2013年参議院選挙 マニフェスト評価(経済政策)

2013年7月15日

評価の視点

今回の参議院選挙はデフレからの早期脱却と持続的な経済成長を目的とした安倍政権下でのアベノミクスの評価が大きな争点となっている。 アベノミクスは、金融緩和と財政の機動的な運用、そして成長政策が3つの矢として構成されているが、金融緩和と財政の矢はすでに放たれており、成長政策の矢をどう放つのかが、次の焦点になっている。 

安倍政権の経済立て直しの取り組みに対して、市場の見方は変わり始めており、現下の日本経済は、アベノミクスの対応を契機にして円安・株高に動き、世界経済の緩やかな回復を背景に、景気回復局面に転じている。 しかしながら、日本経済を巡る外部環境は、米国の量的緩和縮小、欧州経済の低迷長期化、中国経済の不透明増大、為替、株式市場の大きな変動など不安定要因が少なくない。 

他方で、日本は中長期的にはデフレの克服、少子高齢化、人口減少などの大きな課題に直面している。 

こうした現状認識を踏まえ、今回の参議院選の公約では評価のポイントとして、①日本経済の持続的な回復をさらに進める適切な政策運営をどのように行おうとしているか、とくにデフレ脱却に向けた適切な政策運営をどう進めようと考えているのか、さらに②中長期の政策課題に正面から向き合い、日本経済の潜在成長力を引き上げるための適切な構造改革をどのように指向しているか否かを基本に据えて判断する。




【 評価点数一覧 / 自民党 】

  項 目
自民党
形式要件
(40点)
理念(10点)
8
目標設定(10点)
8
達成時期(8点)
5
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
3
合計(40点)
24
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
11
課題解決の妥当性(20点)
8
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
10
合計(60点)
29
 合 計
53


【評価結果】自民党 マニフェスト評価   合計 53 点 (形式要件 24 点、実質要件 29 点)

【形式要件についての評価 24 点/40点】

自民党の公約では、すでに実行過程に移っているアベノミクスが説明されており、ここでは日本経済を「縮小均衡の分配政策」から「成長による富の創出」に転換することをうたっている。これは前の民主党政権の政策理念に対するアンチテーゼであり、明確な政策理念と評価できる。ただし、富の創出後の分配政策についての言及が見られない点は減点要因である。今回の参議院選の公約では大半が成長政策関連に変わったが、すべての政策ではないが、数多くの公約で数値目標が設定され、目標達成時期や期間についても多くの分野で具体的に明示されていることは評価できる。ただこれらの政策体系に関する工程・政策手段についての明示が少なく、財源の言及がないのは評価できない。

【実質要件についての評価 30 点/60点】

自民党の公約は、デフレ脱却を目指して、金融、財政、成長戦略の三本の矢による政策体系を提示しており、経済政策の体系性、戦略性、実行力を備えていると評価される。デフレ脱却に真に必要なことは、円安・株高などの市場の一時的変動ではなく、民間設備投資意欲の喚起であるとの基本認識は正しい。設備投資を今後3年間で70兆円とリーマンショック前のレベルに回復させることを目標に設定し、そのために、立地競争力の強化、投資減税、規制緩和、研究開発・イノベーション強化、国家戦略特区などを実現するとしている点も妥当と判断される。

現在のアベノミクスの評価は、第二の矢の財政が景気回復のけん引役となったのは事実だが、第一の矢で日銀が踏み込んだ異次元の金融緩和の効果は実際には実質金利の低下や金融機関のポートフォリオリバランスが動いておらず、市場の期待に火をつけた段階である。が、まだ半年しか経っておらず、我々は現時点でこれを判断するのは適切と考えていない。

自民党の公約では、第一の矢の大胆な金融緩和と第二の矢の機動的財政運営は実績が説明されているだけで、すでに実行済みとの判断が実質的に示されている。ただいくつかの点で説明不足がある。

まず、日銀は自民党が先の総選挙のマニフェストで設定した2%の物価目標を2年程度の期間を念頭に早期に実現すると期間をあえて限定した。しかし、この物価目標2%を2年で実現するという、日銀が踏み込んだ2年の時期を自民党の公約は追認していない。

また第二の矢でも本当に今後は機動的な財政運営を行わないのか、については直接的な言及はなく、説明は曖昧である。昨年12月のマニフェストでは「今後2,3年は国内景気の落ち込みと国際リスクに対応できるようにより弾力的な経済財政運営を推進する」と書かれており、その記述がなくなった理由の説明もなされていない。

第三の矢の成長戦略については、6月半ばに日本再興戦略を取りまとめるなど、スピーディーに政策を公表。経済財政諮問会議を復活させたほか、産業競争力会議などの強力な実行組織を創設し、首相自らが各組織の長として先頭に立って政策実行をリードしている点は評価に値する。司令塔は事実上二つ以上に乱立する形となっているが、現時点では首相を中心にした政府主導でこれらは機能している。ただ、今後財政再建の目標と経済成長の二つの政策目標の関係でこれらが十分に機能できるか、注意を要する。

自民党の公約にはこれらの日本再興戦略や同時に閣議決定された骨太の方針の内容などが掲げられている。首相は秋に第二弾の成長戦略に取り組むと説明し、思い切った投資減税を行うと語り、それも公約に中に入ったが、他方で、医療分野、農業分野などにおける岩盤規制、労働市場改革などの重要課題については先送りされ、マニフェストにも明示がない。こうした点は本気度を疑わせる点で減点要因となる。

TPPなど経済連携協定への参加については、「国益にかなう経済連携」を標榜しているのみで、公約ではTPPを基にした経済成長の姿が分かりにくい。FTA比率70%目標を達成するための具体的政策手段も明示されておらず、法人実効税率引き下げについても、どこまで下げるのか具体的な言及がない。


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【 評価点数一覧 / 公明党 】

  項 目
公明党
形式要件
(40点)
理念(10点)
5
目標設定(10点)
5
達成時期(8点)
3
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
3
合計(40点)
16
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
10
課題解決の妥当性(20点)
8
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
5
合計(60点)
23
 合 計
39


【評価結果】公明党 マニフェスト評価   合計 39 点 (形式要件 16 点、実質要件 23 点)

【形式要件についての評価 16 点/40点】

公明党マニフェストでは、与党として一体として進めるアベノミクスの経済成長の果実を生活者や中小企業、地方につなげる、という「実感できる景気回復。その成果を地域に、中小企業に、生活者に」という理念を掲げており、一応国民の共感を得られるものとなっている。具体的目標設定として、「デフレ経済下の10年間で失われた平均給与10%分を取り戻す」「さらなる世帯収入の向上を目指す」「物価上昇を上回る所得の上昇を目指す」などが掲げられている。こられは理念の具現化する政策目的として体系化されたもので、政策手段は生活の視点も取り入れ多様化している。ただ、「目指します」が多用されるなど、その多くで政策目標や達成時期、手段などの記述は少なく、努力目標の水準を超えていない。

【実質要件についての評価 23点/60点】

公明党の経済政策は与党の一角を占めるため、環境・エネルギー、健康・医療、農林水産分野で成長戦略を推進するなど自民党の政策と基本的に共通する。ただし、そうした中でも、成長分野として「文化・観光振興、地域活性化」などを掲げ、その担い手の育成手段としては「中小企業政策の拡充」「女性、若者の雇用拡大」などに注力するなど、公明党らしさが表れている。また、人口減少社会における経済成長を達成するために、共働き世帯数の増加を踏まえ「世帯収入の増加」を目標に据えている点は、妥当である。単独での政権運営能力には欠けるため、デフレを脱却し、経済を立て直すためのマクロ経済や大胆な改革色は薄いが、自民党を補完する存在として、自民党に欠ける部分を補い、きめ細やかな政策を打ち出している点は評価できる。

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【 評価点数一覧 / 民主党 】

  項 目
民主党
形式要件
(40点)
理念(10点)
3
目標設定(10点)
2
達成時期(8点)
2
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
2
合計(40点)
9
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
5
課題解決の妥当性(20点)
6
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
2
合計(60点)
13
 合 計
22


【評価結果】民主党 マニフェスト評価   合計 22 点 (形式要件 点、実質要件 13 点)

【形式要件についての評価 点/40点】

民主党マニフェストは、「暮らしを守る力になる」を理念としてうたっている。基本的には弱者救済を基本理念としているように見受けられるが、これは分配政策であり、経済政策の理念とは言いがたい。唯一、理念らしきものは「中間層を厚く、豊かに」の部分だけだが、どのような理念なのか、またどのようにこの層が所得を増やし、豊かになるのか不明確であり、国民の理解を得ることは難しい。経済政策の不在は前政権交代時から指摘されていたが、その後政権を担い、成長戦略などもまとめたが、それらが政策体系として国民に提起できていない。アベノミクスに対案を提起できないまま、自民党政策の批判に終始するだけの「野党」の一員に落ちてしまっており、数値目標等の設定は皆無に近い。財源の明示、工程、政策手段の明示も具体的なものは見られず、評価できない。
 

【実質要件についての評価 13 点/60点】

日本経済の最重要課題であるデフレ脱却に対する政策対応がまったく明記されていない。目下の経済環境は賃金が上がらない中での物価上昇、円安による中小企業への打撃を懸念されているが、問題の解決策がまったく明示されていない。「グリーン、ライフ、農林水産業、中小企業に政策資源を集中」とあるが、自民党との違いが分かりにくいだけでなく、具体性にも欠ける。経済連携や経済外交では、「高いレベルの経済連携を推進し、世界におけるルール作りを主導します」と意気込みだけは高くても、唯一、自民党よりも踏み込んでいるTPPでも、「農林水産物重要5品目などの除外」「国民皆保険の堅持」し、「脱退も辞さない厳しい姿勢で臨む」としており、それがどのように高いレベルの経済連携になるのか、説明がない。日中韓FTAやRCEPへの取り組み姿勢も明示がない。雇用面でも自民党の政策批判を展開しているが、雇用の安定だけでなく、いかに雇用創出を図るかの視点が希薄なことも減点対象。政権を担当した経験もありながら、政策の立案や実行の党内ガバナンス、指導性が公約からは感ぜず、国民への説明責任も十分に果たしていない。

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【 評価点数一覧 / 日本維新の会

  項 目
日本維新の会
形式要件
(40点)
理念(10点)
3
目標設定(10点)
2
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
3
合計(40点)
8
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
9
課題解決の妥当性(20点)
9
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
2
合計(60点)
20
 合 計
28


【評価結果】日本維新の会 マニフェスト評価   合計 28 (形式要件 点、実質要件 20 点)

【形式要件についての評価 点/40点】

日本維新の会の公約では、「経済・財政を賢く強くする」という理念を掲げているが、何が賢く、何が強いのかは明確でない。名目経済成長率3%以上、物価上昇率2%のマクロの目標を設定しているが、それ以外の数値目標はほとんどない。またほとんどの公約で達成時期、財源についての言及がない点はマイナス評価となる。ただ、基本方針で破産法、民事再生法の中小企業向け要件緩和、財政健全化責任法案の提出、法人税減税、再投資税額控除制度の導入、IR法案提出など具体的な法律、制度が明示されている点は評価できる。 

【実質要件についての評価 20 点/60点】

日本の競争力を高める徹底した競争政策を実施するとの基本認識は妥当である。その具体的手段として、①補助金からバウチャーへ、供給者から消費者優先へ転換、②新規参入規制の撤廃、規制緩和、③敗者の破たん処理、再チャレンジ可能な社会へという方向性も妥当と評価される。また、企業活力を高める手段として、高速道路料金など物流コストの引き下げ、法人税減税、再投資税額控除制度の導入を提案、農業と観光の成長産業化のための農協の抜本改革、減反政策の段階的廃止、農業への株式会社参入など大胆な改革を提言している。さらに、カジノ、レジャー施設など統合型リゾート特区を提案し、あらに解雇規制の緩和にも言及している。総じて、改革色の強いマニフェストになっている。他方で、日銀法改正などリスクの高い政策を掲げている点は、減点対象となる。 

ただ、経済政策全体の体系性、戦略性については欠ける面があり、またこうした政策メニューはアイデアや主張の域を出ていない。それぞれの公約をどのようにいつまでに進めるのか、時間軸を伴って関連する政策と包括的に描かれていない。政策体系としても完成度を期待するのはまだこれからの段階である。 またこれらの政策を立案し実現するための党内のガバナンスや二人の党首がこうした政策作りで共同歩調を取っているのかも不透明であり、またこれらの政策の実行で他党との協議も担えるほど党が今後、実行力を持つかどうかは現段階で判断できない。
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【 評価点数一覧 / みんなの党 】

  項 目
みんなの党
形式要件
(40点)
理念(10点)
5
目標設定(10点)
4
達成時期(8点)
3
財源(7点)
2
工程・政策手段(5点)
2
合計(40点)
16
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
11
課題解決の妥当性(20点)
6
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
4
合計(60点)
21
 合 計
37


【評価結果】みんなの党 マニフェスト評価   合計 37 点 (形式要件 16 点、実質要件 21 点)

【形式要件についての評価 16 点/40点】

みんなの党マニフェストでは、「成長戦略は徹底した規制改革で!」という理念が掲げられているが、これは理念というよりもキャッチフレーズの色彩が強い。名目4%以上の経済成長という意欲的目標を掲げているが、潜在成長率が1%を下回っている現状では、目標達成のハードルは極めて高く、その実現性には疑問符がつく。 

ただし、具体的な数値目標(成長率目標以外にも、海外からの直接投資GDP比5%、法人実効税率20%、年間1500万人の訪日観光客など)の設定や達成時期(今後10年間で所得5割アップなど)が示されていることは評価できる。他方、財源については、埋蔵金や国有資産の売却など一時的な財源が示されているのみで、恒久財源は基本的に経済成長による税収増加に頼っており、安定財源とは言えない。政策手段については、大胆な規制改革が具体的に盛り込まれている点は評価できる。
 

【実質要件についての評価 21 点/60点】

名目4%以上の成長を実現するための手段として、岩盤規制と言われる農業、医療、雇用などの各分野での大胆な規制改革の実行を約束している。具体的には、混合診療の解禁、株式会社の農業参入、農地売買の自由化、正社員の整理解雇に対する4要件の見直しなど、いずれも自民党マニフェストでは、曖昧にされている、あるいは見送られた規制緩和を盛り込んだ点は高く評価できる。

また、TPP参加、日中韓FTA、RCEPなど経済連携協定を推進する方向性は妥当であり、そのための専門部署を内閣に立ち上げるなど実行体制にも具体的に言及している。他方で、抜本的な原発ゼロも含むエネルギー転換を経済成長の達成に結びつけるための対策を時間軸ごとに包括的に説明している。これらのエネルギー改革は強力な政治力を必要とするため、実現性を現段階で判断できないが、アイデアでは収まらない詳細な党内での検討の跡が見られ評価できる。 

みんなの党は国民に痛みを迫る公約は少なく、総じて改革色を強調し、それが実現することで、多くの課題を経済成長等で解決できるかのような幻想を与えかねないアジェンダ、となっている。多くの改革はこれまで日本の政治ができなかったことであり、なぜみんなの党ならそれができるのか、展望を示せているわけではない。
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【 評価点数一覧 / 共産党 】

  項 目
共産党
形式要件
(40点)
理念(10点)
0
目標設定(10点)
2
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
1
合計(40点)
3
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
3
課題解決の妥当性(20点)
2
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
5
 合 計
8


【評価結果】共産党 マニフェスト評価   合計 点 (形式要件 点、実質要件 点)

【形式要件についての評価 点/40点】

共産党の経済政策は、「アベノミクスの暴走を許さず、消費税増税を中止し、国民の所得を増やす本格的な景気回復の道を」というタイトルの下、政権批判を全面に押し出しており、党の主張を繰り広げる内容になっている。国民の所得を増やすことが目的だということは分かるが、その実現に向けて政策体系を描いているわけではない。有権者が検証可能な具体的政策もなく、当然、その達成時期、財源の明記もない。

【実質要件についての評価 点/60点】

公約の大部分は、安倍政権の政策に対する批判と反対(TPP、消費税、労働規制改革、原発再稼働などにいずれも反対の立場)で占められており、それに対する対案も現実的でないものばかりで、経済政策として評価できる水準ではない。 

消費税については、「増税を中止し、財源は別の道で確保する」としているが、その「別の道」とは「大企業に有利な減税制度」の見直しによる税制改革であり、次に、掲げた政策目的の「賃上げと、安定した雇用、中小企業の振興」も、「大企業の内部留保の一部」を使う、ことで実現しようという提案である。いずれも大企業の負担による再配分に過ぎず、その所得の源泉である企業活動や生産性に対する言及もなく、現下の経済政策としての妥当性は感じられない。また提案が主張の域を出ておらず、それらがどのように内需を増やし、経済成長の好循環を作れるのか、政策論として説明されておらず、公約としての評価はかなり低くなる。
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【 評価点数一覧 / 社民党 】

  項 目
社民党
形式要件
(40点)
理念(10点)
2
目標設定(10点)
0
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
2
合計(40点)
4
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
3
課題解決の妥当性(20点)
2
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
3
合計(60点)
8
 合 計
12


【評価結果】社民党 マニフェスト評価   合計 12 点 (形式要件 点、実質要件 点)

【形式要件についての評価 点/40点】

社民党の公約には、経済政策という項目そのものが存在せず、「強い国よりやさしい社会」という政党としての主張が全面に押し出されている。具体的目標設定も乏しく、達成時期、財源の明記もない。政策手段もめぼしい記述は見当たらず、形式要件をほとんど満たしていない。

【実質要件についての評価 8点/60点】

公約集の大部分は、安倍政権の政策に対する批判と反対(TPP、消費税、労働規制改革、原発再稼働などにいずれも反対の立場)で占められており、実体経済をどのように回復させ、持続性を失っている財政や社会保障をどのように立て直すかを、提案する公約ではない。公約の中で、経済政策に関わる部分を抜粋すると、賃金目標の設定、最低賃金の引き上げ、中小企業の法人税率引き下げ、「いのち」(医療、介護、子育て、福祉、教育)と「みどり」(農林水産業、環境・自然エネルギー)分野への重点投資などとなっており、再分配政策、弱者保護の色彩が強く、それらを実現する財源を明らかにした政策体系を描いたものではない。行政改革に対する姿勢も「地方公務員給与削減反対」など、後ろ向きのスタンスが目立つ。野党としての主張としてのレベルを超えたものではなく、政権与党を担う能力を感じさせるものではない。
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【 評価点数一覧 / 生活の党 】

  項 目
生活の党
形式要件
(40点)
理念(10点)
2
目標設定(10点)
2
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
2
合計(40点)
6
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
3
課題解決の妥当性(20点)
2
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
5
 合 計
11


【評価結果】生活の党 マニフェスト評価   合計 11 点 (形式要件 点、実質要件 点)

【形式要件についての評価 点/40点】

生活の党の公約は、「いのちとくらしと地域を守ります」という党の主張や意気込みが全面に押し出されており、それをどのように守るのか、政策体系が示されたわけではない。そのための手法は再分配政策でしかなく、具体的目標設定については、可処分所得を1.5倍にするとの記述以外ほとんど見られない。また、いくつかの具体的政策が列挙されているものの、その達成時期、財源の明記が全くない。

【実質要件についての評価 点/60点】

生活の党は、家計収入の増大を最優先課題と提案するが、それらのほとんどを再配分政策で行おうとしており、経済成長を図るという視点が存在しない。公約で提起された政策手段も賃上げ促進、非正規労働者の正規化、子ども手当、最低保障年金、高校無償化、給付型奨学金の導入、高速道路料金、電気料金の引き下げ、農家戸別所得補償の法制化など、ほとんどが民主党政権下で破たん、あるいは問題を抱えた政策であり、いずれも財源の裏付けのないばら撒き的政策の羅列になっている。 

需給ギャップを埋めるために継続的な財政出動も提案しており、財政破たんが指摘される中で課題認識がズレている。消費税凍結もではその代替財源をどうするのか、説明もなく、低い評価しか与えられない。

唯一評価できるのは、「地域経済ニューディール」として、医療・福祉、農林水産業への積極的投資を掲げている点だが、他党と比べて目新しさはない。

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【 評価点数一覧 / みどりの風 】

  項 目
みどりの風
形式要件
(40点)
理念(10点)
2
目標設定(10点)
1
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
1
合計(40点)
4
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
2
課題解決の妥当性(20点)
2
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
4
 合 計
8


【評価結果】みどりの風 マニフェスト評価   合計 点 (形式要件 4 点、実質要件 4 点)

【形式要件についての評価 点/40点】

みどりの風のマニフェストでは、政策の柱となる「約束」の中で、経済政策に関して、「数字だけのマクロ経済から顔の見えるミクロ経済重視へ」というタイトルの下、アベノミクスを机上の空論と批判した上で、「1%の大企業のためのバーチャル経済から、99%の中小企業・自営業・国民のための実体経済重視へ転換」、「適切な所得再分配によって、持続可能な内需主導の経済を確立」など6項目の対策に言及している。

しかし、いずれについても具体的目標はなく、当然、その達成時期、財源の明記も全くない。

【実質要件についての評価 点/60点】

基本は再分配政策であるが、それが持続可能な内需主導経済の確立にどうつながるのか、この公約では判断できない。消費税の凍結も主張しているが、社会保障の代替財源は共産党と同様に大企業の優遇税制を見直すことで可能との立場で、それがなぜ可能なのかの説明はない。ほとんどの公約が抽象的で、「適切な」、「適正な」、「日本らしさ」など曖昧な表現が多く、すべて主張を箇条書きで書いた程度で、なぜそれが必要なのか、どのようにいつまでの実現するのか、という説明も欠けているため、政策として提案できていない。唯一、初任給の引き上げで5年後に年収50万円をアップする、という公約があるが、それがどうして可能なのか、判断できない。

全般的に日本経済の最重要課題であるデフレ脱却や経済成長を全く意識していない構成になっており、課題抽出力に乏しい。

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