「安倍政権の経済政策を評価する ~骨太の方針、成長戦略の評価とは~」有識者アンケート結果

2014年6月27日

調査の概要

言論NPOの活動にこれまで参加していただいた全国の有識者約2000人を対象に、2014年
6月26日から6月27日の期間でアンケートの回答を依頼し、回答のあった94人の回答内容を分析
した。


回答者の属性

回答者の属性

※各属性で示されている数値以外は無回答の割合。この頁以降、数値は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%とならない場合があります。


問1. 安倍政権は6月24日、「日本再興戦略」の改定版として、新成長戦略を打ち出しました。あなたは、この新成長戦略をどのように評価していますか。【単数回答】


安倍政権は6月24日、「日本再興戦略」の改定版として、新成長戦略を打ち出しました。あなたは、この新成長戦略をどのように評価していますか


問1SQ. 前問でそのように回答した理由を具体的にお書きください。


問2. 「日本再興戦略」改訂では、改革に向けての10の挑戦が掲げられました。10の挑戦の中で、あなたはどの政策に期待していますか。【いくつでも回答】

「日本再興戦略」改訂では、改革に向けての10の挑戦が掲げられました。10の挑戦の中で、あなたはどの政策に期待しています


「その他」 記述回答

  • 上記2が最悪の岩盤となっている。(男性、70代、NPO・NGO関係者)
  • 10の挑戦項目のどれを評価するという問題意識に疑問を感じる。日本全体の社会システムの構造改革の方向性が過去十数年の世界経済社会の大変革が向かうであろう、方向性をしっかり踏まえたものでなくては個別の政策項目をいくら掲げても小手先の、見せかけの改革にすぎないだけでなく結果はむしろ悪い方向に向かう可能性があるだろう。(男性、70代、退職)
  • 公務、準公務制度改革が必須。(男性、60代、無職)
  • 働き方改革が特に疑わしい。労働時間ではなく成果、というが、大勢がひとつの目的に向かって進むプロジェクトの場合、ひとりの成果の評価は無理。結局、自分の成果を際だたせるために、同僚に協力しなくなるなど、必ずマイナス面が出てくる。成果主義を掲げて、衰退していった日本企業をよく知っている。(男性、50代、会社員)
  • 国の礎は教育である。日本再興戦略というのなら、その教育を本質に戻って考え、改変すべきと考える。(男性、60代、元地方公務員)


問3. あなたは、今後安倍政権が成長戦略を進めていく上で、どのような点が 懸念材料だと思いますか。【いくつでも回答】


「その他」 記述回答

  • 上記2(男性、70代、NPO・NGO関係者)
  • コスト重視より、消費構造の転換に対して対応していく企業活動(特に製造業の技術開発の方向)にミスマッチが大きく生じている。このままでは生産の海外移転と併せて輸出による国益の上昇は期待できない。将来国益につながる産業分野には、国内に消化されるコストである限り国益的損失はないのであり(国内で資金が循環していく)思い切った投資をしていくべきだ。例えば有効な地熱開発・海水利用のエネルギー分野・メタンハイドレードの開発等には思い切った国家と民活投資をすべき。日本には資源がないのであるからこそ、将来への投資を怠ってはいけない。今回の成長戦略ではこの点に矛盾する点や検討されたと思われない分野が多く期待はずれである。(男性、70代、企業経営者・幹部)
  • 大企業の幹部クラス以上に都合のいい政策が多い。新自由主義的政策が中核で、景気の後退期には格差が大きくなる可能性が極めて高い。(男性、50代、メディア関係者)
  • 「岩盤規制」「既得権益層の抵抗」という発想で成長戦略を見ている、という時点ですでに「終わって」いる。 最も自己改革意欲・能力に欠けているのは既存の産業界のトップたちではないのか。 産業界の新陳代謝がないと新しい成長の芽は出てこないのでは。 誰かを悪者にしても答えは生まれない。(男性、50代、国家公務員)
  • 与野党での政策そのものの議論ではなく政治的ポジション争いが 流れを支配しないよう、強引なところもあるリーダーシップを発揮してほしい。(男性、80代以上、各団体関係者)
  • 従来の中央集権的な運営では無く、安倍首相も述べている「地方の時代」「地方の活性化」を実現出来る政策が地方の自主的な運営に任されるかが不透明であること(男性、50代、企業経営者・幹部)
  • 総理は限られた時間軸の中で最大限のことに着手しようとされていると思う。今までのリーダにないスピード感とバイタリティには頭が下がる。すべてがトッププライオリティと見受けられ、テーマ同士の利害に衝突から効果が減殺されていることが気がかり。個人的信条による行動は当面差し控える姿勢も必要。(男性、60代、各団体関係者)
  • 国の掲げる政策にも問題はあるが、大企業の経営サイドの問題点が大きい。自動車産業にしても、薬品産業にしても、国におんぶしたがる経営体質では改革などできない。大企業にこそ問題がある。国の権力構造との癒着的な体質から、独り立ち出来ない企業は結局生き残れないのではないか?自立が必要なのは貧しい人々ではなく、大企業ではないか?(男性、70代、退職)
  • この設問自体が誘導的です! 選択肢の立て方をもう少しニュートラルにしてください。(男性、50代、生活協同組合役員)
  • 決定された施策について、短い期間での進捗と改善を基本にローリングし続けられるかが不安。(長期政権を基本に、継続性がある実行する施策になってほしい。)(男性、60代、会社員)
  • 政治家と安倍さんに実行への覚悟がない。実行前のアイデアも薄い。(男性、50代、メディア関係者)
  • 農業問題と社会保障(男性、70代、年金)
  • 軍国主義的な政策(男性、50代、無職)
  • 今は円安のおかげで、輸出企業が潤っているだけのこと。ひとたび円高基調になったら、アベノミクスなどひとたまりもなく瓦解するだろう。(男性、50代、会社員)
  • 既得権の破壊に結局屈する。(男性、50代、会社員)
  • 安部政権の成長戦略が進まなければ進まないほど、私たちは息がつける。(日本全体の再建はどちらにしても不可能だから) 「新しい」政策や「現実的な」改革ではもはや日本はどうにもならないと思う。(女性、70代、年金生活者)
  • 年金医療福祉の抜本改革や、国の借金の減額の道筋とか、国内産業やそれに関わる人材や組織のリバイタリゼーションといったものがほとんど抜け落ちている。どれだけ真面目に深く考えようとしたのだろうか。そうは思えない。(男性、60代、元地方公務員)
  • 経済の実態がわかっていない(男性、60代、各団体関係者)
  • 外交関係がさして悪化していないのに政権が軍国主義化にかまけること(男性、30代、メディア関係者)


問4. 安倍政権は6月24日閣議決定の「骨太の方針」の中に、「50年後にも1億人程度の安定的な人口構造を保持することを目指す」と盛り込み、日本政府として初めて具体的な人口目標を掲げています。あなたは、この目標を実現するために何をすべきだと思いますか。【単数回答】

安倍政権は6月24日閣議決定の「骨太の方針」の中に、「50年後にも1億人程度の安定的な人口構造を保持することを目指す」と盛り込み、日本政府として初めて具体的な人口目標を掲げています。あなたは、この目標を実現するために何をすべきだと思いますか


「その他」 記述回答

  • 国粋主義的な理念の短期行動断行する安倍体制では長期テーマに美しい言葉だけでは期待無理。(男性、70代、NPO・NGO関係者)
  • 最も大きな課題は、都会に人口が集中しながらその大半が家庭生活を持っても生活できないと不安を持っていることであると同時に、子供の高等教育は地方から都会に出さなくてはいけない状況であるにもかかわらず、国内の教育費(生活費を含めて)が欧米に比較しあまりにも高すぎるのも大きな不安感につながり、結婚・出産の障害になっている。日本で3人以上の子供を持つことは(特に地方では)貧乏の象徴になっていることを政治家は知るべきである。(ちなみに小生は4人の子供を育て、現役時代に老後の生活資金を積み立てる余裕は全く無かったが、幸い73歳の現在も仕事をしているので何とか生活を維持している。)(男性、70代、企業経営者・幹部)
  • 高齢者概念の見直し。就労人口がさしあたり問題なので年齢規定等はもっと柔軟に捉えるべき。(男性、70代、年金生活者)
  • 人口維持が労働人口や社会保障費の供給者確保のための手段のような考え方は間違っている。まず発想を変える必要がある。(男性、70代、各団体関係者)
  • 分かって目標にしているとは思えない。単なるスローガン。 これは、長期にわたって出生率2.07を実現する、ということ。2.07の世界にするにはどうしないといけないのか、 まともに考えているとは思えない。 革命的に労働環境を改善し(長時間労働・低賃金の撲滅)子育て支援施策を革命的に拡充し、住宅・教育、特に企業行動を根本から変革し,,,,,,なんてことを実際にやらなければならなくなる。 そんな覚悟も力もないのに、政府がこういうことをいうのは、無責任きわまりない。(男性、50代、国家公務員)
  • 子育てにばかり焦点を当てているが、その前に結婚しない若者の問題をなんとかしないと子供は増えない。この際結婚奨励金でも考えてはいかが。(男性、70代、企業経営者・幹部)
  • 子供を産むことが損にならない社会、子供の声を社会から批判されない社会、社会全体で子供を宝だと慈しむ社会にならないと無理。女性の地位が104位で議会で差別発言が平気で出る状況では 程遠い。(女性、50代、各団体関係者)
  • 難しい。予算を取ったから子供が増えるわけではない。そもそも大切なことは動機づけでしょう。心の問題というか教育かもしれませんが・・・この両輪をバランスよく回せる仕組みが必要。(男性、60代、各団体関係者)
  • 一人ひとりの国民が将来不安を抱いている限り結婚しこどもを生み育てる決心はできないだろう。人口減少をむしろ前提とした安定した社会の構築を目指すと、人口は予想よりも増加する可能性が高いだろう。年層別の偏りの調整は必要であるだろうが、どちらかを選択するのではなく、どの年層も人生をそれなりに生きて行ける社会のミニマムの構築をめざすべきではないか?(男性、70代、退職)
  • 若い人の所得を増やすこと。つまり、賃金のアップがないと、子育てしようがない。(男性、60代、自営業)
  • 特に若年層における将来に期待の持てる雇用政策がなによりも必要。企業側に都合のいい短期雇用、非正規雇用を規制すべき。(男性、70代、公益法人職員)
  • 今の若い世代の収入へりつつある。これを直さない限り、人口目標など絵空事である。(男性、70代、無職)
  • 地方・農村の人口・人材が日本経済を支えてきたにも拘わらず、地方は少子高齢化、限界集落増加、核家族化による老人社会が進行している。農村全体がまるで姥捨て山現象に見える。日本の人口減少の原因は、地方・農村人口の減少と高齢化にある。地方経済活性化を推進し、地方での若年層人口の増加こそ人口問題改善の良作。(男性、70代、NPO・NGO関係者)
  • 子育て女性への子供の祖母との住居接近支援。 本当は世帯で1人働けば暮らしが立つような賃金制度の確立。 (男女雇用機会均等法で男の急流が女並みに下った。労働法が企業の解雇権を縛るので、経営者は派遣に頼る。)(男性、70代、自由業)
  • 改革をする(男性、50代、メディア関係者)
  • 高齢者も働く(男性、50代、企業経営者・幹部)


問5. 安倍政権は「骨太の方針」の中で、昨年と同様に「経済再生と財政健全化の両立」を掲げ、 2020年度のプライマリーバランスを黒字化するという目標を維持しています。 あなたは、現時点でこの目標が達成可能だ と思いますか。【単数回答】


問6. 安倍政権は骨太の方針の中で、消費税率を10%に引き上げるかどうかについて、経済状況を見ながら年内に最終判断することを表明しています。 あなたは、10%への税率引き上げについてどのように考えていますか。【単数回答】


問7. あなたは、日本が財政再建を果たすために、最も大事なことは何だと思い ますか。【2つまで回答】


「その他」 記述回答

  • アジアと一体となった経済活動を中心とする質的成長。(結果量的にも)(男性、70代、NPO・NGO関係者)
  • 国際的に財政不安が増幅すると、低成長・人口減少が悪循環となり長期金利の急上昇につながるリスクが大きい。当面増税と併せて財政の改善にも力を注ぐべきだ。当然ムダの削減は急務の課題である。同時に早く景気回復による民間資金への転換に向けての動きに対しての政策をとる必要があり、増税による景気低迷を避けなければならないので、経済政策は重要な課題。(男性、70代、企業経営者・幹部)
  • ・公平な納税制度 ・政府、官僚の質の向上 ・国民の意識、意欲の改善(男性、70代、各団体関係者)
  • 財政健全化の根本原則は「"量出制入」田と思う。つまり、国民を守るためにコストを算出し、その時代に適合した制度下でそれを国民の間で負担する。この原則に従えば税制を改革は緊急課題であると思う。しかし「量出」は単なる積算ではない。社会保障費を圧縮を支出の単なる削減ではなく、医療費でも介護費用でも問題が多いだろう。例えば医療費の中の薬剤費は公表されていない。介護保健から支出される介護用具は通常市販商品と全く変わらないものが数倍の価格で介護保険から支出だれているのではないか?客観的で迅速な社会保障諸費用のIT]化をすすめ、人件費の節約と不正摘発システムの構築が必要だと考える。迅速、性格、恣意性を排除し、客観的データをして国民に開示する。IT革命は情報の制度信頼度の向上を含むものだろう。財政の健全化の目標は数字あわせではない。国民の生活が世代を通じて継続性を維持出来ることへの信頼感が不可欠であると思う。(男性、70代、退職)
  • 成長を目指すことが善であるとする考えを見直さなければならない。労働人口の減少、少子高齢化社会を維持するには 社会の仕組みを減量化する発想の転換が必要。(女性、60代、メディア関係者)
  • 消費税増税は、社会保障関係の財源にあてるものであった。それが反故にされつつある。国債利回り上昇すれば、国の財政破綻する。(男性、70代、無職)
  • 一般会計、特別会計の合体による予算編成の組み替え(男性、60代、会社員)
  • 平均年収300万円時代などと国民生活が委縮しているので、財政再建のためには、行政改革、特に国会議員数の削減、公務員給与の削減等による経常的支出抑制が必要。(男性、70代、NPO・NGO関係者)
  • 公務員の無駄遣いの徹底的抑制。その上で外務省の「交際費」情報開発用途に限り増額(ワインや絵画購入は禁止)(男性、70代、自由業)
  • 政治家の覚悟(男性、50代、メディア関係者)
  • 1.国会議員定数の削減、2.国家公務員の管理部門人員数の削減、3.地方議会の議員定数削減の法律改正、 4.地方自治体に関して行政評価を総務省が行う法律改正5.地方議会の議員削減を総務省が判定し、改革度合いに連動する地方交付金の配分率の増減(男性、70代、マーケティングプロデューサ・経営コンサルタント)
  • 新技術への重点投資による、新産業立ち上げ、雇用促進、景気向上(男性、60代、定年退職者)
  • 税金を無駄に使い、ただ飯を食っている政府は必要ない。(男性、50代、無職)
  • 国、地方自治体、ともに、民間にできる仕事は民間に任せるようにして、公務員の数を削減する。公務員は、おそらく、しくみ上不効率な働き方になるのだと思う。公務員を削減して、住民税の減税をすべきである。(男性、50代、会社員)


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