪ねたところ、45.1%が「2012年の通常国会開催中」、37.6%が「2012年の通常国会閉会後」と回答し、合わせると8割を超す人が現在行われている国会の会期内や会期直後の実施を求めています。一方で、総選挙を「行う必要はない」は、25.1%に過ぎず、前回の菅政権の100日評価の、「行うべき」の44.7%、「行う必要はない」の31.1%と比べると、「総選挙を実施すべき」との声が増加しています。
解散総選挙後の日本の政治について
さらに、解散総選挙後の日本政治について尋ねてみました。最も多かったのは「政界再編」(39.6%)、で「不安定な政治の継続」(32.5%)が続きました。「野田政権の継続」を予測するのはわずかに5.3%、野田退陣後に民主党の政権が継続するとみるのは3.9%、「自民党への政権交代」も6.2%しかありません。 7割以上が今の既存の二大政党を軸とした政治が変わると考えていますが、その見通しに関しては見方が分かれています。
既存政党に対する評価は
今後の民主党政権に期待するか
政権交代後の2年余りの民主党中心の政権を見て、今後も民主党を中心とした政権に期待できるかどうか問う設問では、「どちらかといえば期待できない」(29.5%)、「全く期待できない」(40.6%)との否定的な回答が7割を超え、期待できるとの回答(「非常に期待できる」(1.2%)、「どちらかといえば期待できる」(9.4%))は1割程度でした。
SQ「政権交代後の2年余りの民主党中心の政権を見て、あなたは今後も民主党の政権に期待していますか。その理由をお聞かせください。」 ⇒ 回答をみる
自民党に政権が戻ることを期待するか
アンケートでは野党に対する評価も尋ねています。次の選挙の結果、現在の自民党に政権が戻ることを期待できるかどうかと問う設問では、「非常に期待できる」、「どちらかといえば期待できる」との回答がそれぞれ3.2%、10.4%となり、「期待できる」と回答する人は1割程度しかいません。
これに対して「期待できない」との回答(「どちらかといえば期待できない」(23.7%)、「全く期待できない」(35.5%)は6割近くになっており、民主党と同じように、野党自民党に対する評価もきわめて厳しいことが明らかになっています。
既存政党に期待しているか
さらに、現在の日本の既存政党に対しては、61.8%もの人々が「期待していない」と回答し、「期待している」との回答(10.8%)を大きく上回りました。この傾向を政権交代後の鳩山政権、菅政権との比較で見ると、「期待していない」との回答は回を重ねるごとに上昇し(鳩山政権:38.6%、菅政権:47.4%)、それに対応して、「期待している」との回答は減少を続けています。(鳩山政権:23.5%、菅政権:17.1%)、民主党の政権が継続する過程で、既存政党への期待が大きく失われてきたことが明らかになっています。
既存政党に期待していない理由
期待していない理由として最も多かった回答は、「どの党も権力を取ることだけが自己目的になっており、選挙対策のために行動しているようにしか見えず、日本の将来に向けた課題解決に挑もうとしていないから」(73.5%)が最も多く、「既存の政党は新しい日本に向けた構想力が乏しく、課題解決能力が不足しているから」(45.1%)、「既存の政党は異なる意見が党内に混在するなど、政策を軸としては結成されておらず、組織として体をなしていないから」(45.1%)がそれに続いています。
日本政治の現状認識とこの状況の打開者はだれか
日本の政治の現状をどう判断するか
また、こうした与野党に対する評価を尋ねた後に、日本の政治の現状についても意見を求めました。
「日本の政治の現状をどのように判断していますか」では、41.7%が「政府の統治(ガバナンス)が崩れ、政治が財政破綻や社会保障などで課題解決できないまま混迷を深める国家危機の段階」と回答。前回調査(43.7%)同様、最も高い回答となりました。
さらに、「既存政党の限界が明らかになり、政策を軸に政界再編に向かう過渡期」との回答は、菅政権では26.6%にとどまっていましたが、今回は36.9%と第二位に上昇しており、後の設問でも明らかになるように、政界再編への期待が徐々に高まりつつあることが明らかになりました。
この他、「未来の選択肢が政党から提起されないまま、サービス合戦や官僚たたきに明け暮れ、ポピュリズムが一層強まる時期」(27.4%)、「既存の政党間のダメ比べで政権交代が繰り返され、出口が見えない日本の政治的な混迷や空白の始まり」(20.3%)などが続きました。
日本政治の混迷を打開するのは誰か
そして、こうした日本の政治の混迷を打開する主体として誰に期待するか、という設問では、「期待する」との回答が最も多かったのは「若い政治家」(55.3%)と「有権者」(54.6%)であり、「NPO・NGO」(47.5%)、「知事など地方の首長」(41.5%)が続いています。
日本の政治が混迷を極め、既存政党が機能していない中で、有権者自身や若い政治家に変化を求める声が大きくなっていることが明らかになっています。一方、この状況の打開者として「既存のメディア」や「ベテラン政治家」に対して「期待している」人はそれぞれ9.2%と19.1%であり、逆に「期待していない」との回答はそれぞれ62.7%、45.4%にのぼりました。
政界再編を期待するか
政界再編を期待するか
こうした既存政党への評価や日本政治に対する認識に加え、今回は政界再編に対する判断を求めました。その結果、政界再編が起こることを「期待している」との回答は71.4%にのぼり、「期待していない」(10.8%)を大きく上回りました。なお、「期待している」との回答は、前回の菅政権の100日時点での63.6%よりも上昇しています。
政界再編の軸は
また、その際、どのような政策を軸として政界再編が行われるべきかについては、「財政再建への道筋」を挙げる回答が53.9%と最も多く、「年金制度などの社会保障制度に関する考え方」(23.5%)、「地方分権改革に対する考え方」(18.4%)、「構造改革に対する考え方」(16.8%)、「日中関係や日米関係など外交問題」(16.1%)がそれに続きました。
既存政党への懐疑から、財政や社会保障、外交・安全保障など、日本が直面する課題に対する政策を軸に、政界再編が起こることを期待する声が高まっていることが明らかになりました。
日本の代表制民主主義は機能しているか
日本の代表制民主主義は機能しているか
今回は、政治の混迷続く中で、その原点である「代表制民主主義」に対する考え方を問う設問も設置しています。代表制民主主義は、有権者が代表を選挙で選び、選ばれた代表が日本の課題に取り組むことで機能します。こうした現状の日本の代表制民主主義は機能していると思うかを問う設問では、69.1%が「機能していない」と回答。「機能している」との回答は11.5%にとどまりました。
なぜ、代表制民主主義が機能しないのか
機能していないと回答した方にその理由を尋ねたところ、「選ばれた政治家に日本に直面する課題を解決できる能力がない」(18.7%)、「政党が、政策軸にまとまっておらず組織としての体をなしていない」(17.7%)、「選挙に伴う様々な問題から、自分たちの代表を選んでいる実感がない」(13.3%)を挙げましたが、これら三つにすべて考えが近いという回答者が39.7%と最も多い結果となりました。
現在の政治家が有権者の代表と思えない理由は
次に、「代表を選んでいる実感がない」あるいは「三つすべてに考えが近い」と回答した方に、現在の 政治家が、有権者の代表と思えない理由について尋ねました。その結果、最も多かった回答は「首相が党内だけで決まり、選挙が国民の民意を問う形で適切に行われていない」(59.1%)となり、二度にわたる代表選のみで首相が決められていることの正統性への疑問がここでも強いことが浮き彫りになっています。
また一方で、「小選挙区選挙と比例代表選挙への重複立候補などの選挙制度」(49.7%)、「選挙公約が曖昧」(44.2%)、「一票の格差の問題」(36.5%)など、多くの人が有権者の代表を選ぶ、選挙制度そのものへの疑義も抱いていることがわかりました。
代表制民主主義を機能させるために必要なこととは
こうした認識を踏まえ、代表制民主主義を機能させるために何が必要かについても尋ねています。その結果、「有権者の当事者としての意識」(60.6%)を挙げる回答が最も多く、「政策軸に伴う政界再編」(56.5%)、「選挙制度の改正」(46.5%)、「一票の格差の是正」(35.9%)、「マニフェストを軸とした政治の確立」(29.3%)などが続きました。
SQ「あなたは、代表制民主主義を機能させるためには何が必要だと思いますか。その理由をお聞かせください。」 ⇒ 回答をみる
地域からの動きをどう考えるか
最後に、大阪市の橋下徹市長が代表を務める地域政党「大阪維新の会」をはじめとした地域からの動きについて、評価を求めました。
その結果、過半数を超える51.6%が「支持する」と回答し、「支持しない」の16.4%を上回り、一つの大きな流れとして、地方からの動きを評価する人々が多いことが分かりました。一方、「どちらともいえない」との回答も28.8%にのぼっています。
野田政権100日評価と日本政治の行方 ― 有識者アンケート結果
【調査に関するお問い合わせ】
このアンケートに関してご不明な点などがございましたら、
言論NPO事務局(TEL:03-3527-3972 担当:宮浦・山下)までお問い合わせください。
言論NPOは、「どのような政権も、発足後100日を過ぎれば有権者による厳しい監視にさらされなければならない」との考えから、政権の100日評価アンケートを有識者を対象に行い、その結果を公表しています。
2011年12月10日に発足後100日を迎えた野田政権に対する100日時点での評価は、歴代政権と比較するとやや高いものの、多くの回答者が民主党中心の政権運営そのものに対する説明責任を問い始め、また、既存政党への失望から、政策を軸とした政界再編に強い期待を持っていることが明らかになりました。